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第13話
「……ッ、いっ……」
目が覚めると、そこは無機質な白い部屋だった。
薬品の鼻をつく臭い。
手術台のような冷たい金属の椅子に座らされ、手足をガッチリと拘束されていた。
「目が覚めたかね? 『聖香』の器くん」
目の前に、義手の男――ネロンが立っていた。
その顔は歪んだ笑みに彩られている。
「ここは王立魔導研究所の極秘エリア、地下第五階層だ。地下100メートル、壁はオリハルコン合金製。……英雄といえど、ここまでは嗅ぎつけられまい」
「……」
俺はため息をついた。
手首の手錠を見る。魔力を封じる『封魔鉱石』でできているようだ。
「……ねえ、アンタたち」
「命乞いか? 無駄だぞ。すぐに解剖を――」
「違う。……逃げるなら今のうちだよ、って言ってるんだ」
俺はネロンと、周囲にいる白衣の研究員たちを哀れみの目で見回した。
「あんた達は、猛獣の檻の鍵を壊した上に、その餌を盗んだんだ。……何が起きるか、想像できないの?」
「ハッ! ガルドのことか? 奴は今頃、王都で地団駄を踏んでいるだろうよ! ここは結界で遮断されている! 匂いなど漏れるはずが……」
ウゥゥゥゥゥゥゥ――ッ!!!!!
ネロンの言葉を遮るように、施設内にけたたましい警報音が鳴り響いた。
赤い回転灯が激しく明滅する。
「な、なんだ!? 何が起きた!」
「副所長! け、結界に異常発生! 第一層から第三層まで、一瞬で消滅しました!」
「はぁ!?」
モニターを見ていた研究員が悲鳴を上げた。
画面には、施設の地上部分が映し出されている。
そこには――何もなかった。
ただ、巨大なクレーターができているだけだった。
「……は?」
ネロンが言葉を失う。
そして、そのクレーターの中心に、黒い点が見えた。
それは瞬く間に拡大し、カメラに向かって突っ込んでくる。
「高エネルギー反応接近!! スピード……測定不能!! 速すぎます!!」
「迎撃しろ!! 防御システム全開だ!!」
モニターの中で、無数の迎撃魔法が黒い点に放たれる。
だが、黒い点は止まらない。
魔法を素手で払い除け、防御壁を紙のように引き裂き、一直線に「ここ」を目指してくる。
「……ほら、来た」
俺は天井を見上げた。
微かな振動が、足元から伝わってくる。
地鳴りだ。
怒れる英雄の足音が聞こえる。
◇
一方その頃、地上。
「ガ、ガルド殿! 止まってくれ! そこは国の重要施設だ!」
王宮騎士団長が、必死の形相で叫んでいた。
だが、その声は英雄には届いていない。
「……邪魔だ」
ガルドは歩く災害と化していた。
一歩踏み出すたびにアスファルトが溶解し、彼が通った後には草一本残らない。
全身から立ち上る黒い魔力は、触れるもの全てを腐食させる猛毒の霧となっている。
「臭い……。どいつもこいつも、ドブ以下の悪臭を放ちやがって……」
ガルドの目は、もはや理性の光を宿していなかった。
あるのは、飢餓感だけ。
酸素を奪われた生物の、生存本能のみが彼を動かしている。
「……薫……。俺の薫……」
鼻をひくつかせる。
遠い。
深く、暗い土の底から、微かに、本当に微かに、愛しい匂いがする。
「……そこか」
ガルドは研究所の正門の前に立った。
地下への入り口は、分厚い合金の扉で閉ざされている。
「開けろ」
ガルドが手をかざす。
ズドォォォォォォォンッ!!
扉などという概念は消え去った。
ただの力技。
圧縮された魔力弾が、地下へ続くトンネルを一瞬で開通させたのだ。
「……迎えに行くぞ、薫」
ガルドは縦穴に身を踊らせた。
重力に任せて落下しながら、邪魔な隔壁を全て拳で粉砕していく。
「あいつらが……お前の指一本でも傷つけていたら……この星ごと消してやる……!」
◇
地下第五階層。
揺れが激しくなっていた。
「ありえん……! 地下100メートルだぞ!? たった数分で……!」
ネロンが腰を抜かしてへたり込んだ。
研究員たちは我先にと逃げ出そうとしているが、出口はすでに瓦礫で塞がれている。
「だから言ったろ? ……あの人は『俺の匂い』がないと、加減ができないんだ」
俺は冷静に告げた。
正直、俺も怖い。
このままだと、救出される前に瓦礫の下敷きになって死ぬかもしれない。
でも、不思議と安心感があった。
あの変態英雄は、絶対に俺の匂いを嗅ぎつけてくれるという確信が。
ズガァァァァァァァンッ!!!!!
ついに、最後の天井が崩落した。
分厚いオリハルコンの装甲板が、飴細工のようにひしゃげて落下してくる。
舞い上がる粉塵。
スパークする電気配線。
その硝煙の向こうから、二つの赤い光が揺らめいた。
「……ひッ……」
ネロンが喉をひきつらせる。
煙を切り裂いて現れたのは、全身から血のような蒸気を噴き出す、異形の男。
服はボロボロに破れ、筋肉が膨張し、血管が不気味に脈打っている。
「……あ、あ……」
研究員の一人が失禁して倒れた。
生物としての格が違う。
目の前にいるのは、捕食者だ。
ガルドがゆっくりと顔を上げる。
充血した眼球が、部屋の中をギョロリと見回す。
そして――俺の姿を捉えた瞬間、ピタリと止まった。
「……か、おる……?」
低い、獣の唸り声のような響き。
ガルドが一歩踏み出す。
「来るな!!」
錯乱したネロンが、隠し持っていた魔導銃をガルドに向けた。
発射された魔法弾がガルドの眉間に直撃する。
カンッ。
小石が当たった程度の音。
ガルドは瞬きすらしなかった。
ゆっくりと、ネロンの方へ顔を向ける。
「……貴様か」
「ひぃぃぃぃッ!!?」
ガルドの姿がブレた。
次の瞬間、ネロンの首は、ガルドの巨大な手に掴まれていた。
「俺の酸素を……隠したのは」
ガルドの握力が強まる。
ミシミシと、ネロンの首の骨が悲鳴を上げる。
「がっ……ぐ……!」
「死ね。……いや、死ぬことすら許さん。永遠に苦痛の中で――」
「ガルド様!」
俺は叫んだ。
このままじゃ、本当にネロンの頭がプチトマトみたいに潰れてしまう。
それはさすがに寝覚めが悪い。
「ガルド様! 俺はここです! 無事です!」
俺の声に、ガルドの動きが止まった。
赤く染まっていた瞳が、ゆっくりと俺の方へ向く。
「……薫……?」
「はい。生きてます。どこも怪我してません」
「……匂いが……する……」
ガルドはネロンを雑巾のように放り捨てると、ふらふらと俺の方へ歩いてきた。
拘束具など、彼にとっては紙切れ同然だ。
素手で俺の手錠を引きちぎり、俺を抱き上げた。
「……あぁ……」
ガルドはその場に崩れ落ちるように膝をつき、俺の腹に顔を埋めた。
「スゥーーーーーーーーーーーーーーッ………………」
部屋中に響く、深呼吸の音。
震えている。
最強の英雄が、子供のように震えながら、俺の匂いを貪っている。
「……よかった……。本当によかった……」
「……遅いですよ、馬鹿犬」
俺はため息をつきながら、汗と血と埃にまみれたガルドの頭を撫でた。
周囲の研究員たちは、あまりの恐怖と、目の前で繰り広げられる異様な光景に、声も出せずに立ち尽くしていた。
目が覚めると、そこは無機質な白い部屋だった。
薬品の鼻をつく臭い。
手術台のような冷たい金属の椅子に座らされ、手足をガッチリと拘束されていた。
「目が覚めたかね? 『聖香』の器くん」
目の前に、義手の男――ネロンが立っていた。
その顔は歪んだ笑みに彩られている。
「ここは王立魔導研究所の極秘エリア、地下第五階層だ。地下100メートル、壁はオリハルコン合金製。……英雄といえど、ここまでは嗅ぎつけられまい」
「……」
俺はため息をついた。
手首の手錠を見る。魔力を封じる『封魔鉱石』でできているようだ。
「……ねえ、アンタたち」
「命乞いか? 無駄だぞ。すぐに解剖を――」
「違う。……逃げるなら今のうちだよ、って言ってるんだ」
俺はネロンと、周囲にいる白衣の研究員たちを哀れみの目で見回した。
「あんた達は、猛獣の檻の鍵を壊した上に、その餌を盗んだんだ。……何が起きるか、想像できないの?」
「ハッ! ガルドのことか? 奴は今頃、王都で地団駄を踏んでいるだろうよ! ここは結界で遮断されている! 匂いなど漏れるはずが……」
ウゥゥゥゥゥゥゥ――ッ!!!!!
ネロンの言葉を遮るように、施設内にけたたましい警報音が鳴り響いた。
赤い回転灯が激しく明滅する。
「な、なんだ!? 何が起きた!」
「副所長! け、結界に異常発生! 第一層から第三層まで、一瞬で消滅しました!」
「はぁ!?」
モニターを見ていた研究員が悲鳴を上げた。
画面には、施設の地上部分が映し出されている。
そこには――何もなかった。
ただ、巨大なクレーターができているだけだった。
「……は?」
ネロンが言葉を失う。
そして、そのクレーターの中心に、黒い点が見えた。
それは瞬く間に拡大し、カメラに向かって突っ込んでくる。
「高エネルギー反応接近!! スピード……測定不能!! 速すぎます!!」
「迎撃しろ!! 防御システム全開だ!!」
モニターの中で、無数の迎撃魔法が黒い点に放たれる。
だが、黒い点は止まらない。
魔法を素手で払い除け、防御壁を紙のように引き裂き、一直線に「ここ」を目指してくる。
「……ほら、来た」
俺は天井を見上げた。
微かな振動が、足元から伝わってくる。
地鳴りだ。
怒れる英雄の足音が聞こえる。
◇
一方その頃、地上。
「ガ、ガルド殿! 止まってくれ! そこは国の重要施設だ!」
王宮騎士団長が、必死の形相で叫んでいた。
だが、その声は英雄には届いていない。
「……邪魔だ」
ガルドは歩く災害と化していた。
一歩踏み出すたびにアスファルトが溶解し、彼が通った後には草一本残らない。
全身から立ち上る黒い魔力は、触れるもの全てを腐食させる猛毒の霧となっている。
「臭い……。どいつもこいつも、ドブ以下の悪臭を放ちやがって……」
ガルドの目は、もはや理性の光を宿していなかった。
あるのは、飢餓感だけ。
酸素を奪われた生物の、生存本能のみが彼を動かしている。
「……薫……。俺の薫……」
鼻をひくつかせる。
遠い。
深く、暗い土の底から、微かに、本当に微かに、愛しい匂いがする。
「……そこか」
ガルドは研究所の正門の前に立った。
地下への入り口は、分厚い合金の扉で閉ざされている。
「開けろ」
ガルドが手をかざす。
ズドォォォォォォォンッ!!
扉などという概念は消え去った。
ただの力技。
圧縮された魔力弾が、地下へ続くトンネルを一瞬で開通させたのだ。
「……迎えに行くぞ、薫」
ガルドは縦穴に身を踊らせた。
重力に任せて落下しながら、邪魔な隔壁を全て拳で粉砕していく。
「あいつらが……お前の指一本でも傷つけていたら……この星ごと消してやる……!」
◇
地下第五階層。
揺れが激しくなっていた。
「ありえん……! 地下100メートルだぞ!? たった数分で……!」
ネロンが腰を抜かしてへたり込んだ。
研究員たちは我先にと逃げ出そうとしているが、出口はすでに瓦礫で塞がれている。
「だから言ったろ? ……あの人は『俺の匂い』がないと、加減ができないんだ」
俺は冷静に告げた。
正直、俺も怖い。
このままだと、救出される前に瓦礫の下敷きになって死ぬかもしれない。
でも、不思議と安心感があった。
あの変態英雄は、絶対に俺の匂いを嗅ぎつけてくれるという確信が。
ズガァァァァァァァンッ!!!!!
ついに、最後の天井が崩落した。
分厚いオリハルコンの装甲板が、飴細工のようにひしゃげて落下してくる。
舞い上がる粉塵。
スパークする電気配線。
その硝煙の向こうから、二つの赤い光が揺らめいた。
「……ひッ……」
ネロンが喉をひきつらせる。
煙を切り裂いて現れたのは、全身から血のような蒸気を噴き出す、異形の男。
服はボロボロに破れ、筋肉が膨張し、血管が不気味に脈打っている。
「……あ、あ……」
研究員の一人が失禁して倒れた。
生物としての格が違う。
目の前にいるのは、捕食者だ。
ガルドがゆっくりと顔を上げる。
充血した眼球が、部屋の中をギョロリと見回す。
そして――俺の姿を捉えた瞬間、ピタリと止まった。
「……か、おる……?」
低い、獣の唸り声のような響き。
ガルドが一歩踏み出す。
「来るな!!」
錯乱したネロンが、隠し持っていた魔導銃をガルドに向けた。
発射された魔法弾がガルドの眉間に直撃する。
カンッ。
小石が当たった程度の音。
ガルドは瞬きすらしなかった。
ゆっくりと、ネロンの方へ顔を向ける。
「……貴様か」
「ひぃぃぃぃッ!!?」
ガルドの姿がブレた。
次の瞬間、ネロンの首は、ガルドの巨大な手に掴まれていた。
「俺の酸素を……隠したのは」
ガルドの握力が強まる。
ミシミシと、ネロンの首の骨が悲鳴を上げる。
「がっ……ぐ……!」
「死ね。……いや、死ぬことすら許さん。永遠に苦痛の中で――」
「ガルド様!」
俺は叫んだ。
このままじゃ、本当にネロンの頭がプチトマトみたいに潰れてしまう。
それはさすがに寝覚めが悪い。
「ガルド様! 俺はここです! 無事です!」
俺の声に、ガルドの動きが止まった。
赤く染まっていた瞳が、ゆっくりと俺の方へ向く。
「……薫……?」
「はい。生きてます。どこも怪我してません」
「……匂いが……する……」
ガルドはネロンを雑巾のように放り捨てると、ふらふらと俺の方へ歩いてきた。
拘束具など、彼にとっては紙切れ同然だ。
素手で俺の手錠を引きちぎり、俺を抱き上げた。
「……あぁ……」
ガルドはその場に崩れ落ちるように膝をつき、俺の腹に顔を埋めた。
「スゥーーーーーーーーーーーーーーッ………………」
部屋中に響く、深呼吸の音。
震えている。
最強の英雄が、子供のように震えながら、俺の匂いを貪っている。
「……よかった……。本当によかった……」
「……遅いですよ、馬鹿犬」
俺はため息をつきながら、汗と血と埃にまみれたガルドの頭を撫でた。
周囲の研究員たちは、あまりの恐怖と、目の前で繰り広げられる異様な光景に、声も出せずに立ち尽くしていた。
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