魔法の遺産

ことのは工房

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第13章

目覚めた力

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遺跡の最深部で魔獣を倒し、封印された魔法の書を手に入れたアレンたちは、書物を前にしてその力をどのように使うべきか悩んでいた。魔獣が消え去った後、遺跡内には静けさが戻り、彼らはしばらくその場で立ち尽くしていた。

「これで…魔法の力が手に入ったのか?」

アレンが呟くと、リリィは慎重にその書物を手に取り、じっと見つめた。

「間違いないわ。この書には、古代の強力な魔法が記されている。でも、使いこなすには相当な覚悟が必要よ。」

「使いこなす…か。」

アレンはその言葉に深く考え込む。確かに、その力を使うことで得られる力は計り知れないが、それと同時に大きな責任も伴うことは分かっていた。

「もし、この力を誤って使えば…」

カイルが言いかけたその時、突如として遺跡の壁が震え、低い轟音が響き渡った。アレンたちは一斉に周囲を警戒し、武器を構えた。

「何だ?!」

エドガーが叫ぶと、その瞬間、遺跡内の壁が崩れ、無数の黒い影が現れた。それらは、まるでこの遺跡に封じ込められていたかのような、暗黒の魔物たちだった。

「また、魔物か…!」

リリィが叫び、アレンたちは一斉に戦闘態勢を取った。しかし、その魔物たちはただの魔獣とは異なり、目に見えないほど素早く、圧倒的な力を持っていた。

「気をつけろ!奴らの力は並大抵じゃない!」

エドガーが冷静に指示を出し、アレンたちはそれに従った。しかし、どれだけ攻撃しても、その魔物たちは一向に倒れる様子を見せない。逆に、彼らが反撃を受けるたびに、その攻撃はどんどん強力になっていった。

「これじゃ、いつまで経っても終わらない!」

カイルが叫ぶと、その時、アレンはふと書物を見つめた。書物が光を放ち、その中から何か強力な魔法の気配を感じ取った。

「もしかして、この力が…!」

アレンは覚悟を決め、その書物を開くと、古代の魔法がそのままアレンの体内に流れ込んできた。その瞬間、アレンの体は熱くなり、全身が震えるような感覚に包まれた。

「アレン、無理しないで!その力は危険よ!」

リリィが叫ぶが、アレンはその声を聞かず、力を解放する決意を固めていた。

「大丈夫だ…この力を使うことで、魔物を倒すことができる。」

アレンはそのまま手を前に突き出し、強力な魔法を発動させた。すると、周囲の空間が歪み、アレンの周りに炎のような魔法陣が現れ、魔物たちに向かって一気に放たれた。

「これが…!?」

その魔法は、アレンが今まで見たこともないほど強力で、魔物たちを一瞬にして焼き尽くしていった。だが、その威力は魔物だけでなく、周囲の遺跡の構造にも大きな影響を与え始め、壁が崩れ、天井から大量の石が落ちてきた。

「まずい!遺跡が崩れる!」

エドガーが叫び、アレンたちは急いでその場を離れた。しかし、アレンはその力の使い方が不完全であることを感じていた。力が暴走し、制御が効かなくなりそうな感覚に襲われる。

「どうしても、この力を制御しないと…!」

アレンは必死に心を落ち着け、魔法の流れを自分の体で感じながらその力を鎮めようとした。その瞬間、リリィが駆け寄り、アレンの手を掴んだ。

「アレン、しっかりして!この力を使うには、冷静さが必要よ!」

リリィの声にアレンは気づき、ようやく力の暴走を止めることができた。魔法は徐々に収束し、遺跡の崩壊も何とか止まった。

「危なかった…」

アレンは息を切らしながら、リリィに感謝の言葉をかけた。

「ありがとう、リリィ。あの力は、まだ完全には使いこなせていないみたいだ。」

「うん、でもこれで魔物は倒せたわね。」

リリィは微笑みながら、アレンを励ました。その後、アレンたちは遺跡から急いで脱出し、無事に外へと出ることができた。だが、アレンは心の中で、あの力がどれほど強力で危険であるかを再認識していた。

「この力を使いこなすには、もっと修行が必要だ。」

「その通りだな。でも、これからどうするかも大事だ。」

エドガーが言うと、カイルも続けた。

「魔王軍がこの力を狙ってくるのは間違いないだろう。」

アレンはその言葉を聞き、改めて決意を固めた。

「俺たちは、この力を守り、使いこなすために戦い続ける。そして、魔王軍との戦いを終わらせるんだ。」

彼の瞳は強い決意に満ちていた。この力がもたらす責任をしっかりと受け止め、アレンは次の戦いに備えることを誓った。
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