特技は有効利用しよう。

人は変わらない。

立場的には。

侍女をナンパしまくってた宿の従業員──実際は、公国の第二公子が送り込んできた、ハニトラ要員の１人──を、王弟殿下に引き合わせてみた。

すっごい微妙な顔してるな、王弟殿下。
なんで自分が公子の手の者に会う必要が？　って顔に書いてある。

いや、立場的には一番紐の先端と類似してるじゃないか。
紐の先端は、前公王の弟で。
王弟殿下は現王の弟。

ほら、一番立場が近い。

「だから、公国を上げてのハニトラ集団とはまた別に、わざわざ自分の手駒を送り込んできた、紐の先端の考えも解るんじゃないかな、と」
「紐の先端……」

ケーリッシュ嬢、別にここに居てもいいですけど、細かく突っ込み入れるのはちょっと……。
話が進まない。
王弟殿下が、貴女の方に意識集中しちゃうから。


とりあえず。

ケーリッシュ嬢が関係ない事を気にしないように、あとナルさんが甘味を求めてすごい見てくるので。
どっちも黙らせる為に、ブランデーケーキを出して──ハイドさんが過剰反応したので、ハイドさんにも──大人にしてようね？　とやって。

王弟殿下の意見を伺いたいんだが。

……ブランデーの香りに、意識が飛んだらしい。
紐付きも、部屋に控えてた侍女従僕も、気が散ってしょうがないようだ。

うん。
菓子の選択間違えた。