迅雷少女の配達屋さん~愛され少女の異世界ライフ~

ひょーう.CNP

文字の大きさ
36 / 44
2章 配達のお仕事と垣間見える闇

34話 リサの過去、ソルの殺意

しおりを挟む
 狼人族の女性が最後に口にした名前、ソル。
 その名に、私は聞き覚えがありました。
 トリスター王国の、最近Aランクに上がったという王国期待のPT、炎風……そのPTの1人が迅風のソル。
 一方的に知っているだけですが、種族は狼人族だったのを覚えています。

「まさか、あの子のっ、母親……?」

 この事を知ったら……あの子は私を恨むでしょうか?それとも殺しに来るのでしょうか?それとも……

「がっはっはっは!良い余興だったぞ!」

 ガルドロが立ち上がり、私の元へ歩いてくる。

「やはりお前が勝ち残るか、さすがSランクだなぁ?おい!」
「……」

 やはり、シラヌイから情報が引き出されていました。
 シラヌイが何処でコイツらに捕まってしまったか分かりませんので……ここに応援が来る事は知っているのか、知らないのか、そこが分かりませんでした。

「さて、バトルで火照ったお前の身体を頂くとするか!」
「い、生き残った者はっ、解放するとっ、言っていましたよね!?」
「俺達が楽しんだ後でな!」

 そう言うと、その場に居たガルドロを含む男達5名が……私を快楽の道具にするべく近付いて来ました。
 その手には様々な道具に、帰って来れなくなるであろう感覚に陥れる物まである。

「や、止めて……」


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
















 あれから……何時間経ったか分かりません。
 私の身体は、あらゆる道具で……完全に壊されてしまいました。
 服も無くなり、女性として再起不能な程に……男達の玩具にされました。
 男達が満足したのか、必要な物を持ってこの建物から撤退すると言って、部屋から出ていきました。

 私の任務は失敗、挙句に私は再起不能に近い状態になって……15人の遺体と共に地面に投げ出されている状態です。
 私の上半身は真っ赤に染まり、下半身は真っ白に染まりました。

 唯一の幸いは、まだ生きていた事。
 奴らも、私はもうすぐ死ぬと踏んでそのまま出ていったので、助かりました。

 しかし……もう私は、人の目のある所には戻れない。
 罪のない人を殺し、女性としての機能を壊され、恐らく治る事のない深い傷を負わされたのです。
 王国に雇われ、人殺しの仕事をしていた私は、違法奴隷を扱う人殺しの極悪集団に全てを壊されました。

 これが自業自得とでも言うのでしょうか……?
 私は……何を間違えてしまったのでしょうか……?

 近くには、シラヌイの生首がありました。
 私は、ボロボロの手を伸ばし……シラヌイの生首を胸に抱いた。
 シラヌイの分まで生きると誓いました、そして非道極まりないこの惨状を……情報を、持ち帰らねばならない。
 こんな被害が、増えないように……


「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
「何だ貴様らは!?うわぁぁぁっ!」

 外から、あの男達の醜い声が聞こえてきた。
 暫く戦闘音が鳴り響き……その音が鳴り止まない内に、私が居る部屋のドアが開かれて、1人の女性が入ってきた。

「なっ……!?何だこの惨状は!?」

 黒髪に、ミスリルの鎧を着た女性でした。
 見た事があります、炎風PTの……迅炎のレイナでした。

 彼女は真っ先に気付いた、私の目が開いて……若干動いている事に。

「い、生きてる!大丈夫か!?……うっ!」

 私の惨状を見て、更に顔が歪む。
 当たり前です……身体は完全にボロボロになっており、白と赤の液でぐちゃぐちゃになっているのだから……

「ひ、酷過ぎる……」

 彼女は急いでポーションを取り出し……私の身体にかけた。
 痛みと快感で感覚がぐちゃぐちゃになっていて、訳が分からなくなってしまっていた私の身体は……ポーションにより正しい身体の反応が出来る程に、中途半端な回復をしてしまったのです……

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 私は、ポーションの液体により、快感と痛みで身体が跳ね……絶叫する程叫びました、地面も更に濡れてしまいました。

「なっ!?き、効いていないのか!?」

 彼女は慌て出す、もう1つポーションを取り出そうとする彼女の手を、私は握った。

「!?」
「ぐっ……レイ、ナ……さん」
「わ、私が分かるか!?」
「は、い……なん、とか……」
「すぐに、治してやるからな!ちょっとまっ……」
「お待ち……くだ、さい」

 私は、彼女が動き出しそうになったのを止めた。

「ポー、ション……では、なお……りませ、ん……。ここ、に……ツキミは、いま……すか」
「ツキミ……暗部隊の副隊長か!勿論来ているぞ!今奴らと戦っているはずだ!」
「彼女に……村、秘蔵の……秘術、を……習得、させて……います。あれ、なら……私を、かいふ……く、させられ……ます」
「よ、呼んでくればいいのだな!?」
「は、い……あと、貴方が……いると、いうことは……ソル、さんも……」
「あぁ、来ているぞ!」

 私は、彼女の親であろう遺体を指し示した。

「あの、遺体……ソル、さんの……ご両、親だ……そう、です」
「っ!?」

 レイナは私が指し示す遺体を見た。

「……確かに、ソルの両親だ……何度か会った事があるからな、間違いないだろう……」
「やはり……です、か。最後……に、ソル、ちゃんと……言って、いたので……もしやと、思いま……したが。会わせ、るか……は、任せ……ます」
「……分かった、取り敢えずすぐにツキミを連れてくる、死なないでくれよ!」
「は、い……」

 レイナは、何かのスキルを発動し……足から炎が噴き出し、急加速して来た道を戻って行った。

「迅、炎の……レイナ、ですか……うわさど、おり……です、ね」

 そして、僅か数分で戦闘音が鳴り止み……暗部隊メンバーの一部と、炎風の2人と、王宮騎士団の男女2人が部屋に駆け込んできた。

「リサ隊長!!」

 ツキミと、暗部隊の子達が私を見付け駆け寄る……
 そして、私の無惨な姿と、シラヌイの生首を抱いていた状況を見て……ツキミは、足から崩れ落ちた。
 他の子達も、絶望の顔を浮かべる。

「あぁ、そんな……隊長……シラヌイ……」

 ツキミや暗部隊の子達が崩れ落ちる中……別の所でも絶望の声が聞こえてきた。

「パパ……ママ……どうして、どうしてこんな、事に……?」

 ソルは、遺体となってしまった2人の身体を抱き締め、冷たくなった身体をその身に感じて……一気に感情が爆発した。

「いやっ……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!パパぁぁぁぁぁぁぁぁっ!ママぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「……っ」

 ソルは……酷く泣き崩れ、レイナはその背中を見つつ……怒りに震えていた。

 私はそれを見つつも、近くで絶望しているツキミに語りかけた。

「ツキ、ミ……よく、つれ……て来て、くれまし……た」
「リサ、隊長……」
「あの、ひじゅ……つを、わた……しに」
「分かり……ました」

 その秘術は……死んでさえいなければ、死にかけの人でも回復させる事が出来る。
 しかし……その代償が大きいので気安く使えないのです、それは……回復させた対象の感情を奪う事で回復させるというものです。
 私は自分の感情を犠牲に、ツキミの村秘蔵の秘術により……死ぬ事は無くなるであろう程に回復した。
 しかし……これ以上感情を削れば、無感情の人形と化してしまう事を危惧し、身体の傷を消すことを諦め……取り敢えず死なないように回復した所で止めたのです。
 感情を残しておかないと、感情が回復しなくなってしまうからです。

「リサ隊長……」
「あぁ……ようやく、痛みが消えました」

 しかし、傷が大量に残り……クスリも抜ける事がなく、身体は熱いままでした。
 立ち上がると、ポタッ、ポタッと赤と白と透明な液が垂れ落ちる姿の私をみて、ツキミは布を1枚取り出した。

「……失礼します」

 その垂れ落ちる液を布で拭き取ってくれるツキミ、傷も多少回復させる事が出来たので、新たな血は出てきていないようだった。
 ツキミも本当は触れたくないはずですが、私の身体を嫌がる顔を見せずに拭いてくれました。
 布が肌を撫でる度にビクンと身体は反応するも……私の顔は変わらない。
 どうやら私は、羞恥心のような恥ずかしいという感覚が抜け落ちているようでした、更には目付きも悪くなったとも後に言われるようにもなりました、これが感情を犠牲にすると言う事です。

 液体という液体を全て拭き取ったものの、使えなくなってしまった布を巻く訳にもいかず、裸のまま泣き崩れるソルの元へ向かいました。

「すみません、ソルさん。私が居ながら救えませんでした」

 ソルは泣きながらも、私を見た。
 死んでいないとしても、自分の親以上にボロボロになってしまった身体、それを見たソルは……

「仕方……ないわよ、アンタだって……死にかけたんでしょう?」
「はい、ツキミの秘術が無ければ、いずれは死んでいたでしょう」
「それなら……アンタを責める理由なんて、無いわ」
「いえ、ソルさんには私を責める理由、更には殺す理由だってあります」
「……なんでよ」
「その2人を手に掛けたのは、私です」
「……っ!」

 ソルの身体からブワッと風が発生し、私の首元にナイフが突き付けられました。

「ソ、ソル!止めないか!」

 レイナがソルを止めようとするが、ナイフは突き付けたまま動かない。
 そして、ソルは私に問いかけました。

「何故、殺したの……なんで殺した!!!!!」

 悲しみからの怒りが爆発、完全に殺す目で私を見る。

「そのままナイフを突き付けたままでいいです、ここで起こった事を全てお話します。そして全て語り終えてなお、私が憎く殺したいとなら、そのままナイフで首を撥ねてください」
「リ、リサ隊長!?ダメです!貴方はただの被害し……」
「黙りなさい!!」

 ツキミが発言中、ソルが別ナイフをツキミの顔スレスレに放ち、黙らせた。

「っ……!」
「アンタは、黙ってなさい」

 ソルは、下手すれば人を殺しかねない殺気を放っていた。

「全て正直に話しなさい、さもなければ……殺す!」
「はい、お聞きください」

 どうやら私は、恐怖の感情すら秘術により消え失せていたようです。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました

星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎ 王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝―― 路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。 熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。 「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」 甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。 よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、 気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて―― しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!? 「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」 年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。 ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

処理中です...