聖夜のイタズラ

結愛

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クリスマスについて

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 クリスマス。
 イエス・キリストという、信者数一位を誇るキリスト教を立ち上げた人の誕生祭。どこまでが本当でどこまでが脚色かは分からない。

 更に、クリスマスツリーというのも、アダムとイブの物語を演じた時に用いられた樹木を参考にしたり、飾り付けるのも十九世紀から始まるなど、なかなか最近の話だ。

 だが、それらを知らなくてもこの世の人々は祝う。実際、このクリスマス自体、ゼロから見ればなかなか長い祭りだ。それを遡ろうとする人も、案外少ないかもしれない。

 キリスト圏では、家族で過ごすのがオーソドックスだ。しかし、それはキリスト教信者においての話であり、全くの無関係な人は好き気ままに過ごしている。

 しかも、クリスマスといえばと誰かに聞けば、大抵『サンタクロース』だの『プレゼント』だの、欲しか見えない回答が返ってくるに違いない。

 まぁ、関係ない人にとっては『寂しい日』というのもあるかもしれないが。

 とにかく、クリスマスといえばサンタクロース、サンタクロースといえばプレゼント、というように、どこかの企業の策略も練られていそうな構造になっている。

 それに、人間というものは、自由な思考力を持つ動物だ。そこから話はどんどん派生していく。

 サンタクロースは何処にいるのか、どうすればプレゼントが貰えるか、そもそもいるのだろうか、など。

 その疑問もある中、各国で、名前やルールは違う。

 イタリアでは、クリスマスは一月六日まで続き、五日になると魔女が来て、いい子にはお菓子を、悪い子には石炭をくれる。

 ドイツでは、悪い子を罰するサンタクロース――クネヒト・ループレヒトが来て、悪い子をさらっていく。

 などなど。割愛はしたが、なかなかに面白い話だ。

 悪い子には石炭というのは、あまり罰しているとは思えない。なにせ、この時代は石油や石炭が重宝されている。むしろ、国側としてはとてつもなくハッピーなことだ。こうなれば、故意的に悪い子になる人が増えるかもしれない。

 クネヒト・ループレヒトに関していえば、ただの人攫ひとさらい、犯罪である。サンタクロースだから許されるということは、サンタクロース自体、人間ではない別の種族かもしれないという説だって浮かび上がるだろう。

 ただの屁理屈を申してみたが、このように、サンタクロースも色々だ。
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