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王家の事情とノームの森
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「ちょっとそんなこと言ったらまずいって」
いきなりの王子暗殺の話にハンナがあたりをキョロキョロ。
「大丈夫よ、こんなとこ誰も聞いてないって。それにそんな噂もあったじゃない」
家々から少し離れた川沿いはお昼過ぎでなくとも人通りは多くなく、川のせせらぎが聞こえてくるぐらいだ。
あたたかな日中は川のそばの木陰でおしゃべりに興ずるのが彼女たちのルーティーンになっているらしい。
「殺されって。でも王様の弟様は辞退してるし、そのお子様も家出してるって聞いたけど」
と私が言うと、ローラが、
「そうなのよ。ジュド様でしょ」
「本当に家出なの? まさか行方不明とか、ないよね?」
つい家出と聞いてそんなふうに思ってしまったのだが。
えーっと目を丸くする女の子たち。
「それはないと思うわ」。
「うん、あのジュド様だもん」
ベスとハンナが「ねええええ」と顔を見合わせる。
「あの?」
「遊び人だもん」
とイライザ。
おもわずこけそうになる。
ゲームでもモテ男だったっけ。遊び人って思いっきり言われてはいなかったが。
「これも噂なんだけど、どこかのお城に隠れてるとか、バカンスを楽しんでるとか、女性と一緒だって噂聞いたわよ」
というイライザにローラが、
「それ! 女性と一緒に身を隠してるってきいたけど、ねえどこかの令嬢?」
「違う違う、ボバリー夫人のとこだって」
とイライザが指を振る。
「ボバリー夫人?」
と聞き返すと、
「未亡人で男爵夫人なんだって」
「へえ、ジュド様ならあるかも」
と女の子たちが納得顔してるし。
なんだかとんでも設定になってるんですけど。
「仕方ないわよ。かっこいいもんね」
ローラがほうっと息をつく。うんうんとうなづいたハンナにベス。
「デューイ様もかっこよかったけど、ジュド様も素敵だったものね」
「やっぱり血筋よねえ」
イライザもうっとりとすると、
「そうよ、あのお顔、私たちにも笑顔を向けてくれて、ねえ」
きゃあきゃあ言い出す4人に、私は首を傾げた。
王様にしろ、王太子にしろ、王族がここら辺をうろうろするだろうか。
お城から国民に挨拶があったとしても、城のある町までいかないといけない。
「ねえ、どこでジュド様やデューイ様に」
言いかけた私に、4人は目を合わせて、視線をさまよわせて挙動不審になっている。
「もしかしてこの村にいらしたの?」
フェリシアがデューイが行方不明になりここも大変だったと思うと言っていた。
もしかして。
その瞬間、いままでにこにこと私を受け入れてくれていた少女たちはすいっと立ち上がり
「私、母さんに用事を頼まれてたんだった」
「あ、私も買い物途中だった」
「弟と妹の世話が」
「え、あの私、お腹すいたから帰る」
いきなり全員で立ち上がりスカートをばさばさいわせて去っていこうとする。
「ちょっと待った!」
びくりとした女の子たちに、
「何隠してるの」
仁王立ちで顔をグイっと突き出した。4人とも目をきょときょと動かすと、
「隠してるなんて、ねえ」
「そうよ、お顔なんて見たんだか見てないんだか」
「ねえ、遠かったし」
「そうよそうよ、見れたとしても馬の上だもん。高いし」
馬の上?
「まさか、狩りって」
「あーもう! 何言ってるのよ。狩りなんて」
ピンときた私は、
「ノームの森であったのね」
と一言。
森の中では大きな動物には会わないが、ウサギやシカの姿は見たことがある。
全員が顔をしかめると、
「もう2年も前だし」
「知らないから森にすみ始めたのかなあとは思ってたの」
「だからあえて言わなくてもいいかなって」
「こんな話したら気にするかと思って」
申し訳なさそうに眉を下げる。
「いいのよ、気にしなくて、ありがとう」
と頭を下げた私は更に詳しい話を聞いた。
いきなりの王子暗殺の話にハンナがあたりをキョロキョロ。
「大丈夫よ、こんなとこ誰も聞いてないって。それにそんな噂もあったじゃない」
家々から少し離れた川沿いはお昼過ぎでなくとも人通りは多くなく、川のせせらぎが聞こえてくるぐらいだ。
あたたかな日中は川のそばの木陰でおしゃべりに興ずるのが彼女たちのルーティーンになっているらしい。
「殺されって。でも王様の弟様は辞退してるし、そのお子様も家出してるって聞いたけど」
と私が言うと、ローラが、
「そうなのよ。ジュド様でしょ」
「本当に家出なの? まさか行方不明とか、ないよね?」
つい家出と聞いてそんなふうに思ってしまったのだが。
えーっと目を丸くする女の子たち。
「それはないと思うわ」。
「うん、あのジュド様だもん」
ベスとハンナが「ねええええ」と顔を見合わせる。
「あの?」
「遊び人だもん」
とイライザ。
おもわずこけそうになる。
ゲームでもモテ男だったっけ。遊び人って思いっきり言われてはいなかったが。
「これも噂なんだけど、どこかのお城に隠れてるとか、バカンスを楽しんでるとか、女性と一緒だって噂聞いたわよ」
というイライザにローラが、
「それ! 女性と一緒に身を隠してるってきいたけど、ねえどこかの令嬢?」
「違う違う、ボバリー夫人のとこだって」
とイライザが指を振る。
「ボバリー夫人?」
と聞き返すと、
「未亡人で男爵夫人なんだって」
「へえ、ジュド様ならあるかも」
と女の子たちが納得顔してるし。
なんだかとんでも設定になってるんですけど。
「仕方ないわよ。かっこいいもんね」
ローラがほうっと息をつく。うんうんとうなづいたハンナにベス。
「デューイ様もかっこよかったけど、ジュド様も素敵だったものね」
「やっぱり血筋よねえ」
イライザもうっとりとすると、
「そうよ、あのお顔、私たちにも笑顔を向けてくれて、ねえ」
きゃあきゃあ言い出す4人に、私は首を傾げた。
王様にしろ、王太子にしろ、王族がここら辺をうろうろするだろうか。
お城から国民に挨拶があったとしても、城のある町までいかないといけない。
「ねえ、どこでジュド様やデューイ様に」
言いかけた私に、4人は目を合わせて、視線をさまよわせて挙動不審になっている。
「もしかしてこの村にいらしたの?」
フェリシアがデューイが行方不明になりここも大変だったと思うと言っていた。
もしかして。
その瞬間、いままでにこにこと私を受け入れてくれていた少女たちはすいっと立ち上がり
「私、母さんに用事を頼まれてたんだった」
「あ、私も買い物途中だった」
「弟と妹の世話が」
「え、あの私、お腹すいたから帰る」
いきなり全員で立ち上がりスカートをばさばさいわせて去っていこうとする。
「ちょっと待った!」
びくりとした女の子たちに、
「何隠してるの」
仁王立ちで顔をグイっと突き出した。4人とも目をきょときょと動かすと、
「隠してるなんて、ねえ」
「そうよ、お顔なんて見たんだか見てないんだか」
「ねえ、遠かったし」
「そうよそうよ、見れたとしても馬の上だもん。高いし」
馬の上?
「まさか、狩りって」
「あーもう! 何言ってるのよ。狩りなんて」
ピンときた私は、
「ノームの森であったのね」
と一言。
森の中では大きな動物には会わないが、ウサギやシカの姿は見たことがある。
全員が顔をしかめると、
「もう2年も前だし」
「知らないから森にすみ始めたのかなあとは思ってたの」
「だからあえて言わなくてもいいかなって」
「こんな話したら気にするかと思って」
申し訳なさそうに眉を下げる。
「いいのよ、気にしなくて、ありがとう」
と頭を下げた私は更に詳しい話を聞いた。
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