魔法の遺産

ことのは工房

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第12章

封印の試練

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アレンたちは遺跡の奥へと進んでいた。広大な迷宮を越え、今度は一際大きな扉が現れる。その扉は、何か神聖な力が宿っているように感じられ、周囲の空気すらも重く、圧倒されるようだった。

「ここが、最深部のようだな。」

エドガーが冷静に扉を見つめながら呟いた。アレンもその大きな扉に近づき、手を伸ばすと、扉の中央に刻まれた古代の紋章が微かに光り始めた。

「これが、封印の扉か?」

アレンが尋ねると、リリィは頷きながら答える。

「そうみたいね。封印された魔法の力を解放するためには、この扉を開けなければならないはずだけど…」

その言葉を聞いたアレンは、少し考え込んだ。

「でも、ただ開けるだけでいいのか?」

「おそらく、この扉には試練があるはずよ。」

リリィの言葉が終わると、突然、扉の中央から不気味な声が響いた。

「試練を受ける者よ、覚悟を決めよ。封印を解く者には、破滅の力が与えられる。その力を持つ者は、自らの意志でそれを使いこなさねばならぬ。」

「破滅の力…?」

アレンがその言葉に耳を傾けると、扉の周りの空気が一層冷たくなり、扉がゆっくりと開き始めた。しかし、その開いた先に待っていたのは、予想を超える恐ろしい存在だった。

「何だ、あれ…!」

カイルが叫ぶと、扉の向こうに巨大な影が現れた。影は次第に形を取り、そこに立っていたのは、恐ろしい外見をした魔獣のような存在だった。全身を黒い鱗で覆われ、鋭い爪と牙を持つその姿は、まさに「破滅」を体現するようなものだった。

「試練を受ける者よ。貴様らに与えられた試練は、我が力に耐え、打ち倒すことだ。」

その魔獣は、低い唸り声を上げ、迫力満点でアレンたちに向かって突進してきた。瞬時にその爪が大地を引き裂き、破壊的な力がアレンたちに襲いかかった。

「くっ…!」

アレンは素早く魔法を放ち、火の精霊を呼び出すが、魔獣の爪はそれを容易に切り裂いてしまった。エドガーも剣を構え、その攻撃を受け止めようとするが、魔獣の力は想像以上に強大で、どんなに防いでもその攻撃は圧倒的だった。

「このままでは…!」

リリィが焦りながら言うと、アレンはその言葉を聞いて決意を固めた。

「みんな、力を合わせよう!俺たちなら、きっとこの試練を乗り越えられる!」

アレンが叫ぶと、エドガーが鋭い目で魔獣を見据えた。

「その通りだ。俺たちが一丸となれば、この試練を超えることができる!」

カイルも大きくうなずき、リリィは精霊の力を高めていく。アレンたちが力を合わせ、魔獣に立ち向かう準備を整えると、再び戦いが始まった。

「行くぞ!」

アレンが魔法を強化して放ち、カイルがその隙に突進する。エドガーもその戦闘技術を駆使して魔獣に接近し、隙を突いて攻撃を仕掛けた。だが、魔獣はそのすべてを受け止め、爪で反撃してくる。

「このままだと…!」

アレンはさらに強力な魔法を放つことを決意し、すべての力を集めた。その魔法は、周囲の空気を揺るがすほどの力を持っており、リリィも精霊の力を最大限に引き出して魔法をサポートする。

「これで…!」

アレンが一気に魔法を解放すると、その巨大なエネルギーが魔獣に向かって放たれ、魔獣はそれを受けて一瞬動きを止めた。しかし、魔獣はすぐにその力を跳ね返し、アレンたちに更なる攻撃を仕掛けてきた。

「だが、まだ終わらん…!」

エドガーが叫び、今度は彼が魔獣の急所を狙って突進する。その攻撃が決まった瞬間、魔獣は絶叫しながら後退し、ついにその体力を尽き果てさせて倒れ込んだ。

「…倒したか。」

カイルが息をつきながら言った。

「だが、これで終わりじゃない。」

エドガーが冷徹な目で周囲を見渡す。すると、突然、魔獣の体が消え去り、その跡に一冊の古びた書物が現れた。

「これは…」

アレンがその書物を手に取ると、その表紙には封印された魔法の言葉が刻まれていた。魔獣は試練として、その書物を守っていたのだ。

「これで、魔法の力が手に入るのか…?」

アレンはその書物を見つめながら呟いた。だが、まだその力をどう使うべきか、アレンは決して安易な考えを持っていなかった。力には責任が伴う。そして、今後の戦いでその力をどう使うかが、これからの運命を大きく左右することを彼は理解していた。
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