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【第十七話 玲央とアキ】
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昭和五十●年八月十四日。
玲央は昨日の出来事を思い出していた。
◇◇◇
昭和五十●年八月十三日夜。
この日、いつものように、アキが玲央に会いに来ていた。
「お願いがあるんだ、アキ。僕は、君の素顔が見たいんだ。仮面を取って、僕に見せてくれるかな?」
「恥ずかしいけど、いいよ。レオはもう、僕の友達だから」
アキは仲良くなった玲央に、仮面の下の素顔を見せた。
「ありがとう、アキ」
玲央は、アキの顔をまじまじと見つめていた。
「ねえ、レオ。僕の顔、どうだった?」
「ああ、とっても綺麗だよ、アキ」
レオに自分の顔を褒められたアキは、自分の気持ちを抑えきれなくなっていた。
「ねえ、レオ、お願いがあるんだ。姉さんたちが教えてくれた、キスっていうのをレオとしたいんだ。ダメかな?」
玲央は何も言わずにアキの手を握りしめながら、自身の唇をアキの唇に重ねた。
玲央は、アキの柔らかい唇の感触を噛み締めながら考えていた。
(この子は本当に男の子なのか? まるで・・・)
玲央はアキの仕草から、彼が本当は女の子ではないかと感じていた。
しかし、アキが無意識に下半身を自分の足に押し付けてきたことで、それが間違いだということに気づく。
(なんだ、気のせいか。しかし……)
気がつくと、玲央はアキを押し倒していた。
そして、この時見たアキの顔に鬼の特徴が出ていたことで、玲央はこの集落の住民が鬼の血を引いていることを確信した。
実は、玲央は昔この集落でアオに殺されかけた退魔師、冬月玲司のひ孫だった。
曽祖父の遺品の手帳から真実を知った玲央は、この集落の鬼の血を引く人間を恨んでおり、鬼狩りとして、この集落の人間を皆殺しにすることを計画していた。
しかし、この集落で唯一仲良くなったアキの存在が、玲央にその実行を躊躇させていた。
だが、この時の玲央は、次の日にアキが生贄となることを知らなかった。
慰霊祭の日も、玲央はアオから建物の外に出ることを許可されなかった。
胸騒ぎがした玲央は、こっそり建物から抜け出した。
無人の家から白い仮面を拝借した玲央は、里の住人に紛れて、中央の広場でこれから起こる惨劇を見つめていた。
彼は、アキを守ることが出来なかった。
親友の命が奪われるのを、ただ見つめていることしか出来なかった。
その怒りが、玲央の頭の中にあった理性のブレーキを、完全に破壊した。
玲央は昨日の出来事を思い出していた。
◇◇◇
昭和五十●年八月十三日夜。
この日、いつものように、アキが玲央に会いに来ていた。
「お願いがあるんだ、アキ。僕は、君の素顔が見たいんだ。仮面を取って、僕に見せてくれるかな?」
「恥ずかしいけど、いいよ。レオはもう、僕の友達だから」
アキは仲良くなった玲央に、仮面の下の素顔を見せた。
「ありがとう、アキ」
玲央は、アキの顔をまじまじと見つめていた。
「ねえ、レオ。僕の顔、どうだった?」
「ああ、とっても綺麗だよ、アキ」
レオに自分の顔を褒められたアキは、自分の気持ちを抑えきれなくなっていた。
「ねえ、レオ、お願いがあるんだ。姉さんたちが教えてくれた、キスっていうのをレオとしたいんだ。ダメかな?」
玲央は何も言わずにアキの手を握りしめながら、自身の唇をアキの唇に重ねた。
玲央は、アキの柔らかい唇の感触を噛み締めながら考えていた。
(この子は本当に男の子なのか? まるで・・・)
玲央はアキの仕草から、彼が本当は女の子ではないかと感じていた。
しかし、アキが無意識に下半身を自分の足に押し付けてきたことで、それが間違いだということに気づく。
(なんだ、気のせいか。しかし……)
気がつくと、玲央はアキを押し倒していた。
そして、この時見たアキの顔に鬼の特徴が出ていたことで、玲央はこの集落の住民が鬼の血を引いていることを確信した。
実は、玲央は昔この集落でアオに殺されかけた退魔師、冬月玲司のひ孫だった。
曽祖父の遺品の手帳から真実を知った玲央は、この集落の鬼の血を引く人間を恨んでおり、鬼狩りとして、この集落の人間を皆殺しにすることを計画していた。
しかし、この集落で唯一仲良くなったアキの存在が、玲央にその実行を躊躇させていた。
だが、この時の玲央は、次の日にアキが生贄となることを知らなかった。
慰霊祭の日も、玲央はアオから建物の外に出ることを許可されなかった。
胸騒ぎがした玲央は、こっそり建物から抜け出した。
無人の家から白い仮面を拝借した玲央は、里の住人に紛れて、中央の広場でこれから起こる惨劇を見つめていた。
彼は、アキを守ることが出来なかった。
親友の命が奪われるのを、ただ見つめていることしか出来なかった。
その怒りが、玲央の頭の中にあった理性のブレーキを、完全に破壊した。
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