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10 寤寐思服
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翌朝、目が覚めると隣で一緒に眠っていたはずのシオンさんがいなくなっていた。
その時、少し嫌な感じがした。
昨日の様子や一昨日の彼女の様子を見るに、
明らかに様子がおかしかった。
それに、寝る時に何かぶつぶつと独り言を言っていたのも気になった。
ベットから立ち上がり、周りを見渡す。
どうやら、リビングにはシオンさんはいないみたいだ。彼女のいる場所が気になった私は部屋を全部見渡すことにした。
トイレ、お風呂場、洗面台、玄関、キッチン、
どこを見渡しても、彼女はいなかった。
息を吸う音すら、何も聞こえなかった。
何かをハッと思い出した私はベランダを見ることにした。ベランダになら、シオンさんはいるかもしれないという細やかな希望を抱いて。
カーテンを開く。
どうやら、シオンさんはいないみたいだ。
でも、ただここからじゃ見えないだけでベランダに彼女はいるかもしれない。
扉を開き、ベランダに行った。
空はまだ暗い。時刻は大体4時くらいだろうか。
でも、そんな空も綺麗だ。
下を見ると、隣で一緒に眠っていたはずだった彼女が地面でうつ伏せしている姿があった。
よく見ると、頭から血が出ている。
‥その時、私は1番考えちゃダメで考えたくもなくて現実になってほしくない事を考えた。
"シオンさんが飛び降り自殺をした"
だって、あんな状態になるのは普通におかしい。
わざわざ、外に出て地面でうつ伏せで寝ることなんてないだろうし、そもそもそんなことをしてたら、頭から血を流さない。
でも、彼女が自殺するなんて、考えられない。
だってあんなに元気だったし…
いや、元気なんかじゃなかった。
明らかに様子がおかしかった。
気づいてたのに、どうして私は彼女に言えなかったんだろう。
「大丈夫ですか?」「何かあったんですか?」
些細なことでも、いつもならこんなことが言えたのに。どうして私は彼女に言えなかった?
体が熱い。息が苦しい。
頭の中でずうっと彼女の姿を思い浮かぶ。
生きていたはずの人がこの世からいなくなってしまった時、なんでこんなにもしんどくなってしまうのだろう。
ただの同情?罪悪感?彼女の心に寄り添えなかったことへの後悔?
…いや、全部違う気がする。
もしかして、私はシオンさんに無自覚に好意を寄せていたのかもしれない。
愛しくてたまらない人が自分の世界からいなくなってしまった時、こんなに苦しいのか。
しかも想いを伝えれないまま、彼女がいなくなってしまった。早く、この気持ちに気づいて、伝えれば良かった。
この世界の全部が嫌になった私は、ベランダから出て水道水を飲むことにした。
コップを机に置こうと、机を見ると、一枚の手紙があった。
そこには、こんなことが書かれていた。
「 てんりちゃんへ
手紙なんて人生の中で書いたことがないからさ、
下手くそで読みにくくなのかもしれないけど、
ゆるしてね。
私は、小さい頃から今日までよく思っていたことがあるんだ。
『死ねば働かなくて済むし、人間関係で無駄に悩むことなんてないし、何も苦しまないし、一石二鳥だ』
君もこんなこと、思ったことあるかな?
私は死ぬほどあるよ。どうせ死なないくせにね~
そして、現状をよく見れば分かると思うんだけどさ、私死んじゃった。
君ともっと話したり、ご飯を一緒に食べたり、
一緒に眠ったり、君がお日様みたいに元気になっている姿とか、もっと見たかったな~!
でも、そんなことより、自殺願望が勝っちゃったんだ。
そこでさ、私から君へのお願いがあるんだ。
私の代わりに沢山生きてほしい。
私のことを忘れて生きてほしい。
ただそれだけ。 」
彼女が書いた字を初めて見た。
こんなにも、綺麗に書けるんだ。私と違って。
私が彼女のことを忘れれるはずがない。
あなたがいたから、私はこんな世界でも生きていようと思ったのに。
私はこれからどうしたらいいのだろう。
彼女がいない世界で、生きる気力なんてない。
こんな想いもあったけれど、一番最初に思ったことはただ、彼女の願いを叶えたいという想いだった。
机から離れ、コップを口につけ、水道水を飲む。
いつもは甘いと感じる水道水が苦く感じる。
ベットに置いているスマホを持ち、救急車に電話をかける。
数分後、救急車が何台か来た。
赤く光っていて、少しきたない。
私は、シオンさんの傍にずっといたかった。
けど、もうこれからは傍にはいれない。
隣で眠ることも、ご飯を一緒に食べることも、一緒にブランコに乗ることも、話すことも、彼女の笑顔を見ることも、苦しんだ表情をみることも、彼女の綺麗な手首を見ることも、彼女と同じ場所で息を吸うことも、サラサラの髪も触れれない。
こんな状況に落胆しつつも、私の中で疑問が浮かんだ。
最後の願いを叶えたら、今度こそ、シオンさんの傍にずっといられるだろうか?
ただ、そんなちっぽけな疑問。
答えてくれる人はどこにもいない。
だから、私は独自で判断した。
シオンさんがいない世界でも、このまま生き続けたら、いずれかは彼女の傍にいられるんだと。
私の中から、彼女は完全に忘れれないないだろう。というか、忘れることさえできないだろう。
だから、忘れたフリをした。
シオンさん、
あなたの想いは本当にこれだけだったんですか?
答えが返ってこない疑問が頭の中に浮かぶ。
もう、答えてなんてくれないのに。
ハナミズキ 終わり
その時、少し嫌な感じがした。
昨日の様子や一昨日の彼女の様子を見るに、
明らかに様子がおかしかった。
それに、寝る時に何かぶつぶつと独り言を言っていたのも気になった。
ベットから立ち上がり、周りを見渡す。
どうやら、リビングにはシオンさんはいないみたいだ。彼女のいる場所が気になった私は部屋を全部見渡すことにした。
トイレ、お風呂場、洗面台、玄関、キッチン、
どこを見渡しても、彼女はいなかった。
息を吸う音すら、何も聞こえなかった。
何かをハッと思い出した私はベランダを見ることにした。ベランダになら、シオンさんはいるかもしれないという細やかな希望を抱いて。
カーテンを開く。
どうやら、シオンさんはいないみたいだ。
でも、ただここからじゃ見えないだけでベランダに彼女はいるかもしれない。
扉を開き、ベランダに行った。
空はまだ暗い。時刻は大体4時くらいだろうか。
でも、そんな空も綺麗だ。
下を見ると、隣で一緒に眠っていたはずだった彼女が地面でうつ伏せしている姿があった。
よく見ると、頭から血が出ている。
‥その時、私は1番考えちゃダメで考えたくもなくて現実になってほしくない事を考えた。
"シオンさんが飛び降り自殺をした"
だって、あんな状態になるのは普通におかしい。
わざわざ、外に出て地面でうつ伏せで寝ることなんてないだろうし、そもそもそんなことをしてたら、頭から血を流さない。
でも、彼女が自殺するなんて、考えられない。
だってあんなに元気だったし…
いや、元気なんかじゃなかった。
明らかに様子がおかしかった。
気づいてたのに、どうして私は彼女に言えなかったんだろう。
「大丈夫ですか?」「何かあったんですか?」
些細なことでも、いつもならこんなことが言えたのに。どうして私は彼女に言えなかった?
体が熱い。息が苦しい。
頭の中でずうっと彼女の姿を思い浮かぶ。
生きていたはずの人がこの世からいなくなってしまった時、なんでこんなにもしんどくなってしまうのだろう。
ただの同情?罪悪感?彼女の心に寄り添えなかったことへの後悔?
…いや、全部違う気がする。
もしかして、私はシオンさんに無自覚に好意を寄せていたのかもしれない。
愛しくてたまらない人が自分の世界からいなくなってしまった時、こんなに苦しいのか。
しかも想いを伝えれないまま、彼女がいなくなってしまった。早く、この気持ちに気づいて、伝えれば良かった。
この世界の全部が嫌になった私は、ベランダから出て水道水を飲むことにした。
コップを机に置こうと、机を見ると、一枚の手紙があった。
そこには、こんなことが書かれていた。
「 てんりちゃんへ
手紙なんて人生の中で書いたことがないからさ、
下手くそで読みにくくなのかもしれないけど、
ゆるしてね。
私は、小さい頃から今日までよく思っていたことがあるんだ。
『死ねば働かなくて済むし、人間関係で無駄に悩むことなんてないし、何も苦しまないし、一石二鳥だ』
君もこんなこと、思ったことあるかな?
私は死ぬほどあるよ。どうせ死なないくせにね~
そして、現状をよく見れば分かると思うんだけどさ、私死んじゃった。
君ともっと話したり、ご飯を一緒に食べたり、
一緒に眠ったり、君がお日様みたいに元気になっている姿とか、もっと見たかったな~!
でも、そんなことより、自殺願望が勝っちゃったんだ。
そこでさ、私から君へのお願いがあるんだ。
私の代わりに沢山生きてほしい。
私のことを忘れて生きてほしい。
ただそれだけ。 」
彼女が書いた字を初めて見た。
こんなにも、綺麗に書けるんだ。私と違って。
私が彼女のことを忘れれるはずがない。
あなたがいたから、私はこんな世界でも生きていようと思ったのに。
私はこれからどうしたらいいのだろう。
彼女がいない世界で、生きる気力なんてない。
こんな想いもあったけれど、一番最初に思ったことはただ、彼女の願いを叶えたいという想いだった。
机から離れ、コップを口につけ、水道水を飲む。
いつもは甘いと感じる水道水が苦く感じる。
ベットに置いているスマホを持ち、救急車に電話をかける。
数分後、救急車が何台か来た。
赤く光っていて、少しきたない。
私は、シオンさんの傍にずっといたかった。
けど、もうこれからは傍にはいれない。
隣で眠ることも、ご飯を一緒に食べることも、一緒にブランコに乗ることも、話すことも、彼女の笑顔を見ることも、苦しんだ表情をみることも、彼女の綺麗な手首を見ることも、彼女と同じ場所で息を吸うことも、サラサラの髪も触れれない。
こんな状況に落胆しつつも、私の中で疑問が浮かんだ。
最後の願いを叶えたら、今度こそ、シオンさんの傍にずっといられるだろうか?
ただ、そんなちっぽけな疑問。
答えてくれる人はどこにもいない。
だから、私は独自で判断した。
シオンさんがいない世界でも、このまま生き続けたら、いずれかは彼女の傍にいられるんだと。
私の中から、彼女は完全に忘れれないないだろう。というか、忘れることさえできないだろう。
だから、忘れたフリをした。
シオンさん、
あなたの想いは本当にこれだけだったんですか?
答えが返ってこない疑問が頭の中に浮かぶ。
もう、答えてなんてくれないのに。
ハナミズキ 終わり
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