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既に番外編じゃあない。28
転移系魔法使えんなら、お偉いさんは日帰りでいいんじゃね? いやむしろ日帰りしろ。
王族相手に、平然とそんな事を言う真言に魔術師長は、ちょっと遠くを見ながら。
「……やるべき事を済ませておられるからのぅ。多少のワガママは通ってしまうんじゃよ」
ため息混じりで、こめかみのあたりをぐりぐりと擦る魔術師長だった。
……このじーさん、実は結構苦労性だったりするんだろうか。
そんなじーさんの背中を、ポン、と叩いて。
「まぁまぁ。焼きたての串焼きでもどうぞ?」
「騎士達が作ってくれた、スープ? シチュー? も有りますよ」
じーさんの両サイドに陣取った、冬至と春香が魔術師長を宥めるように言った。
尚人と千里は、新しく火に掛けられた串を真剣に見ている。
焼き加減が気になるらしい。
ウサギの肉だが、パッと見て鳥肉との区別はつかないだろう。
気にするな。
タンパク質には違いない。
真言と和樹は。
「あの王族連中、オレらみたいにテントで寝る気か?」
「一度くらいは従軍訓練して……る、かね? 甘やかされた王族だったら、そんな殊勝なコトしないで王城でふんぞり返ってそーなモンだが。今回は勇者達と一緒だから、まぁ、いいか……ってなカンジで王が許可したんじゃね?」
「……あー」
なんか納得した和樹だ。
そして水魔法で出した水球で手を洗って、焼きたての串焼きにかぶりついた。
「なんか懐かしいカンジ……」
だろうね。
去年、似たような事……つか、同じ事してたモンね。
詳しくは覚えてないだろうけど。
真言も焼けたウサギの串焼きを手に取る。
ちょっと硬めの肉を、お構い無しにかぶりつく。
……パッと見た目はイケてるのに、やってる事はワイルドだ。
女子連中と騎士の一部がサワサワしてるが、完全スルーの方向で。
「……足りっかな……」
軽く眉間にシワを寄せて、真言は追加分を狩りに行こうか考えていた。
「なぁ、魔術師長さんよ」
冬至が、鳥の串焼きを堪能しているじーさんに聞いた。
「まぁ王子方はいいや。高貴な方でも野郎に違いないし。騎士達と一緒に夜営するのもいいだろうよ。だが、姫サマはどうすんだ? 女子達と一緒に泊まるのか?」
王女とお付きの侍女と護衛の女騎士の3人は、女子高校生に混じっても、ぷかぷか浮くコト間違い無しだ。
いくら同年代でも、育った環境が違い過ぎる。
共通の話題が無いワケじゃないが……。
「……女子は恋愛系の話してれば、すぐに仲良くなるんじゃないかなぁ」
尚人の意見に、納得したりムッとしたりする真言達だった。
ムッとしたのは春香と千里。
そんな娘ばかりじゃない! と言いたげな目で、納得してる野郎どもをニラんでいた。
どーやら、騎士達の野外訓練も兼ねているらしいこの演習。
夜間哨戒──夜中の見張りとか、騎士達が交代制で行うので、勇者達はゆっくり休んで下さい……だと。
どこまで甘やかすつもりかね?
真言は、完全にキャンプ気分の勇者達を、生温かい目で見ていた。
「……まぁ、キャンプファイヤーとかナンとか言い出さないだけマシかね?」
「いや、言ってたぞ? 清水が」
「……あのおっさんは……」
真言と和樹は、自分達に割り当てられたテントの前で、小さな焚き火を起こしていた。
お湯を沸かして、摘みたてのハーブでハーブティーとシャレこんでいる。
そして2人でこそこそと……。
必要無いかも知れない……と言いつつイタズラを仕掛けようとしている。
「……カレー粉っポいのは作った」
「片栗粉っポいのは、王城の厨房からもらってきた。……べっこう飴の作り方と引き換えに」
今再びの落とし穴。
加齢臭……じゃない、カレー臭のまとわりつくまだらな粘液と共に……。
去年のイタズラの再演だ。
……和樹はゲーム内でのコトだと思っているが、な。
楽しげに、こそこそしてる真言達を眺めながら、冬至と尚人は魔術師長と、転移魔術についてのお話中だ。
時空がどーの、とか言われても……と、頭を抱えたくなる冬至達。
正直、質問したコトをうっすらと後悔し始めていた。
王族相手に、平然とそんな事を言う真言に魔術師長は、ちょっと遠くを見ながら。
「……やるべき事を済ませておられるからのぅ。多少のワガママは通ってしまうんじゃよ」
ため息混じりで、こめかみのあたりをぐりぐりと擦る魔術師長だった。
……このじーさん、実は結構苦労性だったりするんだろうか。
そんなじーさんの背中を、ポン、と叩いて。
「まぁまぁ。焼きたての串焼きでもどうぞ?」
「騎士達が作ってくれた、スープ? シチュー? も有りますよ」
じーさんの両サイドに陣取った、冬至と春香が魔術師長を宥めるように言った。
尚人と千里は、新しく火に掛けられた串を真剣に見ている。
焼き加減が気になるらしい。
ウサギの肉だが、パッと見て鳥肉との区別はつかないだろう。
気にするな。
タンパク質には違いない。
真言と和樹は。
「あの王族連中、オレらみたいにテントで寝る気か?」
「一度くらいは従軍訓練して……る、かね? 甘やかされた王族だったら、そんな殊勝なコトしないで王城でふんぞり返ってそーなモンだが。今回は勇者達と一緒だから、まぁ、いいか……ってなカンジで王が許可したんじゃね?」
「……あー」
なんか納得した和樹だ。
そして水魔法で出した水球で手を洗って、焼きたての串焼きにかぶりついた。
「なんか懐かしいカンジ……」
だろうね。
去年、似たような事……つか、同じ事してたモンね。
詳しくは覚えてないだろうけど。
真言も焼けたウサギの串焼きを手に取る。
ちょっと硬めの肉を、お構い無しにかぶりつく。
……パッと見た目はイケてるのに、やってる事はワイルドだ。
女子連中と騎士の一部がサワサワしてるが、完全スルーの方向で。
「……足りっかな……」
軽く眉間にシワを寄せて、真言は追加分を狩りに行こうか考えていた。
「なぁ、魔術師長さんよ」
冬至が、鳥の串焼きを堪能しているじーさんに聞いた。
「まぁ王子方はいいや。高貴な方でも野郎に違いないし。騎士達と一緒に夜営するのもいいだろうよ。だが、姫サマはどうすんだ? 女子達と一緒に泊まるのか?」
王女とお付きの侍女と護衛の女騎士の3人は、女子高校生に混じっても、ぷかぷか浮くコト間違い無しだ。
いくら同年代でも、育った環境が違い過ぎる。
共通の話題が無いワケじゃないが……。
「……女子は恋愛系の話してれば、すぐに仲良くなるんじゃないかなぁ」
尚人の意見に、納得したりムッとしたりする真言達だった。
ムッとしたのは春香と千里。
そんな娘ばかりじゃない! と言いたげな目で、納得してる野郎どもをニラんでいた。
どーやら、騎士達の野外訓練も兼ねているらしいこの演習。
夜間哨戒──夜中の見張りとか、騎士達が交代制で行うので、勇者達はゆっくり休んで下さい……だと。
どこまで甘やかすつもりかね?
真言は、完全にキャンプ気分の勇者達を、生温かい目で見ていた。
「……まぁ、キャンプファイヤーとかナンとか言い出さないだけマシかね?」
「いや、言ってたぞ? 清水が」
「……あのおっさんは……」
真言と和樹は、自分達に割り当てられたテントの前で、小さな焚き火を起こしていた。
お湯を沸かして、摘みたてのハーブでハーブティーとシャレこんでいる。
そして2人でこそこそと……。
必要無いかも知れない……と言いつつイタズラを仕掛けようとしている。
「……カレー粉っポいのは作った」
「片栗粉っポいのは、王城の厨房からもらってきた。……べっこう飴の作り方と引き換えに」
今再びの落とし穴。
加齢臭……じゃない、カレー臭のまとわりつくまだらな粘液と共に……。
去年のイタズラの再演だ。
……和樹はゲーム内でのコトだと思っているが、な。
楽しげに、こそこそしてる真言達を眺めながら、冬至と尚人は魔術師長と、転移魔術についてのお話中だ。
時空がどーの、とか言われても……と、頭を抱えたくなる冬至達。
正直、質問したコトをうっすらと後悔し始めていた。
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