探検隊ルイーザと不思議な物語

旅立 マス

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第1章 現実とファンタジーの間で

1−3

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「リズ、君はどうしてそこまで冒険を?」
リズは、首に飾っている笛を見せてくれた。
「この笛は私が見つけたお宝の1つで、異界の笛って言うんだ。始まりの異界へ導いてくれるものなんだよ」
たくさんある異界。その中でも一番最初に出来た異界を始まりの異界という。
全ての異界の始まりの場所と言われていて、そこの場所に関しては名は知られていても誰も行ったことのない場所。
そして、始まりの異界に関しては様々な噂がある。
新しい異界の誕生が見られる場所。様々な異界の全てを知ることができる場所。
誰も行ったことないので真偽は分からない。
「この始まりの異界に行くのが私の夢なんだ。どんな場所なのか自分の目で確かめてみたいんだ」
そう語ったリズの目は輝いていた。ジュンはそんなリズを羨ましく感じた。
「どう?君も一緒に冒険の旅してみないかい?」
それは突然の誘いだった。
「いやいやいや・・・いきなり言われても・・・」
「旅っていうのはいきなり始まるものだよ」
正直、ジュンの心の中に行きたいという気持ちはある。
だが、大学入学を控えている中、それを投げ出して旅に出るというのは無謀なことだ。
どんな滑り止めの大学とはいえ、目の前にあるレールから外れる訳にはいかない。
悔しいが、世の中ある程度引かれたレールの上にいないと安定的な生活など送れない。
まして、親がなんて言うか・・・
「とはいえ・・・」
どんな理由をつけたところで結局のところ度胸がないのだ。
色々なものを投げ出して旅に出る度胸がジュンには無かった。
しかし、リズの誘いはそれを変えてくれるキッカケになるかもしれない。

ビービービー

リズは、持っていたカバンからスマートフォンのようなものを取り出した。
「あれ?この反応は・・・」
「どうしたの?」
「分からないけど、発信機が反応しているんだ」
それは組織を追っていた時に、その組織に関係がありそうな人物なら誰でもいいから発信機をつけて
行方を追うと考えていた時に準備していたものだ。
「あれ?手元にない・・・」
どうやら、追われた時に落としたようだ。
「けど、何で反応しているんだろう?」
考えられる結論は一つしか無かった。
「それってリズが追っていた組織が僕がいる世界にいるってことじゃない?」
普通に考えるならそれしかない。
「リズを追ってきたってこと?」
「それはないと思う。あったら今頃、あいつらに追われているだろうし」
リズ1人逃げられたところで、計画の阻害になるとは思えない。
そう考えると、奴らは何でここにいるのか。
リズはある1つの結論に辿り着いた。
「ここで何かをしようとしてるってこと・・・?」
「何か?」
「うん。何をしようとしているのか、私も途中で逃げてきたから掴むことはできなかったけど、
この世界で何かをしようとしているということは確かね」
リズはベッドから立ち上がる。
「まさか、行くつもり?」
「ギルドに連絡したところで、ここに来るには時間がかかるわ。だったらギルドが来るまで時間稼ぎくらいはしないと」
「無茶だ。さっきまで倒れていたのに」
「あ、だったら一緒に行かない?」
「え?」
それこそ無茶な話だ。ジュン自身、今まで戦ったこともないし、ゲームのように戦う能力がある訳でもない。
一緒に行ったところで足手まといにしかならない。
「要するに戦う力があればいい訳だ」
リズは、ポケットからバッジみたいなものを取り出した。
「これがあれば、君の能力を引き出すことができる」
「え?」
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