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15.いたみ/浅い息
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「はっ……?」
たちまち全身から汗が噴き出し、コンクリートで固められたように重くなる。
地上にいながら、海の底に沈んでいくような感覚。耳が塞がったようになり、聞こえる声も音もゴボゴボと濁る。
――“たっくん?”
わけがわからなかった。
呼吸が追いつかない。いくら求めても足りない酸素に、手足はおろか舌先まで痺れていく。
――“大丈夫!?”
うなずくことすらできなかった。
次第に意識が朦朧としてきて、響はおろか世界のすべてが遠くなっていく。ココニイルという実感が、薄れていく。
「……っ、は……」
どうすることもできず、無我夢中で響の腕にしがみついていた。
――“たっくん、どうしたの!? 聞こえる!?”
何かに触れていないと自分が自分でなくなってしまいそうなのに、痺れる手ではその感触がにぶい。
指先にビニールが何枚もまとわりついているかのよう。
たちまち全身から汗が噴き出し、コンクリートで固められたように重くなる。
地上にいながら、海の底に沈んでいくような感覚。耳が塞がったようになり、聞こえる声も音もゴボゴボと濁る。
――“たっくん?”
わけがわからなかった。
呼吸が追いつかない。いくら求めても足りない酸素に、手足はおろか舌先まで痺れていく。
――“大丈夫!?”
うなずくことすらできなかった。
次第に意識が朦朧としてきて、響はおろか世界のすべてが遠くなっていく。ココニイルという実感が、薄れていく。
「……っ、は……」
どうすることもできず、無我夢中で響の腕にしがみついていた。
――“たっくん、どうしたの!? 聞こえる!?”
何かに触れていないと自分が自分でなくなってしまいそうなのに、痺れる手ではその感触がにぶい。
指先にビニールが何枚もまとわりついているかのよう。
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