223 / 304
15
15-9
大学院の休憩時間中、今日も豊君にカメラを向ける。
でも、それを停止してからカメラを置いた。
不思議そうな顔をした豊君が俺のことを見てくる。
「“コウイチ”って、どんな子?」
この前も聞いた俺に、豊君は少しだけ笑いながら答えた。
「格好良い男です・・・。」
「そうなんだ、動画見る限りでも格好良いよね。
いつも“母ちゃん”のことを1番に考えてて。」
俺がそう言うと、豊君は一瞬だけ止まった。
「何度も自分を殺している男なので・・・。
それでも、何度だって立ち上がれる男です・・・。
凄く格好良くて、強い・・・強すぎる、不滅の精神を持っている男です・・・。」
そう答えた豊君に、俺は聞いた。
「岩渕室長と桃子せんぱいって、再婚するの?」
「はい、そのはずです。
籍は入れなかったとしても、事実婚はあるでしょうね。
既にもうそんな感じなので。」
これには思わず首を傾げてしまう。
「それ、本当に?」
「そうだと思っています。
きょうだい全員がそう思っています。
それくらいにあの2人にはそういう雰囲気が昔からあるので。」
「そうなんだ・・・。
社内では岩渕室長と桃子せんぱいが喋ってる所を見たことがないんだよね・・・。」
「そうなんですか?
桃子さんが酔っ払って帰って来た時なんて、いつもこっちの家に帰ってきてはよく父の前で泣いてますね。
何で泣いているのかはいつも言わないけど、それで父はよく桃子さんを抱き締めて背中を叩いてます。」
豊君が俺にそんな話までし始めた。
「弱い人なんですよね、本当は。
あの人は普段、理菜さんになっているんです。
理菜さんになって、この厳しい現実世界を生き延びることに決めたんです。」
「だから、桃子せんぱいとともに生きてる・・・。
松居会長の娘が、桃子せんぱいとともに・・・。」
呟いた俺に、豊君は力強く頷いた。
「あの人は本当に本気で、2人の母親になった。
信じられないことに、ソックリらしいです。
理菜さんは生きています。
あの人が理菜さんを生かしてくれているから、理菜さんは生き続けてる。」
「そして、鮫島光とともに・・・。」
“鮫島せんぱいは生きてた”
そう言った須崎社長の言葉を思い浮かべる。
「そうですね、桃子せんぱいの息子は父親にソックリです。」
まるで鮫島光を知っているかのように豊君が言う。
「5歳の頃に、鮫島君は金色の鮫を持った。
理菜さんが亡くなった時、それを持った。
お父さんと同じ、金色の鮫を。」
そう言った豊君の言葉をこの頭に入れながら、俺は遅れて教室に入ってきた長峰の方を見た・・・。
でも、それを停止してからカメラを置いた。
不思議そうな顔をした豊君が俺のことを見てくる。
「“コウイチ”って、どんな子?」
この前も聞いた俺に、豊君は少しだけ笑いながら答えた。
「格好良い男です・・・。」
「そうなんだ、動画見る限りでも格好良いよね。
いつも“母ちゃん”のことを1番に考えてて。」
俺がそう言うと、豊君は一瞬だけ止まった。
「何度も自分を殺している男なので・・・。
それでも、何度だって立ち上がれる男です・・・。
凄く格好良くて、強い・・・強すぎる、不滅の精神を持っている男です・・・。」
そう答えた豊君に、俺は聞いた。
「岩渕室長と桃子せんぱいって、再婚するの?」
「はい、そのはずです。
籍は入れなかったとしても、事実婚はあるでしょうね。
既にもうそんな感じなので。」
これには思わず首を傾げてしまう。
「それ、本当に?」
「そうだと思っています。
きょうだい全員がそう思っています。
それくらいにあの2人にはそういう雰囲気が昔からあるので。」
「そうなんだ・・・。
社内では岩渕室長と桃子せんぱいが喋ってる所を見たことがないんだよね・・・。」
「そうなんですか?
桃子さんが酔っ払って帰って来た時なんて、いつもこっちの家に帰ってきてはよく父の前で泣いてますね。
何で泣いているのかはいつも言わないけど、それで父はよく桃子さんを抱き締めて背中を叩いてます。」
豊君が俺にそんな話までし始めた。
「弱い人なんですよね、本当は。
あの人は普段、理菜さんになっているんです。
理菜さんになって、この厳しい現実世界を生き延びることに決めたんです。」
「だから、桃子せんぱいとともに生きてる・・・。
松居会長の娘が、桃子せんぱいとともに・・・。」
呟いた俺に、豊君は力強く頷いた。
「あの人は本当に本気で、2人の母親になった。
信じられないことに、ソックリらしいです。
理菜さんは生きています。
あの人が理菜さんを生かしてくれているから、理菜さんは生き続けてる。」
「そして、鮫島光とともに・・・。」
“鮫島せんぱいは生きてた”
そう言った須崎社長の言葉を思い浮かべる。
「そうですね、桃子せんぱいの息子は父親にソックリです。」
まるで鮫島光を知っているかのように豊君が言う。
「5歳の頃に、鮫島君は金色の鮫を持った。
理菜さんが亡くなった時、それを持った。
お父さんと同じ、金色の鮫を。」
そう言った豊君の言葉をこの頭に入れながら、俺は遅れて教室に入ってきた長峰の方を見た・・・。
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
取引先のエリート社員は憧れの小説家だった
七転び八起き
恋愛
ある夜、傷心の主人公・神谷美鈴がバーで出会った男は、どこか憧れの小説家"翠川雅人"に面影が似ている人だった。
その男と一夜の関係を結んだが、彼は取引先のマネージャーの橘で、憧れの小説家の翠川雅人だと知り、美鈴も本格的に小説家になろうとする。
恋と創作で揺れ動く二人が行き着いた先にあるものは──
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13