上 下
102 / 271
9 帰らないダイショウ※

22/23

しおりを挟む
 
「ひゃああ! 凛くんがっ! 凛くんが積極的だよぉおおおっ!」

 一人で盛り上がって、足をバタバタさせているやつは無視。
 抱きしめる以上のことは一切する気がないのだから、積極的もクソもない。
 プロレスの決着をつけるときみたいに、がっちりと抑え込む。

「凛くん……」

 鶴見の体は小さくて、細いばかり。おまけに汗でじっとりと湿っている。お世辞にも抱き心地がいいとは思えなかった。

「凛くん、だいすき」

 ささやく鶴見は俺の背中に手を回し、ポン、ポン、ポンとリズムを取り始めた。まるで赤ん坊を寝かしつけるときみたいに。
 あたたかな手のひらを感じるたび、妙な感覚が込みあげる。

 長い間忘れていた大切なものが、体の奥のほうから押し寄せてくるみたいな。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

BL / 完結 24h.ポイント:1,689pt お気に入り:2,625

腹黒上司が実は激甘だった件について。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,022pt お気に入り:139

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:781pt お気に入り:2,498

処理中です...