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第一章
第三話 ~珍妙なこと~
しおりを挟む道場を出て、リクは自分の部屋に戻り、レナはというと、庭に出ていた。庭というのも、横に広く、塀で囲まれている。建物の近くの方に花壇があり、色んな植物が植えられていた。
ハーブに最近ハマったレナは、報酬金で種を買っては植えている。花壇の半分ほどを占めていて、むしろメインがハーブのような気がする。
ハーブを採取し、手に持ったカゴに入れる。そのままキッチンにむかった。
ハーブティーを作る準備を一通り終え、食器棚からティーポットとティーカップを出す。その動作も、慣れたもので、迷うことは無い。
カモミールティーを、食器棚の端から出し、紅茶を作り出す。レナのこだわりは多くあり、どれもおいしさを引き立てている。自慢の入れ方だ。そのため、ファミレスとかでも、紅茶は頼まない。なにせ、自分がこだわっている分、他の紅茶を、しかもあまり好まない紅茶を飲んでしまえば、語ってしまうから。一度そんなことがあり、それ以降慎んでいる。ただ、カフェではよく飲んでいる。
テーブルにつき、椅子に腰をおろす。クッキーも棚から取り出し、ハーブティーの香りと味を堪能した。
ゆったりとした時間が流れる。一番心が落ち着くときだ。ただ、静かに飲む。
「うあぁぁぁぁ゛ぁぁあ?!」
「ひゃっふー」
······静かに飲む。
「おいぃぃぃぃー!!」
「ヒャッハハハハハハハハハハハハハハハッ! キーモチイイー!」
ガタンッとカップを荒立てて置く。
悲鳴と嬉声は長い間聞こえる。レナにとって、不愉快以外の何ものでもなかった。
おもむろに席を立ち、声の発生源まで歩く。その足取りは重く、遅い。だが、その身から尋常でないほどの殺気が放たれていた。
声を辿って着いたところは、リクの部屋だ。声の主はとっくに分かっている。
レナは右足を一歩引き、腰を落とす。そこから、踏み出した右足を軸にして、ドアに回転蹴りをかました。
ドアは、開くのをすっぽかし、金具が取れて倒れる。
人物は奥の方でやっていたらしく、ドアには当たらない。
倒れたドアの上を歩き、人物に近づく。そこには、リクとリミがいた。
なにをしていたかわからないが、レナは問うこともせず、ただ、一言述べた。
「うるさい」
低音で、威圧の十分かかった声。不満丸出しの、もはや無表情になっているところが、実に怖かった。
その気迫に押され、レナが部屋を出ていったあとも、リクとリミは、身を震わせた。
またレナは椅子に腰をおろすと、入れ直したハーブティーを一口飲む。
やっと落ち着いた。なにやら、今日は散々な日になりそうだ。午後は買い物の予定だが、気を付けなければいけない。
心の中でそう決めて、クッキーとともにハーブティーを飲み干した。
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