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16 机の中の白、窓際のスナイパー
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次の日のおにぎりに何かしらの返答を期待していたものの、なにも添えられてはいなかった。
と、いうかおにぎり自体がメッセージだった。
米粒が妙にがっちり固まっている。ほとんどの粒が潰れかけていて、まるできりたんぽのよう。よほどの力をこめて握らなければこうはならない。
まさか俺が気づいたことに感動して、号泣しながら握ったのだろうか──と、想像しながら口に含むと昨日まではしなかった塩気がある。
──鶴見の涙と鼻水入りの塩むすび。
喉の奥がぎゅっと閉まった。想像しただけで気持ちが悪い。だが、一度口をつけたものを捨てるのはしのびなくて噛まずに飲み込んだ。
その日のノートには『泣きながらにぎるな』と書いた。
次の日はまた極端。食べてるそばからボロボロと崩壊する
力を入れなさすぎだ。
頭の中のお花畑が一斉に開花でもしたのだろうか。
具になっていたミックスベジタブルがかじったそばからポロポロとと落ちる。米粒まみれのそれをよく見ると、ハートのかたちをしていた。
──『ミックスベジタブルはやめろ。クソまずい!』
昨日までは数学のノートに書いていたのだが、今日はスケッチブックと太いマジックを用意していた。
おにぎりを食べ、メッセージを送る。届いているかは分からないが、次の日もおにぎりは机の中にやってくる。
遠回しであまりにも曖昧なやりとりを毎日毎日繰り返した。
俺にとってそれが学校へ来る唯一の目的になっていた。
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