5 / 25
五 重ねる夜
しおりを挟む
猫の家は猫たちの家だったけど、獅子の家はハイダラ様の家である。陛下はたまにしかこなかったけど、ハイダラ様は毎日帰ってきて、毎日来る。私は毎日待ち構えていなければならなかった。
……でも別に、綺麗な敷物を敷いたり椅子を運んだり、お茶やお酒の支度がいるわけじゃない。座るのに居心地が悪いからとクッションは増やされたが、それを敷物の上に並べればもう済む――そう、並べる。
臙脂色の真四角が二つ。なんとクッションは私の分も同じのがある。ハイダラ様はご主人様なのに、奴隷の私をまったく同じものに座らせたのだ。
だからあんな風に言ったのもただのご挨拶ではなかったのかもと思えて、ずっと考えている。まだ、心底には信じられないけど……寛いでもいい、と言うのの証拠のような一枚はあるのとないのでは大違いで、私は日中もいつもその上に座るようにはなった。
ともかく時間を見計らって、そのクッションをなんとなく整えて配置し、あとはやってくるのをリーフと一緒に迎え入れるだけだ。だから先触れはなくとも間に合う。最初の数日は様子見に朝も来ていたが、リーフが平気に暮らしているのが分かると暇があるご帰宅後の訪いになった。食事も入浴もすべて済ませてから、ご自身の部屋に行かれる前にこの部屋に寄る。それで慣らすように、少しずつリーフに触れた。
「タラール、入っていいか」
「どうぞ」
気配に気づいて先に扉に寄っていくリーフに私も立ち上がり、押さえるか抱えるかして、入ってくるのを待つ。最初は私が近くに立っていたことを気にした様子だったハイダラ様もこの流れが分かってきたらしく、気をつけて間を置いて扉を開けるようになった。リーフが抜け出したらことだ。
「おかえりなさいませ」
「ああ。ただいま」
この家の使用人の人々は主人のご帰宅を玄関で出迎えることはしなかったから、私もこうしていらっしゃるまでは部屋に控えている。だから挨拶はこうなった。
ハイダラ様は入ると決まって左側に向かい座る。さっきまでリーフが揉んでいたクッションに腰を下ろして、胡坐を掻く。そこに、リーフが早速甘えに行く。一切の遠慮なく膝に乗る。ハイダラ様はその頬に手を当てた。小さな顔が擦りつけられるのを、大きな掌が受け止める。
撫でる手は以前よりもしっかりとリーフの体を捉えるようになった。私は横に座って、見守った。
「今日はどうだった」
「今日も寛いでおりました。爪とぎに精を出して」
「そうか……」
数日でしっかり爪痕の残ってしまった扉も眺めながら、大して変わり映えのない報告をする。他の猫も居たらもうちょっと喋れるんだけど、猫一匹だとどうしても、難しい。
最初の数日はもっと改まった雰囲気だった。
触れるのに慣れるから撫で方を指南してくれ、とハイダラ様が真面目な顔で言うのだ。王子様に剣術を教えるような方が、私なんかに、猫の撫で方を。
おかしかった。けど、主人が真剣なのに軽く扱うことなどできず、私も神妙に頷いた。
「ハイダラ様はもう少し手に力を入れても平気です。毛しか撫でておりませんので……」
「毛皮を揉むような感覚で」
「ええと、耳や鼻など薄薔薇色のところはあまりいじらず……」
「お腹も苦手です。……けど、触らせてくれるようなら平気です。リーフは、ハイダラ様には許しております。どうぞ優しく」
「毛羽立てると嫌がられます。見目もおかしくなりますし。毛並みに沿って」
……なんて、私も猫の家に入ったばかりの頃とやかく言われたのを思い出しながら口を出し、手本の撫で方を披露してリーフがとろけるまで撫で尽くした。
でもハイダラ様はリーフに好かれているので、大体、どうやっても平気だった。多分掌自体が好きなんだと思う。触っているのが嬉しそうだもの。
ゆっくり、繰り返し、リーフの形を辿っていた動きが止まると、リーフは物言いたげにハイダラ様を見上げた。それで困って手が引いてしまいそうになるのに、私は横から囁くのだった。
「お上手です。もっと撫でてほしいと言っています」
「……そうなのか」
「猫は、嫌なら逃げますので。それまでは構ってやるとよろしいですよ」
「もうかなり撫でたから飽きたかと思ったが……」
「いえ、まだまだ。キリがないこともございます」
「……あそこは猫のほうが多いから、腕が足りなそうだな」
「――ええ。此処では一匹ですので……楽なものです」
私は笑ってみたけど、本当を言えば寂しかった。猫一匹に腕二本で丁度だと思うのに。急なお別れだったし、他の猫は皆元気かなと毎日考えてしまう。多分暢気に、私のことなんかちっとも気にせずやってるだろうけど。
ハイダラ様は黙ってしまった。また手を止めかけて、思い出したように撫で始める。
「ハイダラ様はリーフに触っていて心地よくないですか」
気を取り直して訊ねると、目が上がる。ハイダラ様はいつも私を見据えて話す。立っていても座っていても、近くで、静かな黒目が私を映すのだった。……いや、話していなくても。リーフを撫でているときもよく、これでいいのかと訊ねるように視線が寄越されるので、頷いたり、私もリーフの喉を撫でたりする。
「よい手触りだと思うのですが」
毎日磨いたご自慢の毛皮だから、撫でさせているのは猫でも、手が疲れてくるまでは撫でる側も気持ちいいものだと思ったのだけど。
ゆっくりと瞬き、手元も見ての答えは意外なものだった。
「いや、立派なものだと思う。……だからむしろ触りづらいんだと思う」
――背後、もう少し壁に寄ったところに置いた餌皿と水入れを、私はそのとき思い出した。ものって、立派になると触れづらい。確かにそうかもだった。
「美しいものや、愛らしいものは、繊細だろう」
ハイダラ様はそうも付け加えて、私が言ったとおりに毛並みを揃えるようにリーフを撫で続けていた。彼女は至極満足そうだった。
「そうですか……大事にして頂いているのですね、リーフは」
私は安心した。ハイダラ様は猫が、結局は苦手なのかもしれないけど、嫌いというわけではなさそうで。ちゃんと可愛いと思ってるんだと知れて。
情けないってアイシャさんは言ってたけど――優しいんだ、と気づいた。
視線が、扉の側へと逸れる。
今日も変わらない調子でリーフを撫でていたハイダラ様の横顔に、そろそろ、という雰囲気があった。お客様のこういう気配を感じとるのは慣れたものだ。――猫の家では、帰るか帰らないかは陛下次第だったけど。
「もうお休みになりますか」
「……ああ、そうする……」
今は私が訊ねればいい。……別に、ハイダラ様から言い出せばいいのに。ハイダラ様が主なんだから。優しいから寝そべっているリーフを気遣って言えないのだろうか。でもともかく一言で済む。
「ほらおどき、あなたは此処へ」
リーフを引き受けてクッションに置く。不満そうに寝返ったけど適当にあしらう。
立ち上がったハイダラ様に、ブラシを手にして傅く。リーフの体を梳く物ではなく毛の植わった衣服用だ。
「失礼いたします」
部屋から出ていくときには服にブラシがけする。猫に懐かれると毛だらけになるので、その始末だ。猫の家でのお客様の見送りと同じ。胸を払い背を払い、腕を取り、上から下まで隈なく、お召し物を傷めないように丁寧に。
――このときまた特に、ハイダラ様が静かなのを意識する。前は周りにあった猫や人の気配が無い分、立っているハイダラ様だけに集中することになる。静かな部屋にさっさっとブラシの音が響く。大きな体はけど、たっぷり布の余った衣装で着飾っている人たちよりブラシがかけやすい。ハイダラ様は王宮で会っていたときよりもっと地味な格好で、宝飾品も耳の小さな環以外は身に着けていないから、気楽だ。
跪いて足元まで終える。その間にリーフが絡みに来てしまうのをちょいちょいと追い払って、もう一度、仕上げのように裾を撫でた。
顔を上げると目が合うので、頷くように頭を下げる。立ち上がって、お辞儀をする。
「よろしいかと。おやすみなさいませ」
「ああ、おやすみ。……お前も、おやすみ」
言うと、ハイダラ様はリーフにもちゃんと挨拶してから部屋を出ていく。
……そうして気配も廊下の奥まで遠ざかると、今日も一日終わったなあという感じがする。
今日で、五日目。猫の家でお会いしていた回数を上回った。仕事が済んだなら休んでよろしい、と了承を貰っていた前の生活とはまた違う区切りを体が覚えつつあった。前よりずっと仕事の少ない日中はのんびりとしていて、夜もこう……ハイダラ様は来るけど時間は短いし、まったりとしているから、特に疲れてはいない。
「んーっ……」
伸びをして、欠伸まで零す。クッションに座りなおしたリーフも一緒にくわっと口を開いた。撫でてもらっていただけのくせに一仕事終えたようだ。
「今日もいっぱい撫でてくれたね」
話しかけると、にん、と返事がある。
私たちからしたらお后様よりお上品で単調に見える撫でっぷりではあるけど、今までに比べたらすごく長く、いっぱいだろう。下げ渡されるって聞いたときは心配したけど、毎日こんなに構ってもらえるならよかった。
ついでに自分の服にも適当にブラシをかけておいた。ブラシの掃除もついでに。それでも、そんなに遅い時間にならない。でも全部終わったからもう寝てしまうことにする。リーフはむしろうろうろし始めたけど放っておいて寝支度をする。
灯りを消して横たわる。
仕事の流れも身についてこの家の召使いとしてはちょっとずつ馴染んできたと思うけど、まだ、誰かの寝台で寝ているみたいな感じがする。でもそのうち、毎回そうだったように、此処が自分の居場所だと思えるようになるだろう。
……自分の家だと思うのは――どういうことだか、私には分からない。
……でも別に、綺麗な敷物を敷いたり椅子を運んだり、お茶やお酒の支度がいるわけじゃない。座るのに居心地が悪いからとクッションは増やされたが、それを敷物の上に並べればもう済む――そう、並べる。
臙脂色の真四角が二つ。なんとクッションは私の分も同じのがある。ハイダラ様はご主人様なのに、奴隷の私をまったく同じものに座らせたのだ。
だからあんな風に言ったのもただのご挨拶ではなかったのかもと思えて、ずっと考えている。まだ、心底には信じられないけど……寛いでもいい、と言うのの証拠のような一枚はあるのとないのでは大違いで、私は日中もいつもその上に座るようにはなった。
ともかく時間を見計らって、そのクッションをなんとなく整えて配置し、あとはやってくるのをリーフと一緒に迎え入れるだけだ。だから先触れはなくとも間に合う。最初の数日は様子見に朝も来ていたが、リーフが平気に暮らしているのが分かると暇があるご帰宅後の訪いになった。食事も入浴もすべて済ませてから、ご自身の部屋に行かれる前にこの部屋に寄る。それで慣らすように、少しずつリーフに触れた。
「タラール、入っていいか」
「どうぞ」
気配に気づいて先に扉に寄っていくリーフに私も立ち上がり、押さえるか抱えるかして、入ってくるのを待つ。最初は私が近くに立っていたことを気にした様子だったハイダラ様もこの流れが分かってきたらしく、気をつけて間を置いて扉を開けるようになった。リーフが抜け出したらことだ。
「おかえりなさいませ」
「ああ。ただいま」
この家の使用人の人々は主人のご帰宅を玄関で出迎えることはしなかったから、私もこうしていらっしゃるまでは部屋に控えている。だから挨拶はこうなった。
ハイダラ様は入ると決まって左側に向かい座る。さっきまでリーフが揉んでいたクッションに腰を下ろして、胡坐を掻く。そこに、リーフが早速甘えに行く。一切の遠慮なく膝に乗る。ハイダラ様はその頬に手を当てた。小さな顔が擦りつけられるのを、大きな掌が受け止める。
撫でる手は以前よりもしっかりとリーフの体を捉えるようになった。私は横に座って、見守った。
「今日はどうだった」
「今日も寛いでおりました。爪とぎに精を出して」
「そうか……」
数日でしっかり爪痕の残ってしまった扉も眺めながら、大して変わり映えのない報告をする。他の猫も居たらもうちょっと喋れるんだけど、猫一匹だとどうしても、難しい。
最初の数日はもっと改まった雰囲気だった。
触れるのに慣れるから撫で方を指南してくれ、とハイダラ様が真面目な顔で言うのだ。王子様に剣術を教えるような方が、私なんかに、猫の撫で方を。
おかしかった。けど、主人が真剣なのに軽く扱うことなどできず、私も神妙に頷いた。
「ハイダラ様はもう少し手に力を入れても平気です。毛しか撫でておりませんので……」
「毛皮を揉むような感覚で」
「ええと、耳や鼻など薄薔薇色のところはあまりいじらず……」
「お腹も苦手です。……けど、触らせてくれるようなら平気です。リーフは、ハイダラ様には許しております。どうぞ優しく」
「毛羽立てると嫌がられます。見目もおかしくなりますし。毛並みに沿って」
……なんて、私も猫の家に入ったばかりの頃とやかく言われたのを思い出しながら口を出し、手本の撫で方を披露してリーフがとろけるまで撫で尽くした。
でもハイダラ様はリーフに好かれているので、大体、どうやっても平気だった。多分掌自体が好きなんだと思う。触っているのが嬉しそうだもの。
ゆっくり、繰り返し、リーフの形を辿っていた動きが止まると、リーフは物言いたげにハイダラ様を見上げた。それで困って手が引いてしまいそうになるのに、私は横から囁くのだった。
「お上手です。もっと撫でてほしいと言っています」
「……そうなのか」
「猫は、嫌なら逃げますので。それまでは構ってやるとよろしいですよ」
「もうかなり撫でたから飽きたかと思ったが……」
「いえ、まだまだ。キリがないこともございます」
「……あそこは猫のほうが多いから、腕が足りなそうだな」
「――ええ。此処では一匹ですので……楽なものです」
私は笑ってみたけど、本当を言えば寂しかった。猫一匹に腕二本で丁度だと思うのに。急なお別れだったし、他の猫は皆元気かなと毎日考えてしまう。多分暢気に、私のことなんかちっとも気にせずやってるだろうけど。
ハイダラ様は黙ってしまった。また手を止めかけて、思い出したように撫で始める。
「ハイダラ様はリーフに触っていて心地よくないですか」
気を取り直して訊ねると、目が上がる。ハイダラ様はいつも私を見据えて話す。立っていても座っていても、近くで、静かな黒目が私を映すのだった。……いや、話していなくても。リーフを撫でているときもよく、これでいいのかと訊ねるように視線が寄越されるので、頷いたり、私もリーフの喉を撫でたりする。
「よい手触りだと思うのですが」
毎日磨いたご自慢の毛皮だから、撫でさせているのは猫でも、手が疲れてくるまでは撫でる側も気持ちいいものだと思ったのだけど。
ゆっくりと瞬き、手元も見ての答えは意外なものだった。
「いや、立派なものだと思う。……だからむしろ触りづらいんだと思う」
――背後、もう少し壁に寄ったところに置いた餌皿と水入れを、私はそのとき思い出した。ものって、立派になると触れづらい。確かにそうかもだった。
「美しいものや、愛らしいものは、繊細だろう」
ハイダラ様はそうも付け加えて、私が言ったとおりに毛並みを揃えるようにリーフを撫で続けていた。彼女は至極満足そうだった。
「そうですか……大事にして頂いているのですね、リーフは」
私は安心した。ハイダラ様は猫が、結局は苦手なのかもしれないけど、嫌いというわけではなさそうで。ちゃんと可愛いと思ってるんだと知れて。
情けないってアイシャさんは言ってたけど――優しいんだ、と気づいた。
視線が、扉の側へと逸れる。
今日も変わらない調子でリーフを撫でていたハイダラ様の横顔に、そろそろ、という雰囲気があった。お客様のこういう気配を感じとるのは慣れたものだ。――猫の家では、帰るか帰らないかは陛下次第だったけど。
「もうお休みになりますか」
「……ああ、そうする……」
今は私が訊ねればいい。……別に、ハイダラ様から言い出せばいいのに。ハイダラ様が主なんだから。優しいから寝そべっているリーフを気遣って言えないのだろうか。でもともかく一言で済む。
「ほらおどき、あなたは此処へ」
リーフを引き受けてクッションに置く。不満そうに寝返ったけど適当にあしらう。
立ち上がったハイダラ様に、ブラシを手にして傅く。リーフの体を梳く物ではなく毛の植わった衣服用だ。
「失礼いたします」
部屋から出ていくときには服にブラシがけする。猫に懐かれると毛だらけになるので、その始末だ。猫の家でのお客様の見送りと同じ。胸を払い背を払い、腕を取り、上から下まで隈なく、お召し物を傷めないように丁寧に。
――このときまた特に、ハイダラ様が静かなのを意識する。前は周りにあった猫や人の気配が無い分、立っているハイダラ様だけに集中することになる。静かな部屋にさっさっとブラシの音が響く。大きな体はけど、たっぷり布の余った衣装で着飾っている人たちよりブラシがかけやすい。ハイダラ様は王宮で会っていたときよりもっと地味な格好で、宝飾品も耳の小さな環以外は身に着けていないから、気楽だ。
跪いて足元まで終える。その間にリーフが絡みに来てしまうのをちょいちょいと追い払って、もう一度、仕上げのように裾を撫でた。
顔を上げると目が合うので、頷くように頭を下げる。立ち上がって、お辞儀をする。
「よろしいかと。おやすみなさいませ」
「ああ、おやすみ。……お前も、おやすみ」
言うと、ハイダラ様はリーフにもちゃんと挨拶してから部屋を出ていく。
……そうして気配も廊下の奥まで遠ざかると、今日も一日終わったなあという感じがする。
今日で、五日目。猫の家でお会いしていた回数を上回った。仕事が済んだなら休んでよろしい、と了承を貰っていた前の生活とはまた違う区切りを体が覚えつつあった。前よりずっと仕事の少ない日中はのんびりとしていて、夜もこう……ハイダラ様は来るけど時間は短いし、まったりとしているから、特に疲れてはいない。
「んーっ……」
伸びをして、欠伸まで零す。クッションに座りなおしたリーフも一緒にくわっと口を開いた。撫でてもらっていただけのくせに一仕事終えたようだ。
「今日もいっぱい撫でてくれたね」
話しかけると、にん、と返事がある。
私たちからしたらお后様よりお上品で単調に見える撫でっぷりではあるけど、今までに比べたらすごく長く、いっぱいだろう。下げ渡されるって聞いたときは心配したけど、毎日こんなに構ってもらえるならよかった。
ついでに自分の服にも適当にブラシをかけておいた。ブラシの掃除もついでに。それでも、そんなに遅い時間にならない。でも全部終わったからもう寝てしまうことにする。リーフはむしろうろうろし始めたけど放っておいて寝支度をする。
灯りを消して横たわる。
仕事の流れも身についてこの家の召使いとしてはちょっとずつ馴染んできたと思うけど、まだ、誰かの寝台で寝ているみたいな感じがする。でもそのうち、毎回そうだったように、此処が自分の居場所だと思えるようになるだろう。
……自分の家だと思うのは――どういうことだか、私には分からない。
24
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
* ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)
インスタ @yuruyu0
Youtube @BL小説動画 です!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
ヴィル×ノィユのお話です。
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけのお話を更新するかもです。
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる