探検隊ルイーザと不思議な物語

旅立 マス

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第9章 クリスタルの洞窟

9–8

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ウェンディが気になったページにはドラゴンの絵が描かれていた。気になってこのページを翻訳してみた。
『この洞窟を調査して5日目、クリスタルのドラゴンを見つけた。こんなに美しい生き物は今まで見たことが無い。この洞窟の主だろうか。私はクリスタルのドラゴンに近づいた。すると、ドラゴンは我々調査隊に金品財宝をくれたのだ。しかも生活に困らないくらいの』
「クリスタルでできたドラゴンがいるんだ。会ってみたいね」
「ちょっと待って、その後の展開が・・・」
『ドラゴンからもらった金品は我々の生活が豊かになる一方で我々を堕落させた。調査隊としての誇りを失ってしまった。何もやる気が起きない。私は、後悔している。世界中を調査する夢があったはずなのに、目の前の誘惑に負けてしまったのだ。これを読んでいる者が居たら、我々のようにならない事を願って、この日記を残す』
「・・・」
3人は何とも言えない気持ちになった。確かにお金はあった方が良いに決まっている。しかし、誇りを失ってまで手に入れるお金に価値があるのか。この調査書はそんな筆者の想いが書かれていた。悲壮的な感じに書かれていたにも関わらず、ジュン達の考えは意外にも前向きだった。
「ますます会ってみたくなったな、そのドラゴンに」
「そうね、興味が湧いたわ」
「え?あんな事が書かれていたのに?」
「そうだね、たくさんの財宝がある調査隊の運命を狂わせたって話のことよね?」
「だったら・・・そのドラゴン、絶対にヤバい奴だよ」
「だからと言って、この洞窟には近づかないでって報告する?いずれ、この洞窟の存在は他の探検隊に知られるよ。それこそ余計に不幸な探検隊を生み出す可能性がある。探検隊じゃなくて、村の人達が見つけたら最悪だ」
「う・・・確かに私たちが近くなって言ったところで、はいそうですかとはならないわね・・・けど、どうするの?」
「要するに、問題なのは目の前の金品財宝を何とかすればいいのよ」
「???」
ウェンディにはイマイチ2人の考えが読めなかった。どういう意図があるのだろう?
「まあ、とにかく、この洞窟の最終目標が決まったわね」
この洞窟に居ると思われるドラゴンに会うこと。それが、今回の洞窟調査の最終目標となった。
「そうと決まれば、残る2つの道も早速調査ね」
3人は、再び、別れ道の所に戻った。
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