上 下
179 / 248
6

6-7

しおりを挟む
翌日、9月1日。
今日から9月が始まった。



まだまだ暑いけど、8月が終わったと思うと夏も終わるように感じてしまう。
そんなことを思いながら出勤をした。



「明日、急だけどこのビルに所属してる本社とグループ会社、あとは麻美社長の新会社の社員だけで決起会を開催することになったから。
急だから参加出来る社員だけと言われたけど・・・」



朝の朝礼で、部長が言葉を切った後に嬉しそうに笑った。



「うちの天野が身体を張って麻美社長が戻る先になる会社を準備したからね!!
明日の決起会は麻美社長の新会社に対して行うようなものだから、天野も人事部のみんなもなるべく参加をするように!!」



“麻美社長”とは、うちの会社の“経理部の女王様”だった人。
その人が外部での実務経験も産休も終えて、うちの会社に戻ってきた。



その戻る先の会社として、剛士・・・天野剛士が身体を張って準備した。
と、いうことになっている・・・。



本当は、自分に性的虐待をしたあの男を殺しただけ。
その時に藤岡副社長がバックについてくれ、協力をしてくれた。



そして、たまたまあの男は大手経営コンサルティングの会社の社長だった。



藤岡副社長はその会社の支社を麻美社長の戻る先として欲しかった。
剛士と藤岡副社長が協力をしたことによって、あの男も殺せて麻美社長の戻る先も手に入れた。



でも、社内に剛士があの男から性的虐待を受けていたことが知られてしまった。
それで瞳ちゃんのために瞳ちゃんと結ばれることを諦めた剛士のために、藤岡副社長がどうやったのか全てを剛士の手柄にしてくれた。



社内で絶大な支持のあった“女王様”。
その“女王様”がうちの会社に戻ったという事実と、それが剛士のお陰ということで、剛士があの男にされていた性的虐待についての話までも美談にしてしまった。
しおりを挟む

処理中です...