目標:撤収

庭にハニワ

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デカけりゃいいってモンじゃない。

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メレンゲ(焼)をかりかり、とやりながら、ざっと周囲の《索敵》をする。
……うん。
謎生物は、粗方片付けたかな?

「あの群れたヤツ、ちょっとメンドくさかったですねー……」

ちょっとウツロな目になって言う俺に、ミヤさんも。

「群れりゃいいってモンじゃないんだけどね……」

ここじゃない、どこか遠くを眺めていた。

「なあ、お前らさ……」

ジェイが内緒話でもするみたいに、こそっと言った。

「なんであんなモノ見て、平然としてたんだ? 普通、逃げようとするんじゃないのか?」

なんで小声。
別にこそこそするよーな話じゃないだろ?
大きな音に反応して寄ってきてたワケじゃなかったしな。
それに、群れになったのがメンドくさって思っただけだし。
ぶっちゃけた話、マトがデカくなってやりやすいっちゃーやりやすかったし。

「アレが面倒だって言ったのは、マトモに対峙してたらキリがなかったな~ってだけでな。正直、固めちまえばこっちのモンだったし」
「1ヵ所切り離しても、残った無事な部分がすぐにくっ付いて、元に戻るっていうのが凄くうっとうしいだけだったしね。……イラっとするのは確かだけどね」

ジェイは何か納得したようだ。

「そういやお前ら、最初舌打ちしながら切りつけたり潰したりしてたな。……確かにすぐ元通りになって……。いや、まずあんなモン、相手取ろうなんて普通思わないだろ……」

俺は、はっきりきっぱり言った。

「ソレがそこに居る、って事実にムカついた。絶対潰してやる、って思った。ついでに群れてデカくなりゃいいってモンじゃない、って思った。……魔石持ちになるほど魔素が溜まるってんならともかく、単に群れてムダにデカい不定形生物になっただけ、だもんな~。もうムカついてムカついて……」

そんな俺にミヤさんが。

「……魔素が濃くなるワケでもなかったしね。ただ群れただけ。融合したとか言うんなら、魔素回収の望みもあったかもしれないけどね。まとめて消し飛ばしたくなってもしょうがないよね」

実際やったしな。
俺が氷結で固めたヤツを、ミヤさんが賽の目切りにして。
ソレを俺が塵芥にして消し飛ばした。

なんとなく、スッキリした。

さて、と。
もう謎生物は……居ない、かな?
新たに湧いてこない限りは。

「人イヌどもは1部屋に集まって閉じこもっているみたいだしね? 他におかしな反応は……1階に一つ、2階に一つ。あと……地下に幾つかあるようだね」

ミヤさんは《索敵》中。
遠くを見る目がその証。

「2階は銀竜が対処して──あぁ、もうじき終わるね。ジェイ。君のお母さんは無事なようだよ」

ジェイはくしゃっと顔を歪ませて──。

「本当か……良かった。間に合ったんだな。……本当に、良かった……」

その場にへたり込んだ。
半泣きだ。
気が早いな。



──スズ達の前に──
でーん、と登場した謎な上に不気味な生物は。
映画、某星間戦争シリーズに登場する、ちょっとした肉の山みたいな生物に激似だった。
それか触覚の無いなめなめくじ……を肥大させた感じで。

とりあえず、結界内に引きこもった3人+1匹。
スズが。

「うっわ、キモ……」

と言うと、リッカもまた。

「……大きければいいってモンじゃないと思うんだけど……」

ゲンナリと言った。
銀竜と猫又は。

「……あんな生き物、存在しましたかね?」
「……50年前には居なかったと思うんにゃが。……最近は、あーゆーのがそこいらに居るのかにゃ?」
「いや、この館に来るまで見たことも無かったですね」

と、なんとなくのんびりと話している。

……そんな場合じゃないだろうに……。



不気味生物は、切り傷みたいに細い目を精一杯見開き。
やはり切り傷のような大きめの口を開いた。

「う……ふう~……。良い男に、かわいいボウヤぁ~……。女は邪魔ねぇ……。猫はぁ……かわいいけどぉ~、あんた、メスよねぇ? ワタシ以外の女やメスはぁ、いらないわぁ~……」

ゑ。

ひょっとして。
この言い分からして……。

「まーさ、か~?」

スズがリッカを見て。

「この、不気味生物って……」

リッカが銀竜を見る。
銀竜は、どこかウンザリとした様子で。

「メス、ですかね。分類的には……」

そう言って、ため息をついた。
猫又は呆れたように。

「……にゃんだかよくわからにゃい生き物にゃけど……性別ってあるんだにゃあ……」







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