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ジンベイさんは。
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黒の御方はジンベイザメだった。
……ちょっと予想外。
仲良しそーな、ギルド長とジンベイさんの話は続く。
まずは挨拶から?
ある程度時候の挨拶的なモノを交わしたあと、ギルド長が話を切り出した。
「さて。本題に入りましょうか。あなた、今日は何のためにいらしたの?」
「それが、のぅ……」
ジンベイさんが、なんとなく呆れた感じで話したのは、やっぱりというか何と言うか、人魚族について、だった。
どーでもいいわ、うん。
興味を無くした俺は、砂浜の中に手を突っ込んで砂鉄を集めた。
そーして──イメージが大事だ──かき氷機的なモノを作ってみた。
と言っても家庭用の小さいヤツだけどな。
業務用は、あれ、良く分からん。
構造的には似たようなモノなんだろーけど、使ったことあるのは、家庭用の小さいヤツだからな。
やっぱり使い慣れたモンが……。
そんな工作をしながら流し聞いたのは、たった1人がやらかしたことで、人魚族全体が危険に晒されるのはちょっとやり過ぎではないか、となんかモヤっとする話で。
それにギルド長とミヤさんが反論していた。
同じことを何度も繰り返す、まったく成長が見られないのは種族としてどうなのか、と言うギルド長と、人魚の自業自得なのになんで僕らに話を持って来るのか? と言うミヤさん。
そこにマーマンの長が、なんとなくイヤそーに口を挟んだ。
「人魚族の女王が、『うちの子がそこまでするような殿方ならば、ぜひ一度お会いしたい。どれほど魅力的な殿方なのかしら?』と、なんかワクワクしながらほざいているんだが……」
は?
いったいナニを抜かしてらっしゃる?
人魚の話になった途端、ギルド長は威圧感を発していて。
人魚女王の言い草で、それがハンパなくなってきた。
……が。
リドラさんがぴったりとくっついているからか、以前俺が直撃食らった時よりセーブされている。
……リドラさん、ナイス。
ミヤさんは、完全に呆れ返り、銀竜は処置無しだ、と首を横に振って。
スズの結界の中では、避難民達が好き放題にしゃべってる。
「人魚って、色ボケしかいないのか?」
「……な~んか、アンデルセンの人魚姫に土下座して欲しいわ……」
「君達の故郷の人魚とは、全然違うよね~。……でさぁ?」
「ん? 何ですか?」
「土下座ってナニ?」
「あー、土下座ってのは~……」
途中からまったく関係無い話になってるぞ。
プレッシャー感じてないんならいーけどさ。
ジンベイさん──黒の御方は、マーマンの長が聞いたようなことは知らなかった……とばかりに。
「我が聞き及んだ話とは、まったく違うではないか……。なんなのだ、アヤツらは……」
「あら? ヤツらはあなたにどんな話をしたのかしら?」
ギルド長の質問に、黒の御方は。
「我が聞いたのは、失礼なことをした陸の方々に一言お詫びしたい、クラーケンが言った人魚を捕食対象にする、と言うのを撤回させて欲しい、いい加減人魚殺しの結界をなんとかして欲しい……。自分たちのことばかりだのぅ」
ため息を一つ。
御方は続けて。
「結界はともかく、詫びを入れたい、と言うのとクラーケンの件については聞くだけは聞いて見ようと思うてな。さすがに人魚どもの集団に泣きつかれて、鬱陶しくてたまらんかったんじゃがの……」
御方はどこかくたびれたような感じで。
「これは我が出張るような話ではなかろうに……。だいたい西の……虹蛇の加護を持っとる者に、何をどーせいと言うんじゃ……。我、もー知らん」
御方は、最後投げやりに言った。
さすがにジンベイザメの表情は分からんが、嫌そーな顔してんだろーなー……とは思う。
声の調子が、な~……。
ま、アレだ。
一応交渉した、って事実は残ったからいいんじゃね?
……ちょっと予想外。
仲良しそーな、ギルド長とジンベイさんの話は続く。
まずは挨拶から?
ある程度時候の挨拶的なモノを交わしたあと、ギルド長が話を切り出した。
「さて。本題に入りましょうか。あなた、今日は何のためにいらしたの?」
「それが、のぅ……」
ジンベイさんが、なんとなく呆れた感じで話したのは、やっぱりというか何と言うか、人魚族について、だった。
どーでもいいわ、うん。
興味を無くした俺は、砂浜の中に手を突っ込んで砂鉄を集めた。
そーして──イメージが大事だ──かき氷機的なモノを作ってみた。
と言っても家庭用の小さいヤツだけどな。
業務用は、あれ、良く分からん。
構造的には似たようなモノなんだろーけど、使ったことあるのは、家庭用の小さいヤツだからな。
やっぱり使い慣れたモンが……。
そんな工作をしながら流し聞いたのは、たった1人がやらかしたことで、人魚族全体が危険に晒されるのはちょっとやり過ぎではないか、となんかモヤっとする話で。
それにギルド長とミヤさんが反論していた。
同じことを何度も繰り返す、まったく成長が見られないのは種族としてどうなのか、と言うギルド長と、人魚の自業自得なのになんで僕らに話を持って来るのか? と言うミヤさん。
そこにマーマンの長が、なんとなくイヤそーに口を挟んだ。
「人魚族の女王が、『うちの子がそこまでするような殿方ならば、ぜひ一度お会いしたい。どれほど魅力的な殿方なのかしら?』と、なんかワクワクしながらほざいているんだが……」
は?
いったいナニを抜かしてらっしゃる?
人魚の話になった途端、ギルド長は威圧感を発していて。
人魚女王の言い草で、それがハンパなくなってきた。
……が。
リドラさんがぴったりとくっついているからか、以前俺が直撃食らった時よりセーブされている。
……リドラさん、ナイス。
ミヤさんは、完全に呆れ返り、銀竜は処置無しだ、と首を横に振って。
スズの結界の中では、避難民達が好き放題にしゃべってる。
「人魚って、色ボケしかいないのか?」
「……な~んか、アンデルセンの人魚姫に土下座して欲しいわ……」
「君達の故郷の人魚とは、全然違うよね~。……でさぁ?」
「ん? 何ですか?」
「土下座ってナニ?」
「あー、土下座ってのは~……」
途中からまったく関係無い話になってるぞ。
プレッシャー感じてないんならいーけどさ。
ジンベイさん──黒の御方は、マーマンの長が聞いたようなことは知らなかった……とばかりに。
「我が聞き及んだ話とは、まったく違うではないか……。なんなのだ、アヤツらは……」
「あら? ヤツらはあなたにどんな話をしたのかしら?」
ギルド長の質問に、黒の御方は。
「我が聞いたのは、失礼なことをした陸の方々に一言お詫びしたい、クラーケンが言った人魚を捕食対象にする、と言うのを撤回させて欲しい、いい加減人魚殺しの結界をなんとかして欲しい……。自分たちのことばかりだのぅ」
ため息を一つ。
御方は続けて。
「結界はともかく、詫びを入れたい、と言うのとクラーケンの件については聞くだけは聞いて見ようと思うてな。さすがに人魚どもの集団に泣きつかれて、鬱陶しくてたまらんかったんじゃがの……」
御方はどこかくたびれたような感じで。
「これは我が出張るような話ではなかろうに……。だいたい西の……虹蛇の加護を持っとる者に、何をどーせいと言うんじゃ……。我、もー知らん」
御方は、最後投げやりに言った。
さすがにジンベイザメの表情は分からんが、嫌そーな顔してんだろーなー……とは思う。
声の調子が、な~……。
ま、アレだ。
一応交渉した、って事実は残ったからいいんじゃね?
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