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vs. お貴族サマ。

そこだけは揺るがない。

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知らなかったコトとはいえ。

なめくじり嫌いの冒険者に、思い出したくない過去を思い出させてしまったらしい。

なんか、ゴメン。



って、まぁ。

他人サマのトラウマえぐっといて何なんだが、今重要なのはそんなコトじゃない。

「テキトーにもてあそんで、あっさり捨てたな」
「やっぱ鬼だな」
「うん知ってた」
「「「うんうん」」」

さっきからウルサいな。

言いたい放題の組合員=ヤジ馬ども。
楽しそーだね?

そんな連中に、つい、じとっとした視線を送る私。

「ねぇ? みんな、仕事は?」

ジト目のまんまでそう問いなから、サラッと見渡すと。

「…………」
「ん~……」
「♪」

ついっ……と目を反らすヤツ。
わざとらしく依頼の掲示板を眺めるヤツ。
めっちゃ笑顔でこっちに手を振ってくるヤツ。
……等々。

自由極まりないな。
うん、知ってた。



ヤジ馬どものコトはもう、スルーする方向で。
気にしたら、負けだ。

「とりあえず。お貴族サマ方への呪術は、微調整しておこう」

ちょっとした変更を、だな。

「……そこで、呪術仕掛けるのを止めるって選択肢は……?」
「リック? 分かってて言ってるわよね? この子がそんな中途半端な事、するはずないでしょ」

穏健派のおにーさまと、過激派なおねーさまだった。
共通点は、2人共に微妙な半笑いってトコかな。



……黒白師匠ズにも言われておりました。
やるならきっちりと、相応の覚悟を持ってやんなさい、って。
特に白師匠なんかは。

『やるなら徹底的に、心を折るというよりも、むしろ再起不能にするつもりでやんなさい。お礼参りとか反撃とかする気力すら湧かないように、徹底的に、ね』

……だってさ。

ちなみにその時の白師匠、めっちゃ良い笑顔で、でも目だけは真剣ってゆー。
ある意味オソロシい表情で、きっぱりと言いきって下さったよ。



ちょっとだけ、黒白師匠ズに想いを馳せる。

さて。
どんな呪いにしようかな。

……まぁ、ブラ何とか侯爵への、『息子さん役立たず』は継続で。
それだけは、変更なしで。

「コール、お前……。そんな下ネタまで仕掛けてたのか」

おにーさまは、微妙に顔をひきつらせていた。
ちょっと視線を向けてみたらば。
組合員のおっさんどもも、ドン引きしてた。

「いや、だってさ? 亡き妻がどーの、って言ってる割に、サッサと再婚してる『もしかして父親?』なんかに、期待するコトなんか一個も無いでしょうが」

しかも。
再婚相手との間に生まれた娘は、侯爵家の血を引いて無い、託卵された子供だって気付きもしなかったおトボケっぷりだ。
お貴族サマの義務として、後継ぎの男子を作んなきゃならないんだから、最適な嫌がらせだろう?
不能の呪いって、さ。

「……ホント、容赦無しね?」

そう言ってるおねーさまだって、微妙に笑顔じゃないか。
ドン引いてる野郎どもは、全力スルーで。

うん。






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