瞳を閉ざした兄の世界に見えているのはオレだけがいい!

雨宮くもり

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・せんちゃん、はじめての仮病

唯一の気がかり

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 でも、一つだけ気がかりなことがある。


「せんちゃん大丈夫? 喉かわいてない? なにか食べたいものある? どこか痛い? 苦しくない? 欲しいものあったらなんでも言ってね」


 優兄を不安にさせて、心配かけてしまうのは辛すぎる。
 申し訳ない。ごめんなさい。こんなオレをどうか許してほしい。


「カゼのときはやっぱりフルーツがいいよね。バナナがいいかな? ミカン……りんご……キウイ、アボカド……あれ? アボカドってフルーツ?? 栄養はいっぱいあるけど甘くはないか……甘いのがいいよね……パイナップル……缶詰あったかなぁ……」


 優兄の心配は膨らみに膨らみまくっている。

 朝からオレの部屋とリビングを行ったり来たりしている。ずっと落ち着きなくソワソワしているのだ。

 そばにいてくれるだけでいい。なにもしてくれなくていい。隣にいるだけでいい。
 ──何度そう伝えても、優兄は自分にできることはないだろうかと悩み、ぎゅっと唇を噛み、泣きそう。

 仮病じゃないかと疑ってくれたほうがまだ気が楽だ。

 
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