11 / 35
ベッドの上の空
空は俺のベッドの上で少年漫画誌を読んでいたが、いつしか寝落ちして、すやすやと眠ってしまった。
俺は5年前くらいに発行された雑誌を読み終えて、つづきを取りに行こうとしたとき、そのことに気づいた。
ミニスカートと黒いストッキングを穿いた美脚の空が、俺のベッドで仰向けになって寝ている。
静かに寝息を立て、口は微かに開けられて、手から雑誌がこぼれ落ちている。
無防備すぎる……。
俺は吸い寄せられるように近づいて、空の横で膝を立てた。
空は少し吊り目で、無表情でいることが多いクールな美少女だ。その容貌はちょっと近づきがたいほど整っている。
しかし、寝顔はなんだかあどけない。
ひとつ屋根の下でふたりきり。俺の目の前で眠っている浅香空……。
あれ?
いまなら空の唇にキスできる。
女の子がひとりでひとり暮らしの男の家に来て、部屋に入って、ベッドに寝転んで、そのまま眠ってしまった。
それって、もうなにをされてもいいってことかな。
誘っているのかな。
キスくらいしてもいい? それ以上のことをしてもいい?
むしろなにかしないと失礼なくらい?
俺は急に頭が沸騰し、混乱した。
空は黒いスウェットシャツを着ている。
その下にある胸は、あかりちゃんみたいな巨乳ではないけれど、しっかりと存在を主張して、ふたつの美しい丘になっている。
その双丘が呼吸に合わせて、ゆったりと上下している。
あかりちゃんの胸にはものすごいインパクトがあって、目を吸い寄せられるけれど、空のはほどよい大きさで、手のひらでちょうど包み込めそうだ。
俺は空の胸に向かって、そろそろと両手を伸ばした。
いやいや、ちょっと待て。
さすがにまずいだろう。
もし、万が一誘っているのだとしても、眠っているときはだめだ。
そういうのはきちんと起きているときに告白して、つきあって、合意の上でやることだ。
告白?
俺は空が好きなのだろうか。
幼馴染として好きなのは確かだ。
恋愛感情はあるのだろうか?
ないとは言えない。
美しい幼馴染が俺の世話をしてくれる。
それが始まったときから、俺はもう恋に落ちてしまった気がする……。
あかりちゃんは?
派手な顔立ちをした美少女で、気さくに話しかけてくれる子。
空と同じくらい付き合いの長い幼馴染。
やはり空と同じように付き合いがとぎれてしまっていた幼馴染。
長い空白を経て、また家に来てくれたとき、彼女にも恋心を抱いてしまった気がする……。
俺は空とあかりちゃんのふたりとも……?
いや、それはだめだろう。
そもそも空もあかりちゃんも俺には不釣り合いな美少女で、高嶺の花だ。
俺なんかが恋人にできる相手じゃない。
たまたま隣に住んでいるだけの幼馴染。
俺の親とも親しくしていて、頼まれたから世話をしてくれるだけ。
勘ちがいしてはいけない。
俺が彼女たちに恋することはあっても、逆はあり得ない。
きっとそうだ。
ふたりが仲よくしてくれるだけで俺は充分にしあわせだ。
遠ざかっていた仲が、父の海外赴任と母の同行というきっかけがあって、再び近くなった。
空とあかりちゃんのふたりとも戻ってきてくれた。
それだけでも奇跡的にしあわせなこと……。
俺は空の胸の上にまで伸びていた両手を引っ込めた。
空がリビングに下りてきたとき、俺は夕食の支度をしていた。
もう日が暮れている。俺はキッチンの照明をつけて、生姜をすりおろしている。
「ごめん、眠っちゃった。夕ごはん、わたしがつくるわよ」
「もう豚肉を焼くだけだよ。待ってて」
挽き肉とタマネギを焦がしてしまった人に料理を任せるのは不安。自分でつくった方がいい。
そんな思いは頭の中だけにとどめて、けっして口に出さず、フライパンにオイルを引く。
クール系の空が料理は苦手。
そんなところも彼女の魅力だと思いながら、俺は熱したフライパンで肉を焼き、しょうゆ、みりん、生姜で味を付けた。
テーブルにふたり分の夕食を置く。
ごはん、豚肉の生姜焼き、レタスサラダ、豆腐とわかめのみそ汁。
「生姜焼き、美味しそうね」
「熱いうちに食べてよ」
「いただきます」
俺たちは軽く手を合わせてから食べ始めた。
食事中にあかりちゃんから連絡が来た。
〈明日も7時に行っていい?〉
少し早いとは思うが、朝ごはんを一緒に食べるつもりなら、ちょうどよいのかもしれない。
〈いいよ〉と返事をした。
「あかりちゃんが明日朝7時に来る」
「天乃さん、そんなに早く来るの?」
「うん」
「あさって、わたしも7時に来ていい?」
「いいけれど、別に無理しなくていいよ」
「無理じゃない」
空はきっぱりと言った。
食後、空とも連絡先の交換をした。
〈4月5日午前7時に行く。朝食は食べないで待っていること〉
目の前にいる空が、そんな文章を送ってきた。
〈わかった。食材はなにか買っておこうか?〉
〈必要ない。明日わたしが買って、持ってくるから。朝はごはんとパン、どちらがいい?〉
〈どちらかというとパンかな〉
〈了解〉
連絡を終えると、彼女はスマホを胸に寄せてかき抱いた。
俺は5年前くらいに発行された雑誌を読み終えて、つづきを取りに行こうとしたとき、そのことに気づいた。
ミニスカートと黒いストッキングを穿いた美脚の空が、俺のベッドで仰向けになって寝ている。
静かに寝息を立て、口は微かに開けられて、手から雑誌がこぼれ落ちている。
無防備すぎる……。
俺は吸い寄せられるように近づいて、空の横で膝を立てた。
空は少し吊り目で、無表情でいることが多いクールな美少女だ。その容貌はちょっと近づきがたいほど整っている。
しかし、寝顔はなんだかあどけない。
ひとつ屋根の下でふたりきり。俺の目の前で眠っている浅香空……。
あれ?
いまなら空の唇にキスできる。
女の子がひとりでひとり暮らしの男の家に来て、部屋に入って、ベッドに寝転んで、そのまま眠ってしまった。
それって、もうなにをされてもいいってことかな。
誘っているのかな。
キスくらいしてもいい? それ以上のことをしてもいい?
むしろなにかしないと失礼なくらい?
俺は急に頭が沸騰し、混乱した。
空は黒いスウェットシャツを着ている。
その下にある胸は、あかりちゃんみたいな巨乳ではないけれど、しっかりと存在を主張して、ふたつの美しい丘になっている。
その双丘が呼吸に合わせて、ゆったりと上下している。
あかりちゃんの胸にはものすごいインパクトがあって、目を吸い寄せられるけれど、空のはほどよい大きさで、手のひらでちょうど包み込めそうだ。
俺は空の胸に向かって、そろそろと両手を伸ばした。
いやいや、ちょっと待て。
さすがにまずいだろう。
もし、万が一誘っているのだとしても、眠っているときはだめだ。
そういうのはきちんと起きているときに告白して、つきあって、合意の上でやることだ。
告白?
俺は空が好きなのだろうか。
幼馴染として好きなのは確かだ。
恋愛感情はあるのだろうか?
ないとは言えない。
美しい幼馴染が俺の世話をしてくれる。
それが始まったときから、俺はもう恋に落ちてしまった気がする……。
あかりちゃんは?
派手な顔立ちをした美少女で、気さくに話しかけてくれる子。
空と同じくらい付き合いの長い幼馴染。
やはり空と同じように付き合いがとぎれてしまっていた幼馴染。
長い空白を経て、また家に来てくれたとき、彼女にも恋心を抱いてしまった気がする……。
俺は空とあかりちゃんのふたりとも……?
いや、それはだめだろう。
そもそも空もあかりちゃんも俺には不釣り合いな美少女で、高嶺の花だ。
俺なんかが恋人にできる相手じゃない。
たまたま隣に住んでいるだけの幼馴染。
俺の親とも親しくしていて、頼まれたから世話をしてくれるだけ。
勘ちがいしてはいけない。
俺が彼女たちに恋することはあっても、逆はあり得ない。
きっとそうだ。
ふたりが仲よくしてくれるだけで俺は充分にしあわせだ。
遠ざかっていた仲が、父の海外赴任と母の同行というきっかけがあって、再び近くなった。
空とあかりちゃんのふたりとも戻ってきてくれた。
それだけでも奇跡的にしあわせなこと……。
俺は空の胸の上にまで伸びていた両手を引っ込めた。
空がリビングに下りてきたとき、俺は夕食の支度をしていた。
もう日が暮れている。俺はキッチンの照明をつけて、生姜をすりおろしている。
「ごめん、眠っちゃった。夕ごはん、わたしがつくるわよ」
「もう豚肉を焼くだけだよ。待ってて」
挽き肉とタマネギを焦がしてしまった人に料理を任せるのは不安。自分でつくった方がいい。
そんな思いは頭の中だけにとどめて、けっして口に出さず、フライパンにオイルを引く。
クール系の空が料理は苦手。
そんなところも彼女の魅力だと思いながら、俺は熱したフライパンで肉を焼き、しょうゆ、みりん、生姜で味を付けた。
テーブルにふたり分の夕食を置く。
ごはん、豚肉の生姜焼き、レタスサラダ、豆腐とわかめのみそ汁。
「生姜焼き、美味しそうね」
「熱いうちに食べてよ」
「いただきます」
俺たちは軽く手を合わせてから食べ始めた。
食事中にあかりちゃんから連絡が来た。
〈明日も7時に行っていい?〉
少し早いとは思うが、朝ごはんを一緒に食べるつもりなら、ちょうどよいのかもしれない。
〈いいよ〉と返事をした。
「あかりちゃんが明日朝7時に来る」
「天乃さん、そんなに早く来るの?」
「うん」
「あさって、わたしも7時に来ていい?」
「いいけれど、別に無理しなくていいよ」
「無理じゃない」
空はきっぱりと言った。
食後、空とも連絡先の交換をした。
〈4月5日午前7時に行く。朝食は食べないで待っていること〉
目の前にいる空が、そんな文章を送ってきた。
〈わかった。食材はなにか買っておこうか?〉
〈必要ない。明日わたしが買って、持ってくるから。朝はごはんとパン、どちらがいい?〉
〈どちらかというとパンかな〉
〈了解〉
連絡を終えると、彼女はスマホを胸に寄せてかき抱いた。
あなたにおすすめの小説
片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた
アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。
高校生くらいから何十回も告白した。
全て「好きなの」
「ごめん、断る」
その繰り返しだった。
だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。
紛らわしいと思う。
彼に好きな人がいるわけではない。
まだそれなら諦めがつく。
彼はカイル=クレシア23歳
イケメンでモテる。
私はアリア=ナターシャ20歳
普通で人には可愛い方だと言われた。
そんなある日
私が20歳になった時だった。
両親が見合い話を持ってきた。
最後の告白をしようと思った。
ダメなら見合いをすると言った。
その見合い相手に溺愛される。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜
マカロニ
恋愛
「ごめんね、八杉くん」
中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。
それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。
だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。
• 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。
• 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。
• 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。
• オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。
恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。
教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。
「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」
鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。
恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
初恋の呪縛
緑谷めい
恋愛
「エミリ。すまないが、これから暫くの間、俺の同僚のアーダの家に食事を作りに行ってくれないだろうか?」
王国騎士団の騎士である夫デニスにそう頼まれたエミリは、もちろん二つ返事で引き受けた。女性騎士のアーダは夫と同期だと聞いている。半年前にエミリとデニスが結婚した際に結婚パーティーの席で他の同僚達と共にデニスから紹介され、面識もある。
※ 全6話完結予定
【3話完結】幼馴染改造計画 〜世界を滅ぼすダサ男をプロデュースしたら、私の外堀が埋まってました〜
降魔 鬼灯
恋愛
推し活に励む令嬢クラウディアは、占いで衝撃の未来を見てしまう。 それは、失恋した幼馴染のアルフレッドが、ショックで世界を滅ぼすという滅亡ルート。
「私への婚約破棄はいいとして、アルフレッドが闇落ちするのは絶対に阻止しなきゃ!」
決意した彼女は、ボサボサ頭で無精髭のダサ男・アルフレッドを、最高にモテる男へと作り変える『幼馴染改造プロデュース』を開始する。 清潔感を叩き込み、髪を切り、最高に似合う服を選び、手作り弁当で胃袋を掴む。 全ては彼に、私以外の素敵な花嫁を見つけてもらうため……だったのに。
「クラウディア、約束だよ。優勝したら、俺に花をくれるって」
騎士交流試合で覚醒した幼馴染が、国中の前で仕掛けた「とんでもない罠」とは!? 天然プロデューサー令嬢と、彼女に一途すぎる最強騎士の、勘違いから始まる逆転溺愛ラブコメ!
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。