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第71話 タナゴタックル購入
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9月第3木曜日の放課後も文化祭の打ち合わせが行われた。
「今度の土曜日はタナゴ釣りですねっ。美沙希ちゃんとカズミちゃんの釣り竿は貸してあげます。仕掛けと餌は大サービスで、進呈しますっ!」
「あ、そのことなんだけど、私、タナゴ釣りにも興味があるから、釣り具一式購入するつもり」
「あたしも買うよ。夏休みのバイト代がたくさん余っているし」
「えっ、おふたりともお金持ちなのですか?」
「そういうわけじゃないけれど、釣りには割とお金を使っているかな」
「バイトでかつてないほどのお金持ちだよ!」
「ふーむ。わかりました。おふたりがタナゴタックルを買うのはうれしいです。タナゴ仲間になってくださいっ!」
「まあ、ブラックバスがメインで、タナゴは余技になると思うけれど」
「あたしはけっこうマジでやるつもりだよ」
「では今日早速買いに行きましょう! 何を買えばいいかアドバイスしてあげますっ!」
「あたし、水郷釣具店でバイトしてたの。店長におすすめを教えてもらって買うわ」
「私は西湖ちゃんのおすすめを買おうかな」
「今日はタナゴ釣りの準備日ね。わたしも買い物につきあうわ」
「おれも!」
「悪いけど、佐藤くんはヘラブナの研究をしてね。タナゴにはノータッチでいいわ」
「またかよ! これいじめじゃないの?」
「これをあげるから、我慢して」
真央は佐藤に飴玉を1個渡した。
彼はまた涙目になっていた。
4人は水郷釣具店へ行った。
「店長、こんにちは!」
「よお、琵琶、久しぶりだな。ちゃんと釣っているか?」
「日曜日の取材で、ノーフィッシュでした。悲しい……。でも昨日はラバージグで良型を釣りましたよ!」
「けっこう、けっこう! ノーフィッシュも経験さ! ラバジで釣るとは、おまえ、腕を上げたな!」
「ありがとうございます! ところで、今日はあたしと友だちの分のタナゴタックルを買いに来たんです。おすすめを教えて!」
「お、そこにいるのは、たまに来る別嬪さんじゃないか。それから、西湖ちゃんだな」
「こんにちは……」
「こんにちはっ、店長さん!」
「あれ、ふたりは知り合い?」
「西湖ちゃんはタナゴ釣りのプリンセスだからな」
「ここにもプリンセスがいたっ!」
「うふふふふっ。タナゴ釣りのワールドプリンセスとはボクのこと!」
「私はプリンセスじゃない……」
「ワールドはついてないがな……」
「初心者のタナゴ竿の1本目は、コスパのいい120センチの振り出し竿がおすすめだ。素材はカーボン。2000円以下で売ってやるよ。しかしおれの本当のおすすめは、1本で3段階の長さ調節ができるこの竿だ。4500円だがな」
「あっ、ボクもそれをおすすめしようと思ってましたっ」
「ほしい」
「いまなら貯金があるから買えるかな」
「2本在庫がある。ふたりとも、買うか?」
「買います」
「美沙希とお揃いの竿、買います!」
「仕掛けは市販の全部セットになっているものを持っていれば、手軽に釣れる。90センチ、120センチ、150センチのを揃えておけば、まず問題ない」
「もし釣り場で仕掛けがぐちゃぐちゃになってしまったら、ボクが替えをあげますよ。とりあえず3つ買ってくださいっ!」
「わかった」
「店長、サービスしてくださいよ!」
「竿を買ってくれたから、1500円でいいぜ」
「それでも1500円なのね。釣りってお金かかるなあ……」
「餌はこの黄身練りかタナゴグルテンかな」
「私は黄身練りがいい。色がかわいい」
「じゃあ、あたしはグルテンを買おうかな。店長、まけてよ!」
「冬休みには、またバイトに来てくれるか?」
「やります! やらせてください!」
「よし、じゃあ、餌は無料でやるよ」
「やったあ!」
「ただほど高いものはないって言うけどね。カズミ、ちょろいわね……」
真央がつぶやいたが、カズミの耳には入らなかった。
「美沙希ちゃん、カズミちゃん、道具はこれでだいじょうぶですよっ! 仕掛けや餌はボクが余分に用意しておきますから、小船に乗ったつもりで来てくださいっ!」
「大船じゃないのかよっ!」
「カズミちゃんは泥船に乗ったつもりで!」
「あたし沈没すんの?」
「はい! 沈んでくださいっ!」
「絶対釣ってやるから!」
カズミと西湖はまた火花を散らしていた。
美沙希は複雑な表情でふたりを見ていた。
「今度の土曜日はタナゴ釣りですねっ。美沙希ちゃんとカズミちゃんの釣り竿は貸してあげます。仕掛けと餌は大サービスで、進呈しますっ!」
「あ、そのことなんだけど、私、タナゴ釣りにも興味があるから、釣り具一式購入するつもり」
「あたしも買うよ。夏休みのバイト代がたくさん余っているし」
「えっ、おふたりともお金持ちなのですか?」
「そういうわけじゃないけれど、釣りには割とお金を使っているかな」
「バイトでかつてないほどのお金持ちだよ!」
「ふーむ。わかりました。おふたりがタナゴタックルを買うのはうれしいです。タナゴ仲間になってくださいっ!」
「まあ、ブラックバスがメインで、タナゴは余技になると思うけれど」
「あたしはけっこうマジでやるつもりだよ」
「では今日早速買いに行きましょう! 何を買えばいいかアドバイスしてあげますっ!」
「あたし、水郷釣具店でバイトしてたの。店長におすすめを教えてもらって買うわ」
「私は西湖ちゃんのおすすめを買おうかな」
「今日はタナゴ釣りの準備日ね。わたしも買い物につきあうわ」
「おれも!」
「悪いけど、佐藤くんはヘラブナの研究をしてね。タナゴにはノータッチでいいわ」
「またかよ! これいじめじゃないの?」
「これをあげるから、我慢して」
真央は佐藤に飴玉を1個渡した。
彼はまた涙目になっていた。
4人は水郷釣具店へ行った。
「店長、こんにちは!」
「よお、琵琶、久しぶりだな。ちゃんと釣っているか?」
「日曜日の取材で、ノーフィッシュでした。悲しい……。でも昨日はラバージグで良型を釣りましたよ!」
「けっこう、けっこう! ノーフィッシュも経験さ! ラバジで釣るとは、おまえ、腕を上げたな!」
「ありがとうございます! ところで、今日はあたしと友だちの分のタナゴタックルを買いに来たんです。おすすめを教えて!」
「お、そこにいるのは、たまに来る別嬪さんじゃないか。それから、西湖ちゃんだな」
「こんにちは……」
「こんにちはっ、店長さん!」
「あれ、ふたりは知り合い?」
「西湖ちゃんはタナゴ釣りのプリンセスだからな」
「ここにもプリンセスがいたっ!」
「うふふふふっ。タナゴ釣りのワールドプリンセスとはボクのこと!」
「私はプリンセスじゃない……」
「ワールドはついてないがな……」
「初心者のタナゴ竿の1本目は、コスパのいい120センチの振り出し竿がおすすめだ。素材はカーボン。2000円以下で売ってやるよ。しかしおれの本当のおすすめは、1本で3段階の長さ調節ができるこの竿だ。4500円だがな」
「あっ、ボクもそれをおすすめしようと思ってましたっ」
「ほしい」
「いまなら貯金があるから買えるかな」
「2本在庫がある。ふたりとも、買うか?」
「買います」
「美沙希とお揃いの竿、買います!」
「仕掛けは市販の全部セットになっているものを持っていれば、手軽に釣れる。90センチ、120センチ、150センチのを揃えておけば、まず問題ない」
「もし釣り場で仕掛けがぐちゃぐちゃになってしまったら、ボクが替えをあげますよ。とりあえず3つ買ってくださいっ!」
「わかった」
「店長、サービスしてくださいよ!」
「竿を買ってくれたから、1500円でいいぜ」
「それでも1500円なのね。釣りってお金かかるなあ……」
「餌はこの黄身練りかタナゴグルテンかな」
「私は黄身練りがいい。色がかわいい」
「じゃあ、あたしはグルテンを買おうかな。店長、まけてよ!」
「冬休みには、またバイトに来てくれるか?」
「やります! やらせてください!」
「よし、じゃあ、餌は無料でやるよ」
「やったあ!」
「ただほど高いものはないって言うけどね。カズミ、ちょろいわね……」
真央がつぶやいたが、カズミの耳には入らなかった。
「美沙希ちゃん、カズミちゃん、道具はこれでだいじょうぶですよっ! 仕掛けや餌はボクが余分に用意しておきますから、小船に乗ったつもりで来てくださいっ!」
「大船じゃないのかよっ!」
「カズミちゃんは泥船に乗ったつもりで!」
「あたし沈没すんの?」
「はい! 沈んでくださいっ!」
「絶対釣ってやるから!」
カズミと西湖はまた火花を散らしていた。
美沙希は複雑な表情でふたりを見ていた。
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