桐の本棚

時雨桐

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図書館の変な人【2人用】

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本田「えーっと、この本は…」

軽井「どうだ?返却作業は終わったか?本田。」

本田「あ、軽井さん!何処に行ってたんですか⁉︎」

軽井「悪い悪い!ちょっと小腹が空いたから、そこのパン屋に行って来たんだけど、なんか変な店員でさ~。」

本田「そうですか。仕事押し付けていなくなる軽井さん以上に変な人がいたんですね。」

軽井「悪かったって!ちゃんとお前の分も買って来たから!」

本田「許しましょう。」

軽井「早!えっと…あんパンでいいか?」

本田「やはり許しません。」

軽井「なんで⁉︎」

本田「クリームパン派と以前お伝えしたはずですが?」

軽井「え?そうだっけ?て言うか派閥があるのか?」

本田「はい。あんパン派とクリームパン派は相容れません。」

軽井「そんなにか?」

本田「はい。時々ある、ジャムパン派の奇襲にも用心が必要です。」

軽井「なに⁉︎奇襲って⁉︎」

本田「突然高級ジャムを使った、ちょっと良いジャムパンを販売したりしますので。」

軽井「やつらは秘密兵器を使って来るので、みたいな言い方!」

本田「クリームパンも、時々カスタードとホイップのダブルクリームで対抗しますが、販売期間が短いのがネックです。」

軽井「武器の解説みたいになってんじゃん!威力はあるけど弾数少ない…みたいな!て言うか、そんなに言うならあんパン要らなかったじゃん!」

本田「いえ?食べますが?」

軽井「食べるのかよ!」

本田「あんパンに罪はありませんので。」

軽井「あっそ…本当変な奴。」

本田「ところで軽井さんは何にしたんですか?」

軽井「…クリームパン。」

本田「寄越せ。」

軽井「語気が強い!別に良いけど!」

本田「やった。」

軽井「子供か!」

本田「童心忘るべからず、です。」

軽井「それを言うなら初心忘るべからず、だろ!」

本田「軽井さん、意外と知識ありますよね。」

軽井「意外と、ってなんだよ!」

本田「では、残りの返却が終わったら少し休憩にしましょうか。」

軽井「おう。で?あと何冊残ってるんだ?」

本田「この一冊で終わりです。」

軽井「もう終わりか!仕事が早いな!」

本田「当然です。でも、こんな本あったでしょうか?」

軽井「ん?…外国の小説か?」

本田「分かりません。でも、見覚え無くて…番号のラベルも無いですし…」

軽井「貸せよ。そう言う時は…こうやって、テキトーに雑誌コーナーにでも突っ込んどきゃ良いんだよ!」

本田「うわ!最低!」

軽井「な、何がだよ⁉︎」

本田「勤務態度。」

軽井「ぐうの音も出ないけども!」

本田「…まぁ、良いです。ところで、先週借りていった本をまだ返却していない様ですけど?」

軽井「え…あ、あぁ。明日返すよ…」

本田「何かありましたね?」

軽井「い、いや?何も?」

本田「軽井さんの鞄から、貸し出している本の気配がするのですが?」

軽井「なに⁉︎本の気配って⁉︎」

本田「いいから出して下さい。」

軽井「…はい…コレです。」

本田「…コーヒー溢したんですね。」

軽井「盛大にぶちまけました…」

本田「では此方も本音をぶちまけて良いですか?」

軽井「やめて!怖い!」

本田「…以前、軽井さんが本について何て言ったか覚えていますか?」

軽井「えっと…本は先人達の残してくれた宝、って言いました。」

本田「その宝の姿がコレですか。」

軽井「本当にごめんなさい!すぐ弁償します!」

本田「当然です。幸い市販ですぐ手に入る本なので、早いうちにお願いしますね。」

軽井「はい…こんな事オーナーに知られたらクビになるな…」

本田「クビになんてしませんよ。」

軽井「なんで分かるんだよ?」

本田「面接したじゃ無いですか。」

軽井「え?」

本田「え?」

軽井「面接したのはオーナーで…え。もしかして…」

本田「どうも。この図書館のオーナーです。やっぱり気づいて無かったんですね。」

軽井「気づいてたら今までこんな態度とってねえ…ですよ!」

本田「軽井さん、働いて一年位ですし、もう知ってるかと。」

軽井「いやいやいや!面接って言っても電話一本で決まったし…ですし!本田…さん、年下…ですし!」

本田「今まで通りにしてくれます?」

軽井「いやでも…」

本田「じゃないとクビにします。」

軽井「はい!じゃなかった…おう!」

本田「では、休憩にしましょう。お茶淹れてきますね。」

軽井「あ、大丈夫!淹れてくるから座ってて!」

本田「では、ぬるめで。」

軽井「はい!喜んで!」

本田「…フフ。変な人。」
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