245 / 374
デカけりゃいいってモンじゃない。
しおりを挟む
メレンゲ(焼)をかりかり、とやりながら、ざっと周囲の《索敵》をする。
……うん。
謎生物は、粗方片付けたかな?
「あの群れたヤツ、ちょっとメンドくさかったですねー……」
ちょっとウツロな目になって言う俺に、ミヤさんも。
「群れりゃいいってモンじゃないんだけどね……」
ここじゃない、どこか遠くを眺めていた。
「なあ、お前らさ……」
ジェイが内緒話でもするみたいに、こそっと言った。
「なんであんなモノ見て、平然としてたんだ? 普通、逃げようとするんじゃないのか?」
なんで小声。
別にこそこそするよーな話じゃないだろ?
大きな音に反応して寄ってきてたワケじゃなかったしな。
それに、群れになったのがメンドくさって思っただけだし。
ぶっちゃけた話、マトがデカくなってやりやすいっちゃーやりやすかったし。
「アレが面倒だって言ったのは、マトモに対峙してたらキリがなかったな~ってだけでな。正直、固めちまえばこっちのモンだったし」
「1ヵ所切り離しても、残った無事な部分がすぐにくっ付いて、元に戻るっていうのが凄くうっとうしいだけだったしね。……イラっとするのは確かだけどね」
ジェイは何か納得したようだ。
「そういやお前ら、最初舌打ちしながら切りつけたり潰したりしてたな。……確かにすぐ元通りになって……。いや、まずあんなモン、相手取ろうなんて普通思わないだろ……」
俺は、はっきりきっぱり言った。
「ソレがそこに居る、って事実にムカついた。絶対潰してやる、って思った。ついでに群れてデカくなりゃいいってモンじゃない、って思った。……魔石持ちになるほど魔素が溜まるってんならともかく、単に群れてムダにデカい不定形生物になっただけ、だもんな~。もうムカついてムカついて……」
そんな俺にミヤさんが。
「……魔素が濃くなるワケでもなかったしね。ただ群れただけ。融合したとか言うんなら、魔素回収の望みもあったかもしれないけどね。まとめて消し飛ばしたくなってもしょうがないよね」
実際やったしな。
俺が氷結で固めたヤツを、ミヤさんが賽の目切りにして。
ソレを俺が塵芥にして消し飛ばした。
なんとなく、スッキリした。
さて、と。
もう謎生物は……居ない、かな?
新たに湧いてこない限りは。
「人イヌどもは1部屋に集まって閉じこもっているみたいだしね? 他におかしな反応は……1階に一つ、2階に一つ。あと……地下に幾つかあるようだね」
ミヤさんは《索敵》中。
遠くを見る目がその証。
「2階は銀竜が対処して──あぁ、もうじき終わるね。ジェイ。君のお母さんは無事なようだよ」
ジェイはくしゃっと顔を歪ませて──。
「本当か……良かった。間に合ったんだな。……本当に、良かった……」
その場にへたり込んだ。
半泣きだ。
気が早いな。
──スズ達の前に──
でーん、と登場した謎な上に不気味な生物は。
映画、某星間戦争シリーズに登場する、ちょっとした肉の山みたいな生物に激似だった。
それか触覚の無いなめなめくじ……を肥大させた感じで。
とりあえず、結界内に引きこもった3人+1匹。
スズが。
「うっわ、キモ……」
と言うと、リッカもまた。
「……大きければいいってモンじゃないと思うんだけど……」
ゲンナリと言った。
銀竜と猫又は。
「……あんな生き物、存在しましたかね?」
「……50年前には居なかったと思うんにゃが。……最近は、あーゆーのがそこいらに居るのかにゃ?」
「いや、この館に来るまで見たことも無かったですね」
と、なんとなくのんびりと話している。
……そんな場合じゃないだろうに……。
不気味生物は、切り傷みたいに細い目を精一杯見開き。
やはり切り傷のような大きめの口を開いた。
「う……ふう~……。良い男に、かわいいボウヤぁ~……。女は邪魔ねぇ……。猫はぁ……かわいいけどぉ~、あんた、メスよねぇ? ワタシ以外の女やメスはぁ、いらないわぁ~……」
ゑ。
ひょっとして。
この言い分からして……。
「まーさ、か~?」
スズがリッカを見て。
「この、不気味生物って……」
リッカが銀竜を見る。
銀竜は、どこかウンザリとした様子で。
「メス、ですかね。分類的には……」
そう言って、ため息をついた。
猫又は呆れたように。
「……にゃんだかよくわからにゃい生き物にゃけど……性別ってあるんだにゃあ……」
……うん。
謎生物は、粗方片付けたかな?
「あの群れたヤツ、ちょっとメンドくさかったですねー……」
ちょっとウツロな目になって言う俺に、ミヤさんも。
「群れりゃいいってモンじゃないんだけどね……」
ここじゃない、どこか遠くを眺めていた。
「なあ、お前らさ……」
ジェイが内緒話でもするみたいに、こそっと言った。
「なんであんなモノ見て、平然としてたんだ? 普通、逃げようとするんじゃないのか?」
なんで小声。
別にこそこそするよーな話じゃないだろ?
大きな音に反応して寄ってきてたワケじゃなかったしな。
それに、群れになったのがメンドくさって思っただけだし。
ぶっちゃけた話、マトがデカくなってやりやすいっちゃーやりやすかったし。
「アレが面倒だって言ったのは、マトモに対峙してたらキリがなかったな~ってだけでな。正直、固めちまえばこっちのモンだったし」
「1ヵ所切り離しても、残った無事な部分がすぐにくっ付いて、元に戻るっていうのが凄くうっとうしいだけだったしね。……イラっとするのは確かだけどね」
ジェイは何か納得したようだ。
「そういやお前ら、最初舌打ちしながら切りつけたり潰したりしてたな。……確かにすぐ元通りになって……。いや、まずあんなモン、相手取ろうなんて普通思わないだろ……」
俺は、はっきりきっぱり言った。
「ソレがそこに居る、って事実にムカついた。絶対潰してやる、って思った。ついでに群れてデカくなりゃいいってモンじゃない、って思った。……魔石持ちになるほど魔素が溜まるってんならともかく、単に群れてムダにデカい不定形生物になっただけ、だもんな~。もうムカついてムカついて……」
そんな俺にミヤさんが。
「……魔素が濃くなるワケでもなかったしね。ただ群れただけ。融合したとか言うんなら、魔素回収の望みもあったかもしれないけどね。まとめて消し飛ばしたくなってもしょうがないよね」
実際やったしな。
俺が氷結で固めたヤツを、ミヤさんが賽の目切りにして。
ソレを俺が塵芥にして消し飛ばした。
なんとなく、スッキリした。
さて、と。
もう謎生物は……居ない、かな?
新たに湧いてこない限りは。
「人イヌどもは1部屋に集まって閉じこもっているみたいだしね? 他におかしな反応は……1階に一つ、2階に一つ。あと……地下に幾つかあるようだね」
ミヤさんは《索敵》中。
遠くを見る目がその証。
「2階は銀竜が対処して──あぁ、もうじき終わるね。ジェイ。君のお母さんは無事なようだよ」
ジェイはくしゃっと顔を歪ませて──。
「本当か……良かった。間に合ったんだな。……本当に、良かった……」
その場にへたり込んだ。
半泣きだ。
気が早いな。
──スズ達の前に──
でーん、と登場した謎な上に不気味な生物は。
映画、某星間戦争シリーズに登場する、ちょっとした肉の山みたいな生物に激似だった。
それか触覚の無いなめなめくじ……を肥大させた感じで。
とりあえず、結界内に引きこもった3人+1匹。
スズが。
「うっわ、キモ……」
と言うと、リッカもまた。
「……大きければいいってモンじゃないと思うんだけど……」
ゲンナリと言った。
銀竜と猫又は。
「……あんな生き物、存在しましたかね?」
「……50年前には居なかったと思うんにゃが。……最近は、あーゆーのがそこいらに居るのかにゃ?」
「いや、この館に来るまで見たことも無かったですね」
と、なんとなくのんびりと話している。
……そんな場合じゃないだろうに……。
不気味生物は、切り傷みたいに細い目を精一杯見開き。
やはり切り傷のような大きめの口を開いた。
「う……ふう~……。良い男に、かわいいボウヤぁ~……。女は邪魔ねぇ……。猫はぁ……かわいいけどぉ~、あんた、メスよねぇ? ワタシ以外の女やメスはぁ、いらないわぁ~……」
ゑ。
ひょっとして。
この言い分からして……。
「まーさ、か~?」
スズがリッカを見て。
「この、不気味生物って……」
リッカが銀竜を見る。
銀竜は、どこかウンザリとした様子で。
「メス、ですかね。分類的には……」
そう言って、ため息をついた。
猫又は呆れたように。
「……にゃんだかよくわからにゃい生き物にゃけど……性別ってあるんだにゃあ……」
32
あなたにおすすめの小説
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
貴方のために
豆狸
ファンタジー
悔やんでいても仕方がありません。新米商人に失敗はつきものです。
後はどれだけ損をせずに、不良債権を切り捨てられるかなのです。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
【完結】ゲーム開始は自由の時! 乙女ゲーム? いいえ。ここは農業系ゲームの世界ですよ?
キーノ
ファンタジー
私はゲームの世界に転生したようです。主人公なのですが、前世の記憶が戻ったら、なんという不遇な状況。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか。
ある日、我が家に勝手に住み着いた平民の少女が私に罵声を浴びせて来ました。乙女ゲーム? ヒロイン? 訳が解りません。ここはファーミングゲームの世界ですよ?
自称妹の事は無視していたら、今度は食事に毒を盛られる始末。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか?
私はどんな辛いことも頑張って乗り越えて、ゲーム開始を楽しみにいたしますわ!
※紹介文と本編は微妙に違います。
完結いたしました。
感想うけつけています。
4月4日、誤字修正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる