青い花の里の物語

アンジュ・あんこ

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【第十六話 二人の退魔師その2】

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「鬼の親玉の登場だ。慌てるなよ魅躯。冷静に身体を撃ち抜くよ」

「まかせてよ、玲司。全弾命中させる」

 玲司たちは彼女にも弾丸を撃ち込んだ。
 しかし、彼女は何事もなかったかのように、玲司に近付いてきた。

「それがどうした!!」

「危ない!!!」

 咄嗟に魅躯が玲司を庇った。
 魅躯はそのままアオに腹を貫かれてしまった。

「魅躯!!!」

「私はいいから、あなたはこいつを倒すことに集中して!!」

「くっ!! こいつ、対魔の銃が効かないだと!! 他の鬼とは違うのか!!!」

「お前たちは、また私から仲間を奪った!! 許さない!!! 絶対に許さないよ!!!!!」

 おぞましい表情で玲司におそいかかるアオ。
 
「だが、これはどうだ!!」

 玲司は対魔用の閃光弾を使い、強烈な光と音で彼女の視界と聴力を一時的に奪うことに成功した。

「ちっ、人間ごときが、ふざけた真似をして!!」

 その隙に魅躯をアオから引き離した玲司は、対魔の銃のエレメントチャンバーに火のエレメントカプセルを込めた。

 そして、炎を纏った弾丸を、アオに向かって撃った。

 アオは炎に弱いらしく、弾丸を受けたアオは苦しみ出した。

「人間どもが、調子に乗るなよ!!」

 怒り狂ったアオは、本来の鬼の姿へと変貌した。
 鬼となったアオが、玲司に襲いかかる。

 鬼になったアオは予想以上に素早く、玲司は反応することが出来なかった。

 アオは玲司の右腕に噛みつき、そのまま食いちぎってしまった。

「ぐああああああっ!!!」

「さあて、次は左腕だ!! その身体、全て食い尽くしてくれる!!!」

「玲司!!! 離れて!!!!!」

 その時、アオの背後から焼夷弾が飛んできて、アオの背中に直撃した。
 魅躯は、アオが炎の弾丸に苦しんでいたのを、見逃さなかった。
 炎がアオに有効だと気付いた魅躯が、最後の力を振り絞って、アオに向けて投げつけたのだ。

 そのまま、アオの身体は激しく燃え上がった。

「がああああああっ!!」

 苦しみながらもがくアオ。

「今よ!! 玲司!!! 早く逃げて!!!!!」

「魅躯!! お前も一緒に!!!」

「私はもう助からないわ!! あなただけでも!!! 早く!!!」

「くっ!!! すまない魅躯!!!!!」

 玲司は無我夢中で、洞窟の方へ走った。

「人間ごときに、ここまで深傷を負わされるとはな。とりあえず、この女を喰って、身体を再生させなくては……」

 アオは動かなくなった魅躯の身体を、貪るように食べ始めた。

 洞窟から出てきた玲司は血まみれで、重傷を負っていた。
 玲司はすぐに村人から手当を受けたが、この時の傷が原因で、後に玲司は亡くなっている。
 
 しかし、玲司は、彼の手帳に洞窟の奥で起きた出来事を詳細に記録していた。
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