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9 帰らないダイショウ※
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しおりを挟む「ひゃああ! 凛くんがっ! 凛くんが積極的だよぉおおおっ!」
一人で盛り上がって、足をバタバタさせているやつは無視。
抱きしめる以上のことは一切する気がないのだから、積極的もクソもない。
プロレスの決着をつけるときみたいに、がっちりと抑え込む。
「凛くん……」
鶴見の体は小さくて、細いばかり。おまけに汗でじっとりと湿っている。お世辞にも抱き心地がいいとは思えなかった。
「凛くん、だいすき」
ささやく鶴見は俺の背中に手を回し、ポン、ポン、ポンとリズムを取り始めた。まるで赤ん坊を寝かしつけるときみたいに。
あたたかな手のひらを感じるたび、妙な感覚が込みあげる。
長い間忘れていた大切なものが、体の奥のほうから押し寄せてくるみたいな。
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