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森であったこと
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隣国の式典に出席されたデューイとジュド、それにお付きの人たち。
帰り道にこの森で狩りを楽しんだ。私が住んでいるノームの森だ。
村で軽く食事もされたらしいが、女の子たちがうろうろするのはよくないと家の中から出ないようにさせられた。でもお姿は見たいし、で、馬上の姿を何とか見ることができたとか。
なんともほほえましい気もするが、狩りの最中に大変なことが起こったわけだ。
デューイの姿が消え、馬だけが戻ってきた。
「それこそ、大勢の兵士さんが森を捜索に来て大変だったのよ」
「村からもお父さんや兄さんたちが駆り出されて探したんだけど」
王太子の姿はどこにもなかった。
最悪、事故死しているのではと思われたが、その死体すら見つけることはできなかった。
「馬だけ戻ってきたんですって」
「だから落馬か何かあったんじゃないかって」
「大人たちはみんなして噂してたの」
「本当は、って」
死体すら見つからないと言われてるが、本当は死体が見つかり秘密裏に処理されたんじゃないかとか。
「国民がショックを受けないように死んでない、行方がわからないだけだってことにしたんじゃないかって」
無理がある話だが、一人息子の父親てある王様も認めたくはなかったのかもしれない。
それでも、もう2年。自分の体も弱ってきて後を継ぐ人間が必要になってきたんだろう。
「なるほどねえ」
とため息をついた。
「ねえ、あそこに住むの嫌なら村に出てきたら?」
ハンナがそう言い、残り全員でうんうんと頷いている。
思わず笑みがこぼれてしまう。
「ありがと。でも大丈夫。大事なハーブを育てるにはあそこがいいみたいだしね」
教えてくれてありがとう、とお礼を言った。
「ミーガンさん!」
村を通り抜けて森に帰ろうとしていた私に、野菜を荷車に積んでいたジャックさんが声をかけてきた。
「はい?」
「あさイチで隣町に行くんだけど、ミーガンさんのハーブティを」
「あ、そうだった。すぐ持ってきます」
野菜や村で作ったものを隣町に運ぶジャックさん。
以前、ジャックさんがハーブを多めに買ってくれたことかあった。どうするのかなと思っていたが、野菜を運んだ時に一緒に街に持っていってくれてたのだ。
「お店においてもらったらすぐ売れたよ」
といきなり言われ、販路を広げてくれたことに驚いていた。
それ以降毎回運んでもらうようになった。
まさか、魔女なんて名前が広まってるなんて思わなかったが。
「朝に間に合えばいいから」
「わかりました」
取るものもとりあえず急いで帰った。
乾燥させ細かくしたハーブティを袋に詰める。
「匂い袋もいるって言ってたな、ジャックさん。恋愛目的の匂い袋は女の子に好評だから、きれいなレースを飾ればますます売れるかも」
レラからもらった布やレースを駆使して匂い袋をかわいくしていく。
「ノームの森の魔女なんて有名になってるってレラもフェリシアも言ってたわよね。この際、ノームの森の魔女の名前を打ち消す方法ないかしら。野菜とか作った人の名前貼ってたりしたのあるわよね」
前にいた世界のスーパーで買っていた野菜を思い出す。
「商品に名前シールはれたらいいんだけど。そんなものないわよね。うーん、名前を書いた紙を入れとくか」
わら半紙をカットすると、ペンを手に訂正する名前を考える。
「ノームの森の魔女じゃなくて、ハーブ屋さんってどうかな。ミーガンの名前を入れるのもなんだし。ノームの森のハーブ屋さんでいいか。かわいい感じだし」
ぶつぶついいつつペンを走らせる。紙の端には黒猫のイラストもいれた。
「ほら、これクロよ。かわいくない?」
ほらほらとクロに紙を見せる。ご飯をバクバク食べていたクロがこちらをちらり。当然だというように鼻を鳴らした。
帰り道にこの森で狩りを楽しんだ。私が住んでいるノームの森だ。
村で軽く食事もされたらしいが、女の子たちがうろうろするのはよくないと家の中から出ないようにさせられた。でもお姿は見たいし、で、馬上の姿を何とか見ることができたとか。
なんともほほえましい気もするが、狩りの最中に大変なことが起こったわけだ。
デューイの姿が消え、馬だけが戻ってきた。
「それこそ、大勢の兵士さんが森を捜索に来て大変だったのよ」
「村からもお父さんや兄さんたちが駆り出されて探したんだけど」
王太子の姿はどこにもなかった。
最悪、事故死しているのではと思われたが、その死体すら見つけることはできなかった。
「馬だけ戻ってきたんですって」
「だから落馬か何かあったんじゃないかって」
「大人たちはみんなして噂してたの」
「本当は、って」
死体すら見つからないと言われてるが、本当は死体が見つかり秘密裏に処理されたんじゃないかとか。
「国民がショックを受けないように死んでない、行方がわからないだけだってことにしたんじゃないかって」
無理がある話だが、一人息子の父親てある王様も認めたくはなかったのかもしれない。
それでも、もう2年。自分の体も弱ってきて後を継ぐ人間が必要になってきたんだろう。
「なるほどねえ」
とため息をついた。
「ねえ、あそこに住むの嫌なら村に出てきたら?」
ハンナがそう言い、残り全員でうんうんと頷いている。
思わず笑みがこぼれてしまう。
「ありがと。でも大丈夫。大事なハーブを育てるにはあそこがいいみたいだしね」
教えてくれてありがとう、とお礼を言った。
「ミーガンさん!」
村を通り抜けて森に帰ろうとしていた私に、野菜を荷車に積んでいたジャックさんが声をかけてきた。
「はい?」
「あさイチで隣町に行くんだけど、ミーガンさんのハーブティを」
「あ、そうだった。すぐ持ってきます」
野菜や村で作ったものを隣町に運ぶジャックさん。
以前、ジャックさんがハーブを多めに買ってくれたことかあった。どうするのかなと思っていたが、野菜を運んだ時に一緒に街に持っていってくれてたのだ。
「お店においてもらったらすぐ売れたよ」
といきなり言われ、販路を広げてくれたことに驚いていた。
それ以降毎回運んでもらうようになった。
まさか、魔女なんて名前が広まってるなんて思わなかったが。
「朝に間に合えばいいから」
「わかりました」
取るものもとりあえず急いで帰った。
乾燥させ細かくしたハーブティを袋に詰める。
「匂い袋もいるって言ってたな、ジャックさん。恋愛目的の匂い袋は女の子に好評だから、きれいなレースを飾ればますます売れるかも」
レラからもらった布やレースを駆使して匂い袋をかわいくしていく。
「ノームの森の魔女なんて有名になってるってレラもフェリシアも言ってたわよね。この際、ノームの森の魔女の名前を打ち消す方法ないかしら。野菜とか作った人の名前貼ってたりしたのあるわよね」
前にいた世界のスーパーで買っていた野菜を思い出す。
「商品に名前シールはれたらいいんだけど。そんなものないわよね。うーん、名前を書いた紙を入れとくか」
わら半紙をカットすると、ペンを手に訂正する名前を考える。
「ノームの森の魔女じゃなくて、ハーブ屋さんってどうかな。ミーガンの名前を入れるのもなんだし。ノームの森のハーブ屋さんでいいか。かわいい感じだし」
ぶつぶついいつつペンを走らせる。紙の端には黒猫のイラストもいれた。
「ほら、これクロよ。かわいくない?」
ほらほらとクロに紙を見せる。ご飯をバクバク食べていたクロがこちらをちらり。当然だというように鼻を鳴らした。
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