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第18話 カルキノス戦①
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あれから二日経ち、いよいよ勇者パーティとクモ退治に出発する日になった。
あの日と同じように、ギルドの冒険者たちが勇者パーティの出立を総出で見送る。
違うのは、その勇者パーティにあたしが入ってるということ、そして──
「……」
あたしがさっきから聖女ナギアにめっちゃ見られていること。
「……なんですか?」
「あなたの使った解毒魔法を知りたくて……」
あれ、魔法じゃなくてスキルですよ。
あたし、魔法使えないんです。
「聖女として、大切な仲間の窮地を救うことができなかったことの悔しさ……あなたにわかりますか?」
聖女じゃないからわからん。
「千春のは魔法じゃないからね」
「うさぎが喋ってる!可愛いです!触らせてください!」
なんだこの状況。
おねたんが聖女に抱っこされてモフられてる。
「これは……!」
ロアスさんが立ち止まった。
先に進むための橋が壊されている。カルキノスっていうクモのモンスターはこの先にいるんでしょ?
「まさか、あのカルキノスが壊したのか?」
よくわからんけど、橋が壊れている。
カルキノスの棲家に続いていたのかな?
でも、そうだとしたら、カルキノスもこっちにこられないのでは?
「どうするの?ロアス」
「テレーズ、他に道はないか?」
「あたいも、ここしか道を知らないからね……」
じゃあ、帰っていいですか?
「千春、橋をDIYする?」
「またおねたんは、そんな無茶言って……橋を作るなんてDIYの域超えてるし、お母さんクマもいないから橋を作るための木を切り倒すのだって無理でしょ」
「チハル……君は木材があれば橋を作れるというのか?」
「DIYスキルでできるかもしれないですけど、やったことないから……」
「木材なら、あたいが」
テレーズさんが剣で木を切り倒した。
「うぉおおおおっ!」
目の前に木材が次々と並んでいく。
なにこれ、怖い。
「必要な本数を言ってくれ」
こんなすごい人たち相手に、どうやってカルキノスとかいうモンスターは勝ったというのか。
***
DIYスキルと、テレーズさんのなんかすごいアレで橋ができてしまった。
谷の反対側へのロープ渡しも、テレーズさんがあっさりやってくれたし、木材の加工もロアスさんがやってくれた。
あたし、いらなかったんじゃないの?
勇者パーティは建設会社としてもやっていけるよ。
「ふむ、急造にしてはしっかりしてるな。
これなら渡れそうだ」
「念の為、命綱は付けて渡ってくださいよ。
あたしも橋を造るのなんて初めてだったんですから」
こうして、あたしたちは先を急いだ。
ドラゴンのいた場所とは少し違う場所にカルキノスはいるみたい。
やっぱ、ドラゴンの気配があった場所は本能的に避けてるのかな?
「チハル、君は毒を受けた時の対策だけ頼む。
その、コードエディタというスキル、頼りにしてるぞ」
「はーい」
「チハルさんは大丈夫だと思いますけど、怪我をしたら私が治しますから!」
聖女がおねたんをモフりながら息巻く。
「あなたに救われたこの命……今度こそカルキノスを仕留めてやるわ」
マギさんの魔法が見られるなら、あたしはそれでいいです。
「おしゃべりはここまでだ……来るぞ!」
山を踏み荒らす音が響き、いよいよそれは姿を現した。
こいつが……カルキノス?
「……」
鳴き声とかなしに、それは現れた。
これは、あれだ。
あたしがいた世界でいうところの……ウデムシ!
世界三大奇虫のアレ!
挿絵で見せたほうがいい?いらない!?
「今度こそ倒す……テレーズ!マギ!ナギア!」
「「「はいっ!」」」
四人は一斉に動き出す。
ターゲットはウデムシ……じゃなかった、カルキノス。
あたしは応援!
「みなさんに加護を……」
ナギアさんの祈りで全員を淡い光が包み込む。
あたしにもなんかのバフくれたのか。
戦いませんけど。
「ソードスラーッシュ!!」
ロアスさんは技名を叫びながら斬る人だ!
ゲームキャラとか、よく技名を叫びながら攻撃するよね。
「どっせぇぇえいっ!!」
テレーズさんは力任せにカルキノスを殴打!
剣より斧とかの方が似合いそう。
「エレクトサンダー!!」
おおっ!魔法だ!
この世界で初めて見る魔法!
詠唱とかあるかと思ったけど、別にそんなことはなかったぜ!
これを見れただけでも来た甲斐があったってもんさ。
「おねたん、案外楽勝そうじゃない?」
カルキノスは動けないまま勇者パーティの怒涛の攻撃を受け続けてる。
「毒があるから、まだまだ油断はできないとは思うけどね」
「そのときは、あたしのコードエディタでちょちょいと……」
あたしは見てるだけ。
なんだか放置系のゲーム見てるみたいだわ。
「とどめだ!」
ロアスさんが剣を正面に構え、マギさんがそこへ雷撃の魔力を送る。
これ、アレだ。
戦隊モノでとどめを決めるときのアレだ。
今日のあたし、アレばっか言ってる。
アレでアレしてアレするんですね!?
「エレガント・ラストォォォオオオ!!」
ネーミングがアレだけど、ロアスさんの攻撃は見事に決まった。
雷撃を孕む一撃が、カルキノスに深々と刺さる。
「……グッ!」
最後に鳴き声かなんかよくわからん声を発して、カルキノスは煙を上げながら沈黙した。
「勝った……我々の勝利だ!!」
ロアスさんは高々と剣を上げた。
すごいね、ほとんど何にもさせずにカルキノスを倒しちゃったよ。
あたしいらなかったじゃん。
とりあえず拍手しとこ。パチパチパチー。
「ロアス、また腕を上げたな」
「みんなのサポートがあったからさ」
これで、あとは討伐の証の部位をもぎ取ってギルドへ戻るだけだね。
お疲れ様でした、勇者パーティのみなさん!
「千春……」
「ん?どうしたの、おねたん?」
「……まだ終わってない。勇者パーティの皆さん、警戒を解かないでください!」
おねたんの叫びに、ロアスさんたちは身構えた。
カルキノスからピキピキと音が聞こえる。
背中にヒビ……?
「グラインダーフォース!!」
マギさんが魔法を浴びせる。
でも、何かを割るような音は止まない。
「グォアアア!!」
カルキノスから叫び声が聞こえ、人型のシルエットが飛び出した!?
アルケニー……とは違う、気持ち悪い魔物と魔物のキメラみたいな……エイ◯アン?
今度こそ、その姿見てやってください。かなりキモいので。
あの日と同じように、ギルドの冒険者たちが勇者パーティの出立を総出で見送る。
違うのは、その勇者パーティにあたしが入ってるということ、そして──
「……」
あたしがさっきから聖女ナギアにめっちゃ見られていること。
「……なんですか?」
「あなたの使った解毒魔法を知りたくて……」
あれ、魔法じゃなくてスキルですよ。
あたし、魔法使えないんです。
「聖女として、大切な仲間の窮地を救うことができなかったことの悔しさ……あなたにわかりますか?」
聖女じゃないからわからん。
「千春のは魔法じゃないからね」
「うさぎが喋ってる!可愛いです!触らせてください!」
なんだこの状況。
おねたんが聖女に抱っこされてモフられてる。
「これは……!」
ロアスさんが立ち止まった。
先に進むための橋が壊されている。カルキノスっていうクモのモンスターはこの先にいるんでしょ?
「まさか、あのカルキノスが壊したのか?」
よくわからんけど、橋が壊れている。
カルキノスの棲家に続いていたのかな?
でも、そうだとしたら、カルキノスもこっちにこられないのでは?
「どうするの?ロアス」
「テレーズ、他に道はないか?」
「あたいも、ここしか道を知らないからね……」
じゃあ、帰っていいですか?
「千春、橋をDIYする?」
「またおねたんは、そんな無茶言って……橋を作るなんてDIYの域超えてるし、お母さんクマもいないから橋を作るための木を切り倒すのだって無理でしょ」
「チハル……君は木材があれば橋を作れるというのか?」
「DIYスキルでできるかもしれないですけど、やったことないから……」
「木材なら、あたいが」
テレーズさんが剣で木を切り倒した。
「うぉおおおおっ!」
目の前に木材が次々と並んでいく。
なにこれ、怖い。
「必要な本数を言ってくれ」
こんなすごい人たち相手に、どうやってカルキノスとかいうモンスターは勝ったというのか。
***
DIYスキルと、テレーズさんのなんかすごいアレで橋ができてしまった。
谷の反対側へのロープ渡しも、テレーズさんがあっさりやってくれたし、木材の加工もロアスさんがやってくれた。
あたし、いらなかったんじゃないの?
勇者パーティは建設会社としてもやっていけるよ。
「ふむ、急造にしてはしっかりしてるな。
これなら渡れそうだ」
「念の為、命綱は付けて渡ってくださいよ。
あたしも橋を造るのなんて初めてだったんですから」
こうして、あたしたちは先を急いだ。
ドラゴンのいた場所とは少し違う場所にカルキノスはいるみたい。
やっぱ、ドラゴンの気配があった場所は本能的に避けてるのかな?
「チハル、君は毒を受けた時の対策だけ頼む。
その、コードエディタというスキル、頼りにしてるぞ」
「はーい」
「チハルさんは大丈夫だと思いますけど、怪我をしたら私が治しますから!」
聖女がおねたんをモフりながら息巻く。
「あなたに救われたこの命……今度こそカルキノスを仕留めてやるわ」
マギさんの魔法が見られるなら、あたしはそれでいいです。
「おしゃべりはここまでだ……来るぞ!」
山を踏み荒らす音が響き、いよいよそれは姿を現した。
こいつが……カルキノス?
「……」
鳴き声とかなしに、それは現れた。
これは、あれだ。
あたしがいた世界でいうところの……ウデムシ!
世界三大奇虫のアレ!
挿絵で見せたほうがいい?いらない!?
「今度こそ倒す……テレーズ!マギ!ナギア!」
「「「はいっ!」」」
四人は一斉に動き出す。
ターゲットはウデムシ……じゃなかった、カルキノス。
あたしは応援!
「みなさんに加護を……」
ナギアさんの祈りで全員を淡い光が包み込む。
あたしにもなんかのバフくれたのか。
戦いませんけど。
「ソードスラーッシュ!!」
ロアスさんは技名を叫びながら斬る人だ!
ゲームキャラとか、よく技名を叫びながら攻撃するよね。
「どっせぇぇえいっ!!」
テレーズさんは力任せにカルキノスを殴打!
剣より斧とかの方が似合いそう。
「エレクトサンダー!!」
おおっ!魔法だ!
この世界で初めて見る魔法!
詠唱とかあるかと思ったけど、別にそんなことはなかったぜ!
これを見れただけでも来た甲斐があったってもんさ。
「おねたん、案外楽勝そうじゃない?」
カルキノスは動けないまま勇者パーティの怒涛の攻撃を受け続けてる。
「毒があるから、まだまだ油断はできないとは思うけどね」
「そのときは、あたしのコードエディタでちょちょいと……」
あたしは見てるだけ。
なんだか放置系のゲーム見てるみたいだわ。
「とどめだ!」
ロアスさんが剣を正面に構え、マギさんがそこへ雷撃の魔力を送る。
これ、アレだ。
戦隊モノでとどめを決めるときのアレだ。
今日のあたし、アレばっか言ってる。
アレでアレしてアレするんですね!?
「エレガント・ラストォォォオオオ!!」
ネーミングがアレだけど、ロアスさんの攻撃は見事に決まった。
雷撃を孕む一撃が、カルキノスに深々と刺さる。
「……グッ!」
最後に鳴き声かなんかよくわからん声を発して、カルキノスは煙を上げながら沈黙した。
「勝った……我々の勝利だ!!」
ロアスさんは高々と剣を上げた。
すごいね、ほとんど何にもさせずにカルキノスを倒しちゃったよ。
あたしいらなかったじゃん。
とりあえず拍手しとこ。パチパチパチー。
「ロアス、また腕を上げたな」
「みんなのサポートがあったからさ」
これで、あとは討伐の証の部位をもぎ取ってギルドへ戻るだけだね。
お疲れ様でした、勇者パーティのみなさん!
「千春……」
「ん?どうしたの、おねたん?」
「……まだ終わってない。勇者パーティの皆さん、警戒を解かないでください!」
おねたんの叫びに、ロアスさんたちは身構えた。
カルキノスからピキピキと音が聞こえる。
背中にヒビ……?
「グラインダーフォース!!」
マギさんが魔法を浴びせる。
でも、何かを割るような音は止まない。
「グォアアア!!」
カルキノスから叫び声が聞こえ、人型のシルエットが飛び出した!?
アルケニー……とは違う、気持ち悪い魔物と魔物のキメラみたいな……エイ◯アン?
今度こそ、その姿見てやってください。かなりキモいので。
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