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19 どうしようもないキス ※ end

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「ほら」

 ほどけかけのネクタイを自ら外し、放った。

「来いよ」

 その瞬間、鶴見はふっと表情を変えた。
 おふざけ全開のにやけ顔から、伏し目がちな瞳の奥にギラギラした欲望をのぞかせる。別の人格に切り替わったみたいに。
 服が裂けそうな手荒さで脱がせてきながら、こもっていた熱気さえ逃さないよう顔を突っ込んで吸い上げて来る。
 むさぼられながらも、俺だって負けられない。ゆるゆるのステテコをズリ下げてやり、いまにも果ててしまいそうなぐらい立派に主張しているところを指で擦った。

「ッぐぁん!」
「……っン!」

 びくん、と反応した鶴見はその反動のまま首筋にかじりついた。

 互いのイイところを弄り合っていると、ことばなんて交わさなくても通じている気がした。

 これから始まることへの興奮と期待で、全身が心臓になったみたいに弾む。
 しっとりと汗ばんだ互いの肌。高ぶるほどにやわやわと擦れ合い、吸いつく。
 
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