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庭にハニワ

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いやん、バレた?

温度差が激しい。

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「あの時の貴女の雄姿は、公国内で語り継がれております。戦乙女とは、まさに貴女の事! ……あの折の感謝も恩も、まだお返ししておりません。是非、一度公国へとお招きしたい! 我らが王も、一度貴女にお会いして、一言礼を延べたい……とおっしゃっておりました。……この場でお会い出来たのは、まさに神の采配! 是非とも我がイサナ公国へといらして下さい!」

……うん。

めちゃくちゃ興奮してるな。
なんだかムダにキラキラしてるよ、この紳士。
一国の宰相補佐ともあろう方が、そんなに興奮してどうする?
大人だろ?
冷静になれよ。

興奮具合に引くわ……。

すごい感謝されてたようだね私。
道をふさぐ異物を退かしただけ、なんだけどな。
私としては、さ。

しかし……。

まぁ余計な事をぺらぺらぺらぺら……。

国賓でさえなけりゃ、物理的に口をふさぐのに。




王族サマ方とギャラリーの方々は。
唖然としながらも、私に視線を一点集中。

──こんな華奢な令嬢が?
──飛竜を、それも番の飛竜を?
──いったいどうやって?
──……あり得ない。
──いや、だがあの扇は、確かに竜種の素材だ。
──足元からも、扇と同様の魔力の痕跡を感じますぞ。
──そういえば……2・3年前に、他国で竜の素材が売りに出された事が。
──……まさか?
──本当に?

さわさわさわ……。




うん。

ギャラリーからの視線の圧が、上昇してる気がする。
そして、王族サマ方の方からも……。

いろんな意味で、ロックオンされたか。

めっちゃ見られてる。
見られてるよ。


と。

いきなり響きわたるキンキン声。

「その、飛竜? とかいうのをナンとか? したのは、ワタシです~!」

……いきなり何言い出してんの、義妹?




またもや場の空気が凍った。

シ……ンと静まり返った大広間に、凍てつく空気をモノともせずに戯言を喚き続ける義妹。

「その……なんだっけ? えっと……あ。その、どこかの山にいた……飛竜? とかいうのをナンとかしたのは、ワタシです!」

ちょっとナニ言ってんの、義妹?

とりあえず、お前の心臓は毛の生えた鋼鉄製だって事だけは、理解した。

戯言を抜かしながら、公国の宰相補佐──よーするに、偉い人──に、体当たりする気か? って勢いで突っ込んでった義妹。
当然のように、宰相補佐に付いていた護衛に取り押さえられた。

そりゃね?
外国の要人に、突撃ーっ! って……。
バカとしか思えない行動だろ?

だが当のご本人義妹は。

「ちょっと! 離しなさいよ! ワタシを誰だと思ってんの!」

愚か者だろ?

周囲からの凍てつく視線が、義妹に注がれる。

が。

「ワタシが飛竜? をナンとかしたのよ! 公国に招かれるのは、このワタシよ! そして、公国の王子様や高位貴族の子息達と……素敵な殿方達と楽しく暮らすのよ!」

大広間全体が、絶対零度のナニかに支配された。








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