探検隊ルイーザと不思議な物語

第4章 占拠された街

4–8

「僕らの武器なら何とかなるってこと？」
「ああ、お前さん達の銃や弓なら防御貫通の攻撃が可能だ」
クルールはジュンとルイーザに貫通攻撃のやり方を教えた。ジュンは持ってる魔力を弾に込めるだけ。そして、ルイーザも矢に魔力を込めるだけだ。拳銃や弓を武器にしているジュン達だからこそできる技だ。
「さて、やり方を教えたが、後はお前さん達次第だ」
2人は武器を構えた。それぞれ弾と矢に魔力を込めた。
「よし、発射！」
2人の武器は蛇のモンスターに当たった。痛がっている。ダメージを受けたみたいだ。しかも、ジュンの剣でダメージを与えるどころか傷をつけるのも難しかった体に拳銃で撃って当てた箇所にヒビが入っている。さらに別の箇所にはルイーザの矢が刺さっている。
「マジか・・・」
驚いた。貫通攻撃というのはここまで強力なものなのか。こんなにあっさりと攻撃が通るなんて思わなかった。
「お前ら、このチャンスを逃すな！今ならヒビが入った箇所に剣で攻撃すればダメージを与えられるぞ」
クルールがそう言うと、ジュンは武器を大型剣に切り替えてモンスターに斬りかかる。ジュン達が与えたヒビがさらに大きくなった。クルールがパンチでとどめを刺す。モンスターが音を立てて崩れていく。そして、2人の方を見て言った。
「初めてにしては上出来だな。今教えた技は今後も似たような敵が現れたら便利だから物にしておけよ。これからの冒険で絶対に役立つはずた」
「ありがとう、クルール。助かったよ」
とは言え、クルールは内心驚いていた。ぶっつけ本番とはいえ、上手くいくとは思わなかったのだ。それだけ見所がありそうな2人だと言うことだ。
「とりあえず、これで先に進めそうね。さあ、ワッフルに乗って。先に進みましょう」
3人はワッフルに乗って、さらに地下道を進む。さっきの戦い以来、モンスターの気配は無い。そもそもここにモンスターがいることの方が珍しいかもしれない。ここで生き物が生きていけるかと言われたら、植物も無い、草木も無いような場所だ。生きていくのは難しいだろう。
クルールは、また目印を定期的に取っているが、同じ目印に出会うことはないようだ。
だが、更に奥に進むと水江の駅と同じ構造している場所に出てきた。
「まさか、一周しちゃったの？」
「いや、そうではないみたい、どうやら目的地に着いたみたいだ」
「え？」
ジュンは壁に書いてある案内板に『舟堀』と書いてあるのを指さした。
「ここがそうなの？」
「地上に出てみないと分からないが、舟堀の街の地下にこの場所があるのは間違いないよ」
駅だけあって、地上出たら別の場所に繋がってる可能性は否定できない。出来れば船堀の駅の地上に繋がっていて欲しいものだ。どうやって確かめればいいか。
「まあ、見つからないように慎重に地上に行くしかないか」
結局、確かめるにはそれしかない。幸い、構内には見張りらしき人はいない。ワッフルを線路内に残して、3人はホームから階段を上がる。
改札口を出たところに、ジュンにとっては見慣れたものがあった。
「あ、舟堀タワーの入口がある」
「舟堀タワーって、あの街にあった巨大な塔だよね？」
「うん、確か建物の入口が駅と直結してたはず。」
「じゃあやっぱりここって・・・」
「うん、恐らくは」
ジュンがこっそりと階段を上がって外を見る。こっそり確認して地下に戻った。
「ビンゴ！舟堀の街に着いたよ」