目標:撤収

庭にハニワ

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既に番外編じゃあない。78

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妙にサワヤカな第二騎士団+αがサワヤカに立ち去った。

「……騎士って、あんなんだったっけ?」

和樹が首をひねっていると、冬至も眉間にシワを寄せて、なんか納得いかない……と口を開いた。

「おれにケンカ売ってきた騎士連中は、あんなにサワヤカじゃなかったぞ?」
「えぇ、こう……イヤな風に粘着質なカンジでしたよね」

尚人の証言もあり、冬至に絡んでたのは第二騎士団ではない、と確定。
……っつか、サワヤカなムキムキ筋肉の集団って、誰得だよ。
それよりも、だ。

「なぁ、紅林?」
「ん?」

悟が、かなり嫌そーに言った。

「騎士団長、またのお越しを~……なんて言ってたケドさ。おれ達、また呼び出されたりするのか……?」

それを聞いてた帰還組全員が目を剥いた。
せっかく元の世界に戻ったのに、また呼び出されるとか冗談じゃない! と真言を凝視して来る帰還組。
真言は、そんな彼らに言った。

「それは絶対に、無い」

きっぱり。

え、マジ?
何の根拠があるんだ?
なんでそう言い切れるんだよ?

と、思いっ切り疑いの目を向けてくる帰還組に、真言は。
めっちゃ良い、全開の笑顔を向けた。

「…っ……」
「……んぐっ……」
「……ぽっ」

絶句して固まる帰還組。
気付けば、結界の外側で喚いていた魔術師連中まで静かになっていた……。

「……だから御厨先輩と同じ事をだな……。って、威力も同じかよ」

和樹が、オレはもう知らん、と放り出すよーに呟いた。



ぶっちゃけ笑ってゴマかせるんなら、いくらでも笑うぞ?

真言は、笑顔の裏側でボヤいた。

いや、だってな?
夕べ、和樹が寝た後で主神どもが、な?

真言は、最後の最後まで残念だった主神を思い出して、ちょっと虚ろな目になった。

まぁ、今後の事を鑑みて、主神にちょっと顔貸せや、と呼び出したのは俺だけどさ。
呼び出した主神と美神、戦神の3柱……美神と戦神が来るのはともかく。
喚んで無いのに、何故伝令神だの何だの、その他お初にお目にかかる神々が、わらわらわらわら湧いて出てくんだよ。
うっとこの世界の日本みたいに八百万ってワケじゃー無いケドさ?
10柱以上の神々が、右往左往してるのって、どーゆー状況だよ?
思わず主神を睨み付けた俺は、悪くねぇぞ?

とりあえず、和樹が途中で起き出したり、ヒマな神々が和樹に余計なチョッカイ出したりしないように、アイツの周囲にがっちり結界張ってやったが、な。
そのまま朝まで寝コケてたよな、お前。

その後の大騒ぎは、あまり思い出したくない。
元の世界に帰るそーだから、その前にもう一度会いたいと思って♪ とやたらまとわりついてくる伝令神を押し退けたり。
初対面なのに、帰るなんてさ~? とか何とか言って、ナニやら仕掛けてきた──あれ、何の神だ? ──を、顔面わしづかみにして床ドンしたり。
わらわら飛びかかってくる神々を、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ──。
最終的に、全員正座させて説教かますって……どーゆー状況だよ。
美神と戦神が、2柱揃って頭抱えて。
主神が、自分にも構えーって拗ねたりしてな。

とにかく。
もう二度と俺らを喚んだりするんじゃねぇぞ、と主神に話は通したけど。
なかなかのカオスっぷりに、目が点になったのは言うまでもない。



軽く頭を振って、夕べのカオスを頭から追い出して。
真言は、帰還希望者全員を見渡して、言った。

「じゃ、そろそろ始めるぞー。っつっても、体感的には一瞬だからな」

ちゃんと魔石握っとけよ、との真言の言に、帰還組がしっかりと頷くのを確認。
視界の隅っこで、美神と戦神が笑顔で見送ってるのを眺めながら。

真言は、帰還術式を発動。

左足を軽く踏みしめ──。



「撤収」












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