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3 年上筋肉攻めのダイくんはヤキモチ焼き

9 やさしいんです

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 ◆ ◆ ◆


 いつの間にか眠っちゃったらしい。
 目を開くとダイくんの顔が目の前にあった。遠くを見透かすような涼しい表情。ボクはうっとりと、見惚れてしまう。

「起きたか?」

 彼は本をつまらなそうに眺めたまま、声をかけてくる。

「うん」

 何もかも元通りだった。
 ボクにはちゃんと服を着せてくれているし、寒くないようにお腹に毛布まで掛けてくれている。

「……声、いっぱい出しちゃった……。大丈夫だったかな?」

 少しだけ喉がケホケホする。

「ん? まあ、大丈夫だろ」
「もし文句言われたらゴメンね」
「お前が気にすんじゃねぇよ。そんなもん」
「うん……」

 ダイくんは本当に優しい。
 彼とした後、物足りなかったり、不満だったことは今まで一回も無い。

 強いて言うなら一つだけ。


「次は、もっとあったかいところでしたいな……」
「ああ。そうだな」
「約束ね」
「今度はユーラスとヤる前に来るってんのなら、約束してやるよ」
「ふふふっ」

 こんなぶっきらぼうな感じでも、彼の優しさは誰よりも深いことをボクは知っている。
 だからもう一回だけ――、

「ダイくん、好き」

 と、ささやいた。

 何度言ったって理解されないかもしれないけど、ボクは本当にユーラスくんと同じくらい、ダイくんのことも愛してる。
 ボクは甘い蜜になって、たくさんの人をいっぱいいっぱい愛して、幸せにしてあげたい――。


「ダイくん……」


 ボクはゆっくりと、彼の広い背中を抱きしめる。

「これからも、ずっとそばにいてね」

「当たり前だ」

 急に男前を気取られるのがなんだか悔しくて、ボクはイタズラすることにした。彼の体をぎゅううっと抱きしめ、耳元めがけて、

「これからもいっぱい単位落としてね」

 と、ささやいた。

「……っ!」

 彼の顔はまるで沸騰したかのように真っ赤になる。

「オイっ! せっかくいい気分だってのに現実戻すなよな!」

「ひひひっ」


 三年生のダイくんだけど、このままいけば、めでたく留年。
 来年の春からはボクと同じ学年になります――。



 
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