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1.塚田凛也はオカン体質
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しおりを挟む男子校の昼休みはやりたい放題の無法地帯だ。
だが、俺はいわば歩く規律。
教室から出て行くついでに、クラスのやつらに声をかけていく。
「相田! 毎日菓子パンばっかじゃ栄養がかたよるぞ」
「サイトー! バイトかけ持ちで忙しいのは分かるが、二者面談の日はちゃんと空けておけよ」
「福井、河野、小橋! 次の時間、たぶん小テストだから予習しとけよ! また泣くぞ!」
自由におもいおもいに過ごせる時間だからこそ、言ってやらなければいけないことがたくさんある。
そんな俺を見て、クラス委員長はなにもせずにヒマそうだ。
「凛也ってマジでみんなのオカンだよなー」
「うっせぇ! テメェはブロッコリーをちゃんと食え」
お節介なのは自覚している。
だが、どうしても放っておけない。
うちのクラスは学年で一番成績が悪いとか、どうしようもない生徒ばっかりだとか、救いようがないだとか、教師たちはなにかと悪く言う。
だが、俺には分かる。
やればできる子、やらないだけ──って言葉はきっとうちのクラスのやつらのためにある。
本当はマメに声をかけて面倒を見てやれば、どいつもこいつもちゃんとやれるのだ。
要するに、ほんの少し背中を押してもらう分の愛情が足りていないだけ。
俺はできる限りこいつらに愛をわけてやる。それだけだ。
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