目標:撤収

庭にハニワ

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サメは空を飛んじゃダメだろ……。

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まんまと取っ捕まったクラーケン。
だが、自由に動く触手でサメを掴んじゃあぶん投げまくり……。
浜辺にサメの雨が降る。
正直、邪魔だ。

あったまきた。
とりあえず、目玉潰してやる。
俺が投げナイフ引っ張り出して、さぁて、と構えたら。

「ちょっと待った、コウ」

ミヤさん? 何だよ。

「サメの数がある程度減るまで、クラーケンにぶん投げさせればいい。アイツの血は極力流さない方がいいかもね。面倒が増えるでしょ?」

そう言いながら、ミヤさんは飛んできたサメ……あ、ハンマーヘッドシャーク……を輪切りにしてた。
血を流すなって言ってるあんたが、サメの血流して他のサメども興奮状態に……なってねーな。
なんで?

「そりゃあ、ね? よく見てよ」

……うわ、メンドくせーことを。
つか、ムダに器用なことを……。

ミヤさんがやってたのは、魔刃を糸状にしてサメを絡めとると同時に、捕まえたサメを凍結させてからの輪切りだった。
しかも、ガっチガチに凍らせて、ちょっとやそっとじゃ溶けないようにしてた。
……そーいや、あんたも魔法使えましたっけ。
忘れてましたよ。
どっちかってーと、基本的に物理特化のイメージが強過ぎて。

「君ねぇ……僕を誰だと思ってるの?君のセンパイだよ?」

そーでした。
二重の意味で、先輩でしたね。
とりあえず、ギルド長。
サメ狩りに夢中なミヤさんを、呆れた顔で見ているギルド長に申告する。

「何かしら?」

ギルドの皆さんで、サメ狩り放題に参加する気は?

「打ち上げられた……というよりも、放り出されて浜でビチビチしてるものね……。確かに狩りたい放題かも……」

ギルド長、かなり本気で呆れている。
そして気付いたら、リドラさんは既に参加していた。
両手の肘から先を鱗で覆われた、鋭いカギ爪の……竜鱗族特有のモノに変えて、ざっくざっく殺っている。
スズが結界を纏ったまま、リドラさんの横について、切ったそばから凍らせている。
……お前、人魚はどーしたよ?

「リッカさんが八百比丘尼について微に入り細に入り、あること無いこと無いこと懇切丁寧に語って聞かせている。嫌がらせ入ってるな、アレ」

なあ、無いこと無いこと……って2回言った?
1回多くね?……つまり、8割方ウソかよ。
……ま、いいや。
リッカさんのことだから、具体的かつ詳細に語るんだろーな。

銀竜は、針のような細い剣でサメの目の辺りから脳を狙って突き刺しては、最小限の出血量で仕留めて回っている。
さすが元諜報機関の長。
上手い殺り方だ。



クラーケンは固定され、足以外自由に動かせない苛立ちからか、ガンガンサメを投げてくる。
あ、ラブカ。
相変わらずにょろにょろしてる。
浜辺でのたうつ姿はヘビと大差ない。
サメ狩りに参加し始めたギルド員達が、気持ちわる!と叫んでいるのが聞こえた。

……ん?
サメ祭りだけど、ジンベイザメがいないな?
いいけど。
ジンベイさんデカいから、一般的なギルド員だと2・3人で掛かんなきゃなんないかも知れないし。
個人的にはジンベイさん好きだから、ここに居ない方が嬉しい。

あ、コバンザメ。
小型のサメは良く飛ぶな~。
兵隊さんの中の魔法使いが頑張って張っている結界──クラーケンが湧いた所が確定した時点で、町全体を守っていたのをクラーケンの前方だけに集中させた──に、ぶち当たって……あ、落ちた。
ピクピクしてる所を低ランクのギルド員が仕留めていく。
効率的っちゃ、効率的か?

まあいいや。
そろそろこっちも本気出すか。
地味~に魔力──こっちじゃ魔素だったな──を練り上げてたことだしな。

ミヤさ~ん。
そろそろクラーケンに手ぇ出すから、狂乱のサメ狩りから戻ってきて下さ~い。
あ、銀竜はそのままサメ狩りを続けて、スズはリドラさんのフォローよろしく。
リッカさんは……そのまま人魚に文字通りお話してやってくれ。
ついでに江戸時代の人魚のミイラについても、盛りに盛って話しちまえ。
どーせあんた、いらない知識山盛り持ってんだろ?
思いっきり余計なコト吹き込んじまえ。

全員からOKの念話が届き、ミヤさんが俺の隣りにやって来た。

じゃ、やりますか。









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