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16.浅い息/無意味
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しおりを挟む余計なことを話すのはやめ、もう一度、改めて謝ろうとしたときだった。
「――うあっ!」
自分がどうして声をあげたのか数秒間、理解できなかった。
何かが胸にぶつかって、視界が大きく後ろに揺らめいて――。
気がつくと、床に押し倒されていた。
「たっくん……」
俺を見下ろしているのは、もちろん、響だった。
今まで見たことがないくらい、真剣な表情の――。
「ひっ……!」
喉の奥から声が漏れかけたとき、彼の両腕がヘビのように伸びてきて絡みついた。
脇と腰の下を通って、手のひらが背中をさすり始める。
「やっ!」
跳ね上がり、反射的に声をあげてしまったが、彼は少しも動じない。
俺の胸に顔をうずめ、力を入れ続ける。
あまりに強い力で。
肉を越え、あばら骨までミシミシと軋む。思わず背を仰け反らせてしまうほど、容赦が無い。
「……ひ、び……、ぃ、痛、いっ!」
彼の顔面に胸を押し当てている恥ずかしさに身悶えるも、決して放してはくれない。
「や……、響ッ!」
抱かれる――というより、締め付けられているみたいだ。
肺まで圧迫される。息ができない。苦しい。どうして、こんな――。
「放しっ……」
どんなに言っても、彼は俺を無視し続ける。
「……っ、あ!」
どうしてこんなことされているのだろう。
分からなくて、頭の中がごちゃごちゃになって、ただただ苦しくて、それでも突き飛ばすことができなくて――俺はまた泣いてしまった。
右目だけで、泣いた。
やがて「はぁっ」という大きな溜息と共に、腕の力が一気に抜ける。
「たっ……くん……」
響はわずかに身を起こす。
「誰でもいい、なんてさ……、そんな悲しいこと、言わないでよ」
その息は絶え絶えだった。
「ボクね、楽しみにしてたんだよ」
澄み切った笑顔で俺をのぞきこみ、右のまぶたをなぞる。哀れむように。
「たっくんが好きになる人って、どんな人なんだろう、って」
涙をぬぐってくれる。
「きっと、とっても素敵な人なんだろうなぁって……ずっと……」
その骨ばった、指で。
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