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12 一つのウソを二人分
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しおりを挟む「ぼくは健太さんのことが好きな凛くんもふくめて、凛くんが好き。選べなくて悩んでる凛くんも好き。なんの問題もないよ」
「なに言ってんだ」
「だってきっぱり選べないほど迷うってことは、凛くんはぼくのことを想ってくれてるってことでしょ?」
背中越しに鶴見から発せられることばは、容赦なく俺の心臓に突き刺さる。
だが、鶴見自身にはその気がない。突き立てた刃をもっと深くまでえぐりこませ、むき出しにして、取り返しがつかないほど傷つけてくればいいのに、しない。
以前のように嫉妬の怒りで我を忘れて攻め込んでくればいいのに、しない。
「とっても、うれしい……。ぼくなんか、きらわれてるとおもったのに……。うれしいなあ……」
ただ静かに頬を押し当てるだけだった。
「……っ」
つねりあげられたわけでもないのに、胸のあたりがツンと痛んだ。
左側が特に切なくて、無意識のうちに自らそこを触っていた。服の上から、指先で、その小さくてもどかしい肉粒の存在をハッキリと確かめる。
自ら罰を求めるように──。
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