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12 一つのウソを二人分

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 本日の弁当いじりが落ち着いたタイミングを見計らい、俺もたいした目的もないままに続けていた寝たフリをやめた。
 健太の視線を背中に感じながら、教室を出ていく。

 もし引きとめられても無視するつもりでいたものの、誰も声をかけてこなかった。

 内心、ホッとしながらトイレにむかう。腹は減らなくても出るものは出るのだ。



「──凛くん」

 だが、よりにもよって用を足している最中、制服ダボダボ、髪ボサボサのチビ野郎がやってきた。

 すぐ隣に立たれたが、無視。
 むき出しで無防備なそこをまじまじと見物されている気がするが、無視。

 
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