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モブなおじさま登場?
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トントントン
と、いきなりドアをノックする音がした。
こんな夜更けに、真っ暗な森の中にやってくる人なんて。村の人でも朝や昼しか来ないのに。
恐る恐るドアに向かう私に、クロが戦闘態勢を整えてついてきたが、ドアの前でふいっと方向転換して戻ってしまった。
「え? 何で?」と思う間もなく、ドアの向こうから「魔女のミーガンさん、私よ私、フェリシア。開けて」
フェリシア?
なんでまたご令嬢がこんな時間にこんな場所に?
あわててドアを開けると、大荷物が目の前にドドーンと現れた。
「フェリシア様?」
「ここ、ここ、荷物入れるわよ」
大荷物の奥から声がして、そのまま部屋へと入ってきた。
荷物をどんっと床に置くと、フェリシアがニマリとした顔を上げた。
「これ使って」
「はい?」
ぐるりと部屋を見回したフェリシアは「あれ?」と声を上げる。
「あったのね。待って、来たときはなかったじゃない。あっ」
レラ様ね、とベッドの上の毛布を指さした。
「あれは、フェリシア様が帰られた後にメイドのメイベルさんが」
「さすがレラ様ね。後れを取ったかあ」
なんて言いつつ、大荷物をくるんでいた布をほどくと、中からはレラがくれた毛布と同じような暖かそうな毛布が出てきた。
「よかったらこれも使って」
「いいんですか?」
「森の中だと夜は冷えるでしょ。あと」
と鍋に皿、カップにパンにワイン、タオルにガウン、果てはおいしそうなお菓子まで出てきた。
「こんなに?」
「いろいろ物入りでしょ? それにひとりだと物騒だから本当は武器になりそうなもの持ってこようと思ったんだけど。それはまた今度」
「いやいやいや、もう充分すぎるぐらいですよ」
慌てて手をバタバタと横に振った。
「ありがとうございます」
素直にお礼を言いつつも「こんなに、お家の方には言ってきたんですか?」
「え、えーと」
途端に天井に視線をやるご令嬢。これは、黙って持ち出してるし、ここにも1人で来たんだな。
「こんな夜更けに1人で来られたんですか?」
またもや「あ~」と視線をそらす。
「だめですよ。こんなとこにこんな時間に。フェリシア様こそ何かあったらどうするんです」
「え~、でも馬だし大丈夫よ」
と部屋をうろうろし始めた。クロは移動するフェリシアを目で追っていたが、いきなりドアに向かってウーッと威嚇し始めた。どうしたの? と声をかける間もなく、ひとりの男性が入ってきた。
「魔女さん、いや、ミーガンさんの言うとおりだぞ」
「うわっ! 叔父様」
「今日はご迷惑をおかけしたようで」
叔父様と呼ばれた男性は丁寧に頭を下げた。叔父様というとバロワン伯爵、フェリシアの母親の弟だ。
こんな人だったんだ。
ゲームや漫画では叔父さんも叔母さんもほとんど登場しない。ゲームのスチルで隅のほうに小さく描かれることはあったが、ほとんど気にして見ることもなかった。
「またひとりで行動して。ミーガンさんが言うように何かあったらどうするんだ」
「はい」とうなだれたフェリシアが「あの、叔父様、このこと叔母さまには」
「言ってはいないよ」と少しばかり苦笑したバロワン伯爵。
あれ。
こんな若い人、いや、叔父さんではあるけどもっとお年の人かと勝手に思ってた。こんなイケ叔父だったなんて。
と、いきなりドアをノックする音がした。
こんな夜更けに、真っ暗な森の中にやってくる人なんて。村の人でも朝や昼しか来ないのに。
恐る恐るドアに向かう私に、クロが戦闘態勢を整えてついてきたが、ドアの前でふいっと方向転換して戻ってしまった。
「え? 何で?」と思う間もなく、ドアの向こうから「魔女のミーガンさん、私よ私、フェリシア。開けて」
フェリシア?
なんでまたご令嬢がこんな時間にこんな場所に?
あわててドアを開けると、大荷物が目の前にドドーンと現れた。
「フェリシア様?」
「ここ、ここ、荷物入れるわよ」
大荷物の奥から声がして、そのまま部屋へと入ってきた。
荷物をどんっと床に置くと、フェリシアがニマリとした顔を上げた。
「これ使って」
「はい?」
ぐるりと部屋を見回したフェリシアは「あれ?」と声を上げる。
「あったのね。待って、来たときはなかったじゃない。あっ」
レラ様ね、とベッドの上の毛布を指さした。
「あれは、フェリシア様が帰られた後にメイドのメイベルさんが」
「さすがレラ様ね。後れを取ったかあ」
なんて言いつつ、大荷物をくるんでいた布をほどくと、中からはレラがくれた毛布と同じような暖かそうな毛布が出てきた。
「よかったらこれも使って」
「いいんですか?」
「森の中だと夜は冷えるでしょ。あと」
と鍋に皿、カップにパンにワイン、タオルにガウン、果てはおいしそうなお菓子まで出てきた。
「こんなに?」
「いろいろ物入りでしょ? それにひとりだと物騒だから本当は武器になりそうなもの持ってこようと思ったんだけど。それはまた今度」
「いやいやいや、もう充分すぎるぐらいですよ」
慌てて手をバタバタと横に振った。
「ありがとうございます」
素直にお礼を言いつつも「こんなに、お家の方には言ってきたんですか?」
「え、えーと」
途端に天井に視線をやるご令嬢。これは、黙って持ち出してるし、ここにも1人で来たんだな。
「こんな夜更けに1人で来られたんですか?」
またもや「あ~」と視線をそらす。
「だめですよ。こんなとこにこんな時間に。フェリシア様こそ何かあったらどうするんです」
「え~、でも馬だし大丈夫よ」
と部屋をうろうろし始めた。クロは移動するフェリシアを目で追っていたが、いきなりドアに向かってウーッと威嚇し始めた。どうしたの? と声をかける間もなく、ひとりの男性が入ってきた。
「魔女さん、いや、ミーガンさんの言うとおりだぞ」
「うわっ! 叔父様」
「今日はご迷惑をおかけしたようで」
叔父様と呼ばれた男性は丁寧に頭を下げた。叔父様というとバロワン伯爵、フェリシアの母親の弟だ。
こんな人だったんだ。
ゲームや漫画では叔父さんも叔母さんもほとんど登場しない。ゲームのスチルで隅のほうに小さく描かれることはあったが、ほとんど気にして見ることもなかった。
「またひとりで行動して。ミーガンさんが言うように何かあったらどうするんだ」
「はい」とうなだれたフェリシアが「あの、叔父様、このこと叔母さまには」
「言ってはいないよ」と少しばかり苦笑したバロワン伯爵。
あれ。
こんな若い人、いや、叔父さんではあるけどもっとお年の人かと勝手に思ってた。こんなイケ叔父だったなんて。
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