【完】雪の上に、犬と猿。たまに男と女。

Bu-cha

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「そうですよね・・・。」



宝田が、すんなりと受け入れてしまった・・・。
宮本さんの旦那さんの言葉を、すんなりと受け入れてしまった・・・。



驚いて宝田を見ると、神妙な顔をして少し俯いている。



絶対に諦めている。
宝田のこんな顔は、絶対に諦めている。
大本命である宮本明日香のことを、諦めている。



“宮本明日香を連れていって、2人でみんなの度肝を抜かせよう”



宝田がそう言っていたのに。
そう言って、宝田と2回目の共同作業をするはずだったのに。
犬猿の仲の私達が、2回目の共同作業をするはずだったのに。



その時に感じた高揚感を思い出しながら、無表情を続けている宮本明日香に言う。



「鮫島光。」



この名前に、宮本明日香はピクリ───...と初めて反応を見せた。
そして、初めて私の顔を見てきた。
無表情だけど、見てきた。



そんな宮本明日香に、また私は言う。



「鮫島光、生きていますよ。」



そう言った私に宮本明日香は驚くこともなく小さく笑った。



「やっぱり・・・鮫島君、生きてたんだ。」



呟いた小さな小さなその言葉。
でも、眼鏡の奥の小さな目は輝きだした。
キラキラと、輝きだした・・・。



そして、眼鏡を外して涙を少し拭い・・・



また、私の方を見てきて・・・。



その顔を見て、正直驚いた・・・。



眼鏡を掛けていた時よりもずっと目が大きくなった宮本さん・・・。



急に美人な女性になったような宮本さんに、私は頷く。



「松居理菜さんの血の繋がらない娘さんが、鮫島光の息子を育てました。
鮫島光ソックリの男に、育て上げました。
だから生きています。
鮫島光は、息子の鮫島光一とともに生きています。」
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