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【第十二話 ●●にされた僕】
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ナツの二の十四。
今日はこの里で十二年に一度の慰霊祭が行われる日。
この里でもっとも大切で神聖な儀式らしい。
もちろん、僕は見たことがないから、どんなことをする儀式なのかわからなかった。
なんと、僕がその祭りの●●に選ばれた。
「喜べ、お前は選ばれたんだ」
父さんは、この言葉とは裏腹に、何故か涙を流していた。
母さんは、いつもの発作が起きたみたいで、僕の名前を呼びながら泣き叫んで、しばらく暴れた後に倒れてしまい、寝込んでいた。
姉さんたちは、何も言わずに、泣きながら僕を抱きしめてから、キスをしてくれた。
僕は化粧をさせられた後、白装束を着せられて、里の中央の広場へと連れて行かれた。
広場には、すでに里中の人たちが集まっていた。
でも、みんな僕の顔を見ると、哀しそうな顔をして、涙を流していた。
その後、あの青い花のつぼみの汁から作った黒い塊を燃やした煙を吸わされたせいで、僕の頭はクラクラしていた。
レオの話だと、あの青い花はケシという名前で、花のつぼみからとった汁を加工すると、黒い塊が出来るらしい。
そして、それを燃やした時に出る煙を吸うと、意識が朦朧としてしまうことを聞いていた。
何故か痛みも感じなくなるらしい。
……誰かが、僕の名前を叫んでいるのが聞こえた。
泣いている?
どうして泣いているの?
相変わらず、頭がクラクラする。
何が起きているのかも、もう、わからなくなっていた。
そして、僕は前から、首を一気に締め付けられた。
苦しいような気がするけど、もう、どうでもよくなった。
この時の僕はもう、幸せをもらっていたから、ちっとも怖くなかった。
そのあと、僕の意識は、僕の身体から抜け出した。
でも、僕の意識はちゃんとこの世界に残り続けたんだ。
◇◇◇
その日の夜中、僕はいつものようにレオが滞在している建物に向かった。
「やあレオ、会いにきたよ」
でも、レオは何も答えてくれなかった。
レオは、何かを思い詰めたような、とても怖い顔をしていた。
そのまま、レオは隠し持っていた銃とガソリンの入った携行缶をカバンに仕舞うと、みんなが住む家のある集落の方へと進んでいった。
今日はこの里で十二年に一度の慰霊祭が行われる日。
この里でもっとも大切で神聖な儀式らしい。
もちろん、僕は見たことがないから、どんなことをする儀式なのかわからなかった。
なんと、僕がその祭りの●●に選ばれた。
「喜べ、お前は選ばれたんだ」
父さんは、この言葉とは裏腹に、何故か涙を流していた。
母さんは、いつもの発作が起きたみたいで、僕の名前を呼びながら泣き叫んで、しばらく暴れた後に倒れてしまい、寝込んでいた。
姉さんたちは、何も言わずに、泣きながら僕を抱きしめてから、キスをしてくれた。
僕は化粧をさせられた後、白装束を着せられて、里の中央の広場へと連れて行かれた。
広場には、すでに里中の人たちが集まっていた。
でも、みんな僕の顔を見ると、哀しそうな顔をして、涙を流していた。
その後、あの青い花のつぼみの汁から作った黒い塊を燃やした煙を吸わされたせいで、僕の頭はクラクラしていた。
レオの話だと、あの青い花はケシという名前で、花のつぼみからとった汁を加工すると、黒い塊が出来るらしい。
そして、それを燃やした時に出る煙を吸うと、意識が朦朧としてしまうことを聞いていた。
何故か痛みも感じなくなるらしい。
……誰かが、僕の名前を叫んでいるのが聞こえた。
泣いている?
どうして泣いているの?
相変わらず、頭がクラクラする。
何が起きているのかも、もう、わからなくなっていた。
そして、僕は前から、首を一気に締め付けられた。
苦しいような気がするけど、もう、どうでもよくなった。
この時の僕はもう、幸せをもらっていたから、ちっとも怖くなかった。
そのあと、僕の意識は、僕の身体から抜け出した。
でも、僕の意識はちゃんとこの世界に残り続けたんだ。
◇◇◇
その日の夜中、僕はいつものようにレオが滞在している建物に向かった。
「やあレオ、会いにきたよ」
でも、レオは何も答えてくれなかった。
レオは、何かを思い詰めたような、とても怖い顔をしていた。
そのまま、レオは隠し持っていた銃とガソリンの入った携行缶をカバンに仕舞うと、みんなが住む家のある集落の方へと進んでいった。
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