目標:撤収

庭にハニワ

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人魚なんかより。

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浜辺に隣接したデカいジンベイザメ。
そりゃ、見物人も出るよな。
気付けばある程度の距離を置いて、見物人がポツポツと周囲に……。
ギルド長と御方の圧に耐えてヤジ馬してるんだから、たいしたもんだよ。

「君、まったくやる気無いよね。あぁ、こんなモノ作って……」

俺が作ったかき氷機を見て、ミヤさんは呆れている。
いつものことだ。
スルーしよう。

あぁ、御方にこれだけは言っとこうかな。

「なー、ジンベイさん……じゃ、なかった黒の御方」

御方の意識をこっちに引いて。

「あのクラーケンが生まれ変わったら人魚メインに捕食しよう、と決めたのは、クラーケン自身の意志だから。俺らに言ってもどーしようも無いし。元々人魚がクラーケンを利用したのが悪いんだし。色ボケ人魚に会う気はまったく無い。……少数ながら多分居るんだろーと思いたい、マトモな人魚が哀れに思うよ」

ナンやかや言って、集団のトップがアレじゃ~な~……。
人魚の本能、とか言われても納得いかねー。

「正直なとこ、この先絶対に関わり合いになりたくないし、人魚どもの顔も見たく無い」

きっぱり。

かなり乱暴に言い切った。
そしたら、その場にいた全員が納得していた。
……いいのかそれで。
ま、御方も。

「そーじゃろーな……」

と、呟いていたから良しとしよう。

それよりも、結界の中の避難民達の意識がどーやら俺の作ったかき氷機に向いてるらしい。

「コウ……それ家庭用かき氷機?」
「え? コウ君、いつの間に作ったの?」
「え? あれが? どーやって作って、どーやって使うの? 見せて! 見たい!」

と、結界の中できゃわきゃわしていた。
何気にのんきだな、お前ら。



我、何しに来たんじゃろー……と、なんとなくたそがれているジンベイさんに聞いてみた。

「……サメ肉とかクラーケンの肉とかありますけど……食いますか? あ、ジンベイザメって主食なんだっけ……」
「我、言うなれば雑食じゃよ? 何でも食らうが魔素が溜まっておったら尚良いの~」

あ、じゃ丁度良いや。
溜まった魔素が強力過ぎて、使い道のなかったカイザーコングの肉と、細切れのクイーンコング……。
酔っぱらいザルの肉も提供しよう。
ジンベイさんから見たら、かなり……めっちゃ細切れになってるけど、ま、どーぞ。

で、ドサッと出した。

「……とりあえず、出会った人に何か食べさせよーとするの、君の習性か何かなのかな……?」

ミヤさんは、呆れている。
ま、いつものコトだ(2回目)。
そして後ろの避難民。
やっぱりお母さん、とか言ってんじゃねぇ。
聞こえてんぞ。

うま、うま、と俺的には持て余していた素材をキレイに平らげて。
ジンベイさんはゴキゲンになった。
いらない素材が片付いた俺もゴキゲンだ。
撒き餌にすら使えなかったヤツが、よーやっと無くなった。
気分的にスッキリ。

ジンベイさんが、しみじみと言った。

「我、もうこのまま帰って寝よーかのぅ……。人魚族など、もー知らんし……」

ちょっと投げやりなジンベイさん。

「あなたも大変よねぇ……」

と、ギルド長がめっちゃ同情して。
マーマンの長は。

「おいたわしい……」

と、目頭を押さえている。

なんだろう……うん。
そっとしとこう。

俺は作ったばかりのかき氷機を持って、スズの結界へ行って、結界をすり抜けてかき氷機を押し込んだ。
あと、手頃なサイズの氷も何個か。
器やシロップ的なモノは、スズかリッカさんが持ってんだろ多分。

「お~、なんか懐かしいかき氷機!」

と、スズをはじめ、3人がきゃわきゃわ楽しんでるのを、なんとなく見ていた。








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