モーハ

飛雪

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アルテミス

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アルテミスは、昔、人類が誕生した惑星を公転する衛星の名前である。月と呼ぶ人類の一部族もいた。
ある時アルテミスの地下で短命族の子供が生まれた。
その子には生まれつき両手に指がなかった。
短命族の科学技術は子が生まれるとすぐに子に合う義手が作られるほど進歩していた。10歳ぐらいになってから作られることが多かったが、両親は子が義手に慣れることを希望し生後5週間で小さな義手が作られた。
母親は生体科学者であったので、受精する前からその発育を見守っていた。
そして両手に指がないことがわかった時から顕微鏡的精密さでその発育を見守り続けた。そして指のアポトーシスに関連する遺伝子とその働きを司る酵素を特定した。
母親は我が子の観察に続いて月兎の発生の研究を行った。
月兎は短命族がアルテミスに移住した頃から月の生態系の一環として連れて来られたものである。
月兎はアルテミスに連れて来られた頃から長命になった。突然変異によるものであろうことははじめから予測されていたが、原因はわからないままであった。
生体科学者の母親はわが子の指が欠落していたことと月兎の長命とを遺伝子の比較から月兎の長命化遺伝子を特定し、短命族の寿命を延ばせる可能性を予測した。そして同じく生体科学者であった夫と共に短命族の長命化の遺伝子治療法を研究した。そして生まれたのが長命族であり、その第1世代はアルテ1と名付けられた。その子孫は後にアルテオ族を名乗った。
 ただ長命族には課題があった。子供が生まれないのである。月兎は繁殖し数が爆発的に増えたが、ヒトには子供が生まれなかった。受精は成功するが、受精後5週間で受精卵が死滅し、母親の体内で消えてしまうのである。短命族の研究者はいろいろと研究を尽くしたが原因は判明しなかった。
長命族が繁殖出来るようになると、我々短命族は駆逐されるのではないか、というおぼろげな疑念が研究者の頭の片隅に宿り、研究を遂行することができなかったからである。
    
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