魔法の遺産

第25章

魔王軍幹部との決戦

魔王軍の幹部が姿を現し、アレンたちの前に立ち塞がる。強大な魔力を放つその姿に、仲間たちの顔に緊張の色が浮かんだ。

「お前たちがあのアスタを倒したというのか…。」

幹部は冷笑を浮かべながら言う。その眼差しは、まるでアレンたちを見下ろすようだった。

「その力、確かに侮れない。しかし、私の力の前では無力だ。」

アレンはその言葉に毅然とした表情で答える。

「魔王軍の脅威を終わらせるためには、今ここでお前を倒さなければならない。」

幹部はにやりと笑い、魔力を解放する。周囲の空気が一変し、重圧感がアレンたちを包み込んだ。彼は無数の魔物を召喚し、アレンたちを取り囲ませる。

「ならば、試してみるがいい。貴様らの力が、私に通じるかどうか。」

瞬間、幹部は手を振り上げ、その手から放たれた魔力の弾が一気にアレンたちに向かって飛んでいった。エドガーは素早く魔法を使い、盾を作り出してそれを防ぐが、その衝撃で地面が揺れ、周囲の景色が歪んだ。

「くっ…！」

「みんな、気をつけろ！」

アレンは仲間たちに警告し、瞬時に魔法を使って反撃の準備を始める。ヴァルドは冷静に剣を構え、戦闘態勢に入った。

「この程度で俺が倒せると思っているのか？」

ヴァルドは力強く足を踏み出し、幹部に向かって突進する。幹部はその動きに一瞬の隙を見せるが、すぐに魔力でヴァルドを迎撃する。

「力任せの攻撃が通用すると思ったか！」

幹部が手をひらめかせると、ヴァルドを取り巻く空間が歪み、時間と空間を操るような異次元的な魔法が展開される。ヴァルドはそれを見抜き、すぐに身をかわしながら反撃の剣を放つ。

「ヴァルド！」

アレンはその動きを見守りながら、魔法で援護を始める。リリィも弓矢を放ち、遠距離からの攻撃を仕掛けるが、幹部はそれらをものともせず、魔法で全てをかわしていく。

「それでは足りん…！」

幹部はさらに強力な魔法を放ち、アレンたちを一気に包囲する。その魔法の圧力に、アレンたちは一時的に後退を余儀なくされる。

「くっ…！」

アレンはその魔法に耐えながら、何とか反撃のチャンスを伺う。しかし、幹部の力は想像以上に強大で、どこか冷徹なまでに無駄がなかった。

その時、エドガーが突然声を上げる。

「アレン、今だ！　その隙をつけ！」

エドガーが魔法で幹部の動きを一瞬止めたその瞬間、アレンは全力で魔法を放つ。その一撃は、幹部に直撃するかと思われたが、幹部は不敵な笑みを浮かべながら、それを避ける。

「そんな攻撃が私に通用すると思うか？」

幹部は自信満々に言い放つが、その言葉の直後、ヴァルドが一瞬の隙を突いて幹部に斬りかかった。剣が幹部の防御を突破し、僅かながらも傷を負わせることに成功する。

「何…！」

幹部はその意外な攻撃に驚き、ついに顔に焦りの色を見せた。だが、その表情もすぐに冷静さを取り戻し、再び魔力を高める。

「どうやら、本気を出さなければならないようだな。」

その言葉と共に、幹部は全身から膨大な魔力を解放し、周囲を震わせるような力を放った。その魔力は一瞬でアレンたちを包み込み、全員がその圧倒的な力に圧倒される。

「これが魔王軍幹部の力か…。」

アレンたちはその圧力に耐えながらも、互いに支え合い、戦い続ける覚悟を決める。

「みんな、諦めるな！　これを乗り越えて、絶対に勝とう！」

アレンが叫ぶと、仲間たちがそれに応えるように再び戦い始めた。ヴァルドは剣を握りしめ、カイルも再び前線に立ち、リリィも冷静に矢を放ち続ける。

アレンはその中で、幹部の魔力の動きを観察し、次なる一手を考えながら立ち向かっていった。