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既に番外編じゃあない。40
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「あー、先生」
真言は、自分がやって来た方に視線を向けて、清水に言った。
「今さっき、俺が真っ二つにしたヤツが、向こうで群れててな。とりあえず、数減らしてきたんだが……」
清水の顔色が変わった。
興奮して赤らんでいたのが、すーっ……と滝のよーに血の気が引いて。
「あの……デカいヤツがまだ居るのか……?」
「さっきのヤツが、11体目だな」
飄々と答えた真言に、清水は叫ぶ。
「なんだってそんなモンが湧くんだよ!」
「……さーな」
真言は今イチ興味無さげだ。
「とにかく。多分この場のラスボス相当ってヤツが、さっきのデカブツのラストワンを従えてやって来るからさ。ソイツに聞いてみれば?」
どこか投げやりっポく、雑に答えた真言。
騎士達と勇者達はザワついた。
「……待て。ちょっと待て。……あのデカいのがボスじゃないのか……?」
清水は、半ば茫然と呟いた。
そんなザワつく騎士や勇者をそのままに、真言は。
「いやー、ありゃ何つーの? ボスの周りに群れてる中ボス? 中ザコ? ……まぁ何でもいいけど」
いや、良くはない。
だってアイツら、1ダースは居たモンな~……と、呟く真言。
いまだに戦闘モードではあるが、余裕綽々である。
そんなコトをぐだぐだと話していたら、不意に。
音も無くデス・ナイトが再登場。
これもまた、先ほどのヤツのように黒く、そしてデカい。
そんなデス・ナイトを従えてやって来たのは……。
「『ス○ーピー・ホ○ウ』の首無し騎士だ……」
和樹が呟く声が、戦場と化した夜営地に静かに響いた。
大きな、青白い軍馬に跨がるのは、短めに揃えた金髪を逆立てた青白い顔の男。
黒い服に黒いマント。
青銀色の目に、ヤスリで研磨して、サメの歯のように尖らせた歯が口の中でずらりと並んで。
瞳孔は開ききり、まばたき一つせずに此方を見つめてくる。
……正直、怖い。
すっげ~不気味な雰囲気だ。
怯む騎士達。
脅える勇者達。
一歩一歩確実に、だがその巨体のわりに音も無く近づいてくる、2体の死霊。
完全に、この場は死霊達のモノだ。
が。
「……首があるのに首無し騎士とは、これ如何に?」
真言だ。
ちょっと小首を傾げてノタマった。
どーしても、ツっ込まずにはいられなかったよーだ。
そんな真言の隣に立ってた冬至が。
「……そーゆー問題かよ……」
此方もまた、言わずにはいられなかったらしい。
じとっとした目で見てくる冬至にツっ込まれた真言は、場の空気をざっくりとスルーして。
「その程度の問題だよ。あれ、あの首無し騎士。よーするに、デュラハンだろ? 死霊には変わり無し、だ。……さて、先生?」
急に水を向けられた清水は。
完全に場の空気に呑まれていた。
青冷めながらも、なけなしのプライドをかき集めて答えた。
「おぅ、何だ?」
「質問があったんじゃねーの? 聞いてみれば?」
清水は。
「そんな場合じゃねぇだろーが、どう見ても! 紅林、お前ナンとか出来んだろ!? ナンとかしろよ! 今すぐ!!」
「えー、丸投げられたー。……まぁいーや。どーせ片付けるつもりだったし」
そう言って、物騒な笑みを浮かべた真言は、冬至の担ぐ金棒を軽く指先でなぞった。
一瞬、白くボウッと光った金棒。
首無し騎士の騎乗する軍馬が、僅かに後ずさる。
デス・ナイトは明確に、一歩後ろに下がった。
……ナニユエに?
真言よ、ナニをした?
「冬至さんよ。今、その金棒に光魔法を付与した。浄化系の能力が付いたから、あのデカブツの方、任せていいか? ……思いっ切り、ぶん殴っていいぞ?」
「おぅ」
冬至はニヤリと笑って。
「任せろ」
金棒を構えた。
「和樹」
「おぅ、結界か?」
和樹も最前列に出てきて、スタンバイ完了。
結界に守られた騎士達と勇者達は、既にギャラリーと化している。
真言は、視線を首無し騎士に定めて、言った。
「じゃ、始めるか」
真言は、自分がやって来た方に視線を向けて、清水に言った。
「今さっき、俺が真っ二つにしたヤツが、向こうで群れててな。とりあえず、数減らしてきたんだが……」
清水の顔色が変わった。
興奮して赤らんでいたのが、すーっ……と滝のよーに血の気が引いて。
「あの……デカいヤツがまだ居るのか……?」
「さっきのヤツが、11体目だな」
飄々と答えた真言に、清水は叫ぶ。
「なんだってそんなモンが湧くんだよ!」
「……さーな」
真言は今イチ興味無さげだ。
「とにかく。多分この場のラスボス相当ってヤツが、さっきのデカブツのラストワンを従えてやって来るからさ。ソイツに聞いてみれば?」
どこか投げやりっポく、雑に答えた真言。
騎士達と勇者達はザワついた。
「……待て。ちょっと待て。……あのデカいのがボスじゃないのか……?」
清水は、半ば茫然と呟いた。
そんなザワつく騎士や勇者をそのままに、真言は。
「いやー、ありゃ何つーの? ボスの周りに群れてる中ボス? 中ザコ? ……まぁ何でもいいけど」
いや、良くはない。
だってアイツら、1ダースは居たモンな~……と、呟く真言。
いまだに戦闘モードではあるが、余裕綽々である。
そんなコトをぐだぐだと話していたら、不意に。
音も無くデス・ナイトが再登場。
これもまた、先ほどのヤツのように黒く、そしてデカい。
そんなデス・ナイトを従えてやって来たのは……。
「『ス○ーピー・ホ○ウ』の首無し騎士だ……」
和樹が呟く声が、戦場と化した夜営地に静かに響いた。
大きな、青白い軍馬に跨がるのは、短めに揃えた金髪を逆立てた青白い顔の男。
黒い服に黒いマント。
青銀色の目に、ヤスリで研磨して、サメの歯のように尖らせた歯が口の中でずらりと並んで。
瞳孔は開ききり、まばたき一つせずに此方を見つめてくる。
……正直、怖い。
すっげ~不気味な雰囲気だ。
怯む騎士達。
脅える勇者達。
一歩一歩確実に、だがその巨体のわりに音も無く近づいてくる、2体の死霊。
完全に、この場は死霊達のモノだ。
が。
「……首があるのに首無し騎士とは、これ如何に?」
真言だ。
ちょっと小首を傾げてノタマった。
どーしても、ツっ込まずにはいられなかったよーだ。
そんな真言の隣に立ってた冬至が。
「……そーゆー問題かよ……」
此方もまた、言わずにはいられなかったらしい。
じとっとした目で見てくる冬至にツっ込まれた真言は、場の空気をざっくりとスルーして。
「その程度の問題だよ。あれ、あの首無し騎士。よーするに、デュラハンだろ? 死霊には変わり無し、だ。……さて、先生?」
急に水を向けられた清水は。
完全に場の空気に呑まれていた。
青冷めながらも、なけなしのプライドをかき集めて答えた。
「おぅ、何だ?」
「質問があったんじゃねーの? 聞いてみれば?」
清水は。
「そんな場合じゃねぇだろーが、どう見ても! 紅林、お前ナンとか出来んだろ!? ナンとかしろよ! 今すぐ!!」
「えー、丸投げられたー。……まぁいーや。どーせ片付けるつもりだったし」
そう言って、物騒な笑みを浮かべた真言は、冬至の担ぐ金棒を軽く指先でなぞった。
一瞬、白くボウッと光った金棒。
首無し騎士の騎乗する軍馬が、僅かに後ずさる。
デス・ナイトは明確に、一歩後ろに下がった。
……ナニユエに?
真言よ、ナニをした?
「冬至さんよ。今、その金棒に光魔法を付与した。浄化系の能力が付いたから、あのデカブツの方、任せていいか? ……思いっ切り、ぶん殴っていいぞ?」
「おぅ」
冬至はニヤリと笑って。
「任せろ」
金棒を構えた。
「和樹」
「おぅ、結界か?」
和樹も最前列に出てきて、スタンバイ完了。
結界に守られた騎士達と勇者達は、既にギャラリーと化している。
真言は、視線を首無し騎士に定めて、言った。
「じゃ、始めるか」
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