魔法の遺産

第24章

迫る魔王軍

アレンたちはヴァルドを加え、強力な仲間を得たことで次の戦いに向けて一歩踏み出す決意を固めた。町を出る前に、彼らは再度作戦を練り、魔王軍の動向を探るための準備を整えていた。

「魔王軍の幹部はすでに何人か倒したけど、まだ本丸は残っている。次のターゲットは…。」

アレンが地図を広げ、魔王軍の拠点を指さす。そこには、強大な魔力を放つ地域が示されていた。それは、数日以内に魔王軍が本格的に動き出すであろう場所だ。

「この辺りだな。どうやら、魔王軍が集結している場所はここだ。俺たちは今すぐにでも向かうべきだ。」

「だが、気をつけろ。魔王軍はただの軍団じゃない。強力な魔法を使う者や、予測できない戦術を駆使する者もいる。油断してはいけない。」

ヴァルドが鋭い眼差しで警告を発する。彼は冷静に状況を分析し、その上で戦いに臨む覚悟を決めていた。

「それでも、今やらなければ、さらに強力な敵に囲まれることになる。時間がない。」

アレンはしっかりと仲間たちを見渡し、深く息をつく。その表情は、これから向かう戦いの厳しさを物語っていたが、それでも彼の眼差しには迷いはなかった。

「みんな、準備はできているか？」

リリィ、カイル、エドガー、そしてヴァルドの目が一斉にアレンに向けられる。全員がうなずき、決意を新たにした。

「もちろんだ。行こう。」

カイルが意気込んで言うと、エドガーも力強く頷き、ヴァルドも冷静に準備を整え始める。アレンはその姿を見て安心し、全員を引き連れて出発した。


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数日後、彼らは魔王軍の拠点に到着した。それは古代の遺跡のような場所で、廃墟と化した城がそびえ立っている。しかし、その周囲には不気味な魔力が漂い、どこか恐ろしさを感じさせた。

「ここが魔王軍の拠点…。」

リリィが低い声で呟き、周囲を警戒する。アレンはその言葉に答えるように頷き、前に進んだ。

「油断するな。何が起きてもおかしくない。」

ヴァルドが周囲を警戒しながら歩き出す。すると、突然、空気が震えるような感覚がアレンたちを包み込んだ。

「この気配…。」

アレンが立ち止まると、前方から何かが迫ってくる気配を感じ取った。その瞬間、突如として大きな音が響き、無数の魔物たちが姿を現した。

「来たか…！」

カイルが剣を抜き、エドガーも魔法の準備を始める。ヴァルドはその姿を見て、冷静に指示を出した。

「お前たち、前線を支えろ。俺は後ろから援護する。」

その瞬間、魔物たちが一斉に襲い掛かってきた。アレンたちはそれぞれが自分の役割を果たしながら戦いを繰り広げる。

リリィは弓を使って遠距離から魔物を次々に仕留め、カイルは前線で剣を振るいながら戦い抜く。エドガーは魔法を駆使して、大群を焼き払うような攻撃を仕掛けていた。

「うおおお！」

カイルの怒声と共に、魔物たちは次々に倒れていく。アレンもその隙に、魔法を使いこなして前進する。だが、魔物たちは無限に湧いてくるかのように、次から次へと襲い掛かってきた。

「これじゃ終わらない！」

アレンは魔法を強化し、さらに多くの魔物をまとめて撃退するが、疲れも溜まり始めていた。

その時、ヴァルドが冷静に声を上げる。

「後ろの方に、何か大きな気配がある。お前たち、気をつけろ。」

アレンたちは一瞬息を呑んだ。ヴァルドの言う通り、魔物たちの群れの中から、異常なまでに強力な魔力を放つ存在が現れた。それは、魔王軍の幹部の一人、そしてアレンたちが予想していた通りの強敵だった。

「お前たちか。ここで終わりだ。」

その声は冷たく、圧倒的な威圧感を放っていた。