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7 口説き落とし会議
1 お口に合った
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そしてボクは今、ギンガくんがボクを口説き落とすための作戦会議に参加させられている。
もちろん、逃げようとした。
でもシノリアちゃんがそれを許してくれなくて(逃げたらしばらく出入り禁止だぞと脅迫されたのだ)結局、授業もサボることになってしまった。
こんなことになるなら、荷物なんて置かずに直接授業に出ればよかった。でも、後悔してももう遅い。
「それにしてもシェフ、この白い玉は変わった味がして面白いな。褒めてつかわす」
ギンガくんはシノリアちゃんの作ったおにぎりを遠慮無しにむしゃむしゃと頬張っている。
「フフフ……、王子のお口に合って何よりですわ。ンフフ……」
シノリアちゃんはその食べっぷりを心底イジワルな笑みで見守っている。
彼女がたくさん作ってきた特製おにぎりは、食べてみるまで中身が何か分からない。いや、食べてもまったく分からないのがほとんどだ。
たぶん、具材が判明したら王子も卒倒間違いなしだろう。
「王子、一つ質問してぇんすけど!」
ピロカちゃんがピッと手を上げた。
気がつけば二人ともギンガくんのことを“王子”と呼んで親しくしている。
「どうした、町娘」
「王子はトキさんのどこが気に入ったのっしゃ?」
「私の愛に理由は存在しない。まあ、強いて言うなれば、そうさな。二人の愛がもつれ、激しく絡み合い、極限まで高ぶった瞬間に放たれたあの濃厚な――」
「わーーーーっ!!」
突拍子もなくとんでもないことを暴露される予感がして、彼の口におにぎりを押し込んだ。
「へへへっ」
静かになったところで誤魔化し笑ったけれども、たぶん完全にバレただろう。
「なるほど。王子もなかなか変わった味覚してるってことね……」
ボクの素行を全て把握しているシノリアちゃんは一を聞いただけで、十を知ったのだろう。ニヤニヤしてる。
もちろん、逃げようとした。
でもシノリアちゃんがそれを許してくれなくて(逃げたらしばらく出入り禁止だぞと脅迫されたのだ)結局、授業もサボることになってしまった。
こんなことになるなら、荷物なんて置かずに直接授業に出ればよかった。でも、後悔してももう遅い。
「それにしてもシェフ、この白い玉は変わった味がして面白いな。褒めてつかわす」
ギンガくんはシノリアちゃんの作ったおにぎりを遠慮無しにむしゃむしゃと頬張っている。
「フフフ……、王子のお口に合って何よりですわ。ンフフ……」
シノリアちゃんはその食べっぷりを心底イジワルな笑みで見守っている。
彼女がたくさん作ってきた特製おにぎりは、食べてみるまで中身が何か分からない。いや、食べてもまったく分からないのがほとんどだ。
たぶん、具材が判明したら王子も卒倒間違いなしだろう。
「王子、一つ質問してぇんすけど!」
ピロカちゃんがピッと手を上げた。
気がつけば二人ともギンガくんのことを“王子”と呼んで親しくしている。
「どうした、町娘」
「王子はトキさんのどこが気に入ったのっしゃ?」
「私の愛に理由は存在しない。まあ、強いて言うなれば、そうさな。二人の愛がもつれ、激しく絡み合い、極限まで高ぶった瞬間に放たれたあの濃厚な――」
「わーーーーっ!!」
突拍子もなくとんでもないことを暴露される予感がして、彼の口におにぎりを押し込んだ。
「へへへっ」
静かになったところで誤魔化し笑ったけれども、たぶん完全にバレただろう。
「なるほど。王子もなかなか変わった味覚してるってことね……」
ボクの素行を全て把握しているシノリアちゃんは一を聞いただけで、十を知ったのだろう。ニヤニヤしてる。
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