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第4章
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しおりを挟む「大丈夫?」
部屋に戻るなり匠が心配そうに駆け寄ってきた。匠の顔を見ると安堵のため息が漏れ、ふにゃりと笑った。心の中は荒れ模様だったが、匠の存在だけが沙也加にとって確かなものだった。
「大丈夫。ねえ、ぎゅーってしていい?」
「え? うぅわっぷ///」
自分よりも少し背の低い匠は、ピースがぴたりとはまるように腕にフィットした。中でもがく匠がとっても可愛いので、益々力を込めると諦めたように背中に匠の腕が回された。
「___何か・・・、嫌な事言われた?」
「んーん。ただ、目・・・が覚めたって感じかな」
「・・・そっか」
それからは無駄に広い岩風呂を堪能して、匠と二人で白熱したテレビゲーム対決をした。時刻は深夜を回る頃だった。
コンコン、かちゃり。
「まだ起きてる?」
少し開いた扉の隙間から顔を覗かせたのは、髪を濡らしたままお風呂上がりのフェロモン垂れ流しの司だった。この距離でもバニラの甘い香りがすると思った瞬間、お腹が低い音を鳴らした。身体はいつだって正直である。
「あははは。丁度いいです。シュークリームがあるんですけれど、一緒にどうですか?」
「あ、頂きたいです! ・・・だけど」
沙也加が俯いた視線の先には、___膝の上にははしゃいで疲れ切った匠が寝息をたてていた。
起こしたら可哀想だよね。今日は色々とお世話になったし・・・。
「ああ、匠は寝たらなかなか起きないですよ。大丈夫です、ここまで持ってくるので一緒に食べましょう」
にっこりと笑う司を断る理由など無い。同意の頷きに満足そうに息を吐いた司はそのままパタパタと走っていった。
戻ってきた司の手にはティーセットとシュークリームの乗ったお盆があった。ソファは匠と沙也加で占領してしまっている為、司は沙也加の足元のふわふわラグの上に腰を下ろした。甘いバニラの匂いが一層濃くなると、思わず前のめりで匂いの元を辿っていた。押し殺したような笑いが聞こえる。
「くくっ、どうしたんですか?」
「あっ、えっと・・・ごめんなさい。あんまりにも甘くて良い香りがするもので」
「ああ。俺、こんな野生児みたいな感じですけど甘いモノ大好きなんです。スイーツ男子っていうんですかね? それが度を越えちゃって、シャンプーとかボディソープもバニラの香り使ってるんです」
頭を掻きながら照れくさそうに言う司に、今朝の様な恐怖は感じなかった。
やっぱり匠くんが言っていた通り、いい人なんだ。
「それは度を越えすぎですね。ふふ、なんだか落ち着くいい香りですね。私は好きです」
二人を纏う空気はふわふわと優しく変化していた。
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