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第2章 お前の毒牙になら喜んで。
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しおりを挟む意識を飛ばしているのか、正面から見据えても目線がふらついていてこちらを見ない。やはりやり過ぎたかと反省しながら沙也加の頬を優しく叩くとこちらを見上げた。真っ暗闇を歩いていた迷子の子がお母さんを見つけたような、そんな顔だった。ふっと安心したように綺麗に口角を上げた沙也加に、大きく胸が高鳴った。・・・と共に、貴臣のそれも大きく成長していた。
「あ・・・」
それに気付いて頬を染める沙也加に、己の欲をさらけ出してしまった事を恥ずかしく思った。
「何も言うな。全部お前が悪いんだ」
お前が私を煽るから。
下唇を噛みながら眉を寄せる。余り醜態をさらした経験のない貴臣は、どうしたらいいか考えあぐね居ていた。
「社長、私はもう大丈夫です」
柔らかな唇が、更に煽るように魔法の言葉を吐く。
「___優しく出来ないぞ?」
「それは困ります」
口角を左右対称に持ち上げて歯を見せた沙也加に、釣られて口角を上げた。これから行う行為の準備運動のように、気持ちを確かめ合うように口付けを交わした。
一体何を考えているのか。
お前の身体を考えて優しくしようとしているのに・・・。優しく挿入していたのに、”私はそんなに柔じゃないですよ”だなんて早くしろと言っているのと同じだ。こいつは上手に私を煽ってくる。
「__馬鹿が。覚悟しろよ」
一息に突き入れてから、ベッドを軋ませて啼かせてやった。これまで抱いてきた女たちは全部予行練習だったのだろう。想う相手との行為が本番であり、今がその”本番”である。込み上げてくる抑えようのない想いと、迫りくる快感に飲み込まれてしまいそうだった。それでも優しくしたいという一心で、壊してしまわないようにいいところを突き上げていた。
聞こえる喘ぎは貴臣を代弁するかのように、徐々に激しさを増している。その瞬間も見落とさないように、腕の中の想い人をしっかりと見据えていた。懇願するような潤んだ瞳で見上げられ、無我夢中で口付けながら腰を揺らした。
こんなにも満ち足りた気持ちは初めてだった。呼吸が整うのも待てずに、どうしても伝えたかった。
「沙也加。セックスとはこんなにも素晴らしいものなんだな」
これは相手がお前だから知れた事。熱い身体よりもっと、熱く早く脈打つ心臓がお前に出会えた事を喜んでいる。
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